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堺正章(C)エンタメOVO
カトリーヌさんは、芝居らしい芝居をほとんどせず、リアクションも非常に小さい。それでも、その小さなリアクションの中で、訴えるものが非常に強く表現されていて、ものすごくスケールの大きな存在感があるんです。そういうお芝居を見ると、やっぱりスクリーンに映える大女優だなと。今はそういう方も少なくなってきましたが、大きなスクリーンの中で輝くその姿を目に焼きつけておかなければ、と思わせるすごみがあります。
しかも、若い頃はシンプルに「美しい女優」という印象でしたが、年齢を重ね、さらに輝きを増していますよね。「若い時が一番」なんて考えはみじんもなく、年齢と共に輝いていく人生の積み上げ方を知っているのではないでしょうか。もしかしたら、フランスにはそういう考え方が根付いているのかもしれませんが、その生きざまが本当に素晴らしい。
僕自身の仕事に対する心構えはいつもと変わりませんが、カトリーヌさんの存在が、この映画にとっては非常に大きかった。おかげで、現場全体に「彼女に恥をかかせないように、いい映画にしなければ」という強い気持ちがありましたから。竹野内さんも頑張っていましたし。そんなふうに、全体がカトリーヌさんを中心に1つの輪を作っていた印象があります。
やっぱり、映画にはテレビとは違うスケール感がありますよね。テレビにも素晴らしい作品はありますが、今回は映画という事で、僕ももう1つ大きなスケール感を意識していた気がします。そのために、なるべく自然体でいなければと。ただ、自然体ほど難しいことはありません。だから、そのためにはどうしたらいいのか、常に考えながら過ごしていました。
もちろんです。どんな親でも、子を持ったときから、子どもに対する責任や強い思いは、果てしなくあると思いますから。僕の場合、たまたま父(喜劇俳優の堺駿二)がこの世界にいて、僕もその世界を継ぎ、自ずと「堺」の名が父の代から続きました。それを娘が継いでくれるということで、こんなドラマチックな話はないと思っています。
ただ、大変なのは継いだ後です。大事なのは、彼女がこの世界でいかに表現者としてやっていくか、ですから。といっても、心配はしつつも、余計なことは言わず、見守っていようと思います。
僕の父は本能的に生きた男で、他人を指導するようなことは苦手な人でした。そのせいか、弟子も少なかったですし。ただその分、子どもにもとやかく言わないというのが方針で、おかげで僕も自分のやりたいようにやれたことは、幸せだったと思います。だから僕も、娘には余計なことは言わずにいようと。あとは芝居を続ける中で、本人がさまざまな喜怒哀楽を味わっていけば、それが人生の“ひだ”となり、俳優としての深みにつながるはずですから。とにかく頑張って、長く続けてほしいというのが父親としての願いです。
実は、撮影は思ったよりも大変だったんです。監督のエリック・クーさんはシンガポール出身で、スタッフにもシンガポールから来た方が多く、日本人は1/3くらい。そのため、コミュニケーションに苦労することも多かったですから。それでも、僕の中ではとても面白い日々を過ごせたという印象が強く残っています。カトリーヌさんとの共演という重大な責任も果たせましたし。そういう意味で、とても達成感のある作品です。
(取材・文・写真/井上健一)

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