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望海風斗主演、スペイン映画界の名匠ペドロ・アルモドバルによる傑作映画を原作としたミュージカル「神経衰弱ぎりぎりの女たち」が、6月7日から上演される。本作は、ある日、唐突に恋人から別れを告げられた女優のぺパが、彼のアパートへ向かったことで、元妻やその息子、新しい恋人といった存在を知り、事態が混乱を極めていく様子を描いたラテンミュージカルコメディー。望海は、主人公のぺパを演じる。望海に本作への意気込みや、初の本格共演となる和希そらとの共演への思いなどを聞いた。

望海風斗【ヘアメーク:yuto/スタイリスト:加藤万紀子】 (C)エンタメOVO
私は原作の映画を知らなかったので、面白い題名だなというのが最初で、これまでにない作品になりそうだと楽しみになりました。私は、大人たちがドタバタする物語が好きなんですよ。なので、原作の映画も楽しく拝見しました。滑稽さもありながら、どこか共感できるところもあって、普段、自分たちができないくらいぶっ飛んだところもあったので、見ていてスカッとしました。映画好きな方の中には(原作映画のペドロ・アルモドバル)監督が好きだという方もたくさんいらっしゃって、監督の色がしっかりとある作品でしたので、監督のほかの映画も見てみたいと思います。
これまでシリアスな作品に出演することが多かったんですよ(笑)。もちろん、シリアスな作品も好きなのですが、たまには皆さんにクスッと笑っていただけるような作品に挑戦したいと思っていたので、すごく久しぶりのラブコメディーはとても楽しみです。
これからの稽古で役を分析していくことになりますが、第一印象は、しっかりしていて人から頼られる、情熱を持って突き進む人です。理性と本能の両方を持ち合わせていて、すごく大きなパワーを持っていると感じたので、そうしたところを大事にして役を作っていきたいと思います。
何かあったときに、周りが見えなくなって突き進んでしまうところは似ていると思います。なるべく平坦に生きていきたいと思っているのですが、私は感情的なところがあるので、彼女の気持ちが理解できるところもあります。きっとこれからの稽古で似ているところがどんどん増えてくるのかなと思います。
何でも器用につかむことができる、センスのいい俳優さんだなと感じています。面白いところもシリアスなところも持っているのが魅力だと思うので、この作品はぴったりだと思います。宝塚時代にもいろいろな役を演じているのを見ていますので、和希さんがカンデラという役をどう演じられるのかすごく楽しみです。
本当にいろいろな経験をさせていただきましたが、(宝塚歌劇団を退団後の)この5年の中で舞台「マスタークラス」とミュージカル「エリザベート」は、大きな山でもあったのかなと思っています。そうした経験ができたからこそ、これから先の自分がどうなっていきたいのかが見えてきました。宝塚時代に自分が追い求めていたものが「マスタークラス」で呼び戻されたような感覚があったんです。(退団後は)まず女性に戻らなくてはいけないと思っていましたし、カンパニーが毎回、変わる中でどうやってその作品を作っていくのかといろいろと試行錯誤しながら作品に挑んできましたが、結局、自分がやりたいことは昔から変わっていないんだなと「マスタークラス」でより鮮明になりました。
そうした、大きな山を乗り越えたからこそ、その先にあるこの作品は、ただのドタバタコメディーではなく、その中に含まれているものをしっかりと読み解いて、深みを持った作品になればいいなと思っています。
言葉にするのは難しいですが、女性にならなくてはいけないとか、作品ごとのカンパニーでの在り方などを気にするのをやめたんですよ。やっぱり退団1年目は、新人の気持ちでやっていて、慣れないこともありましたし、周りの皆さんがどうしているのかを探りながら役を作っていたところがありました。ですが、とにかく作品に没入する集中力を持って突き進んでいくことが大事なのだと、改めて感じました。
それは宝塚時代から続けていたことです。宝塚時代は、(周りのキャストも)みんな知り合いなので「初めまして」から始めなくてよいということもあり、毎回作品に没入できていました。とにかく台本や譜面に書かれていることを信じて、それを膨らませていく作業に集中できていました。退団後は周りのいろいろなことを気にしてしまっていたのですが、そうしたことは気にせずに、自分がやりたいようにやっていいのではないかということを思い出せた気がしています。
「エリザベート」は皆さまにとても愛されている作品ですし、自分も大好きな作品です。だからこそ、大きな覚悟がないと挑戦できないと思っていましたし、挑戦させていただけたことに感謝しています。千穐楽を迎えたときには、これまで頑張ってきた道のりを振り返り、この作品に携われたことを改めてうれしく思いましたが、それもやはり周りの方々の助けや人とのつながり、そしてお客さまがこの作品を愛してくださったからこそだと思います。そうして人がつないできた作品に参加できたことが幸せでした。
それから、ミュージカルは「音楽が命」だと実感した作品でもありました。エリザベートを演じたことで、(音楽・編曲のシルヴェスター・)リーヴァイさんの作る楽曲のすばらしさを改めて感じましたし、リーヴァイさんが作る音楽から役のヒントをいただくこともたくさんありました。「エリザベート TAKARAZUKA30周年 スペシャル・ガラ・コンサート」にも出演させていただき、そちらではトートの楽曲を歌わせていただきましたが、そこでもまた、楽曲の魅力に気づきました。どの役も魅力的に見せてしまう音楽の力を改めて感じています。
エリザベートを演じるにあたって、自分の中でも葛藤やいろいろな思いがありましたし、「こんなエリザベートなのではないか」と想像を膨らませていく作業は大変でした。私の中にもこれまでのエリザベートの印象が強く残っていましたから。もちろん、お客さまそれぞれが持つエリザベートのイメージもあると思います。そうした中で、自分が思うものを作っていくことに迷いもありましたし、「皆さまに受け入れてもらえるのだろうか」という不安もありましたが、初日を迎えたとき、自分が感じたことを昇華できたのかなと思いました。台本に忠実に演じるということは間違いではなかったのだということを改めて感じることができた作品になったと思います。
毎回、作品や役にぎりぎりまで追い詰められていると感じますが、一度、その状態を受け入れて整理してみると、実は簡単なことだと思えます。追い詰められていることを受け入れないと、いつまでたってもそこから抜け出せないので、まずは受け入れること。それから、人に話すこと。今、自分が置かれている状況を人に話してみると、意外と整理がつきます。全く違う方向からのアドバイスがヒントになることもありますし、追い詰められているときにもらった言葉こそ助けになることも多いです。
「エリザベート」とも全く違う楽曲が並んだ作品です。ほとんどのナンバーがラテン調で、リズミカルな曲やお酒を飲みながら歌いたくなる曲もあります。そうした曲を日本語で歌うとどうなるのか、私自身も今から楽しみにしています。エネルギーを持って向き合っていきたいと思っていますので、ぜひ楽しみにしていただけたらうれしいです。
(取材・文・写真/嶋田真己)
ミュージカル「神経衰弱ぎりぎりの女たち」は、6月7日~21日に都内・日本青年館ホールほか、福岡、大阪、名古屋で上演。
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