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歌舞伎の演目「弁天娘女男白浪(べんてんむすめ めおの しらなみ)」で有名な「青砥稿花紅彩画(あおとぞうし はなのにしきえ)」を原案にした、新しい音楽活劇「SHIRANAMI」が、2019年1月から、東京・新国立劇場 中劇場で上演される。本作に徳川家茂役で出演するのは小澤廉。「ダイヤのA The LIVE」「あんさんぶるスターズ! オン・ステージ」「おそ松さん on STAGE」などに出演してきた2.5次元ミュージカルの人気俳優が初めて外の世界に飛び出す。その動機や、本作の見どころなどをたっぷり聞いた。
2.5次元ミュージカルは素晴らしいと思いますし、これからも続けていきたいと思っています。でも僕がこの世界に入ろうと思った動機に「お年寄りから若い人まで知っていて、愛される役者になりたい」という気持ちがあったので、それを達成するには、そろそろ外の世界に踏み出し、新しい経験をしたい、と思っていたんです。この「SHIRANAMI」で、役者としても、また人間としても、もう一皮、二皮むけたいと思っています。…とは言いつつも、今ドキドキしていますが(笑)。いろいろなジャンルのトップスターが一同に集まって一つの作品を作ろうとしている中、僕がやれることはなんだろうって自分を見詰め直さないと。
G2さんが書いた台本を読んだらとても分かりやすく、読みながらワクワクするような面白さがありました。そして感情移入もできたので、家茂はこの作品の中ですごく大事な役どころなんだな、と感じたんです。僕が演じる徳川家茂は、将軍なのに歌って踊るんですよ(笑)。誰も将軍が踊るってイメージは持っていないと思うので、そのイメージを崩さずに、どうやって歌って踊ればいいのか、逆に思い切り将軍像を崩してみるとか、どちらを選んでも面白いですよね。自由度の高い音楽活劇だと思うし、ショー演出がB’zさんのライブ演出も手掛けている市川訓由さんなので、その爆発力も楽しみながらやりたいと思います。
人に愛される空気を醸し出せるところ(笑)? 将軍様ってみんなに愛されてナンボだと思うんです。だから、民に愛される将軍像を作りたいですね。
台本上では、家茂はどこか青くさい正義感を振りかざしているような人物かな? と思いましたが、若い頃に目指した理想を崩さないようにしているのかも。また、家茂は大事なことが分かっている人だとも思います。天皇家からお嫁さんをもらいますが、そのお嫁さんは、結婚を嫌がっていることも家茂は分かっている。政略結婚だけど、まずは心を通わせようって言うんです。もしかしたら家茂自身もこの婚儀は乗り気ではないかもしれませんが、それでも前向きに受け止め、お嫁さんに寄り添ってあげようとする点は男らしいと思いました。