井之脇海「ものすごい達成感がありました」蔦重に見守られながら迎えた新之助の最期【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

2025年9月4日 / 18:03

-新之助の親友ともいえる蔦重を演じた横浜流星さんの印象はいかがでしたか。

 横浜さんほどストイックな座長は見たことがありません。共演は今回が初めてですが、実は横浜さんとは10年位前からオーディションでよく見かけていて、ワークショップでも一緒になることがあったんです。その時も自分が持ってきたものをしっかり出していたので、とてもストイックできちんとした方、という印象は当時から持っていました。

-そうだったんですね。

 しかも今回は主演ということで、1年半近い収録期間中、そのストイックさを貫く忍耐力は本当にすごいなと。収録の空き時間も、僕がスタジオの隅でせりふの練習をしていると、いつの間にか横浜さんが隣にいて、一緒に付き合ってくれるんです。だから、2人でずっとせりふ合わせをしていた印象です。お芝居も、いつも台本から予想していた以上のものを披露されるので、驚かされっぱなしでした。

-新之助と苦楽を共にした愛妻・ふく役の小野花梨さんとの共演はいかがでしたか。

 小野さんご自身の特性やお芝居からは「きちんと生きている人」という雰囲気を感じることができました。おかげで、「つけを回されるのは、私らみたいな地べたをはいつくばってるやつ」などといった庶民の感覚を伝えるふくのせりふにも説得力がありました。ただ、新之助にとってはそれが、「最愛の人にそんな生活をさせている」という苦しさにもつながるんですよね。そういう感情を引き出してもらったのも、小野さんのおかげです。ふくは、小野さん以外に考えられませんでした。

-SNSなどでは、庶民目線で身近に感じられたためか、新之助とふくのカップルを応援する視聴者の声が多く見られました。その声援を、どのように受け止めていましたか。

 僕自身も生活感のある庶民の匂いを出せたら、と考えていたので、それを受け止め、温かく見守ってくださったことがうれしかったです。

-井之脇さんも出演された森下さん脚本の「おんな城主 直虎」(17)でも、農民にスポットが当たっていました。庶民の目線を忘れないのは、森下作品の特徴ですね。

 森下さんの作品は、常に多様な視点から物語が紡がれるんです。この作品でも、蔦重の周囲の人々や田沼意次(渡辺謙)をはじめとした幕府の役人たち、新之助たち農民、それぞれの正義がきちんと描かれている。しかも、どのキャラクターも生き生きしている上に、胸が痛くなるようなせりふがちりばめられていて。だから、あれほど世話になった蔦重に対して、新之助が多少きついことを言っても、視聴者の方々は理解してくれるんですよね。それが、皆さんの応援にもつながったのかなと思います。

-新之助を演じるにあたって、森下さんからお言葉はありましたか。

 最初の本読みの時にお会いして、「期待しているから」という一言をいただき、身の引き締まる思いがしました。

-期待通りのご活躍だったのではないでしょうか。

 そうだったらうれしいです。

-それでは最後に、今後のドラマを見守る視聴者へのお言葉をお願いします。

 新之助が亡くなる直前、打ち壊しの騒動が収まり、民衆が「銀が降る!」と大騒ぎしている場面で、台本のト書きに「それはエンターテインメントが起こした奇跡の瞬間」と書かれていたんです。それを読み、「この作品って、こういうことなんだよな」と思って。しかもそれが自分のシーンで書かれていたことがうれしく、その一言が大好きになりました。そんなふうに、文化が世の中を動かしていく様がこれからも描かれていくと思うので、その渦中で必死に生きる蔦重や登場人物たちの生きざまを、ぜひ最後まで見守ってください。

(取材・文/井上健一)

(C)NHK

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】世界が揺らぐとき、人間は何をするのか…『DIGGER/ディガー』『ディスクロージャー・デイ』

映画2026年10月20日

『ディスクロージャー・デイ』(10月1日公開)  サイバーセキュリティーの専門家ダニエル(ジョシュ・オコナー)は、謎の組織ワーデックスから機密情報を盗み出す。一方、ローカル局で気象予報士を務めるマーガレット(エミリー・ブラント)は、突如とし … 続きを読む

堂本光一演出「百鬼夜鏡」、「期待を超える作品を作っていけたら」川﨑皇輝×内村颯太×元木湧×北川拓実×安嶋秀生×松尾龍【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月20日

-本作の注目してもらいたいところは? 松尾 たくさんのキャラクターが登場しますが、全員に感情移入できる作品なのではないかなと思います。光一くんは、「陽」だけのものは作らないと思うので、「陰」があったり、考えさせられる物語になると思います。お … 続きを読む

芦田愛菜、努力を続けるコツは「一度に大きく飛躍しようと頑張り過ぎない」【インタビュー】

ドラマ2026年10月19日

-南の初恋の相手・船井湊人を演じる高橋文哉さんとは初共演ですが、印象を教えてください。  初日はドラマの鍵になる出会いのシーンを撮影しました。大事なシーンだったので、どうするかを話し合いながら臨みましたし、すてきなシーンになっていると思いま … 続きを読む

ドラマ「LOST10」脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子 横浜流星と小栗旬が演じるバディの魅力と制作の舞台裏を語る【インタビュー】

ドラマ2026年10月16日

-横浜さんと小栗さんが演じたことで、キャラクターの印象は変わりましたか。 塚原 小駒は田舎の刑事で出世したいという設定があって、うだつが上がらない感じに近いのかなと思っていたのですが、横浜さんは身体能力に長けていて山をぐんぐん登るので、その … 続きを読む

磯村勇斗「吉田監督の世界に入れることが楽しみでした」吉田恵輔監督「磯村くんは思考が自分に近い」初顔合わせの舞台裏『mentor』【インタビュー】

映画2026年10月15日

-そして、子どもの頃、一緒に事件を起こして以来、疎遠になっていた拓海との再会は、アーチェリーに打ち込む龍之介の人生を次第に狂わせていきます。 磯村 末澤くんとは初共演で、龍之介と拓海が再会する場面は僕たちにとっても初めて一緒にお芝居するシー … 続きを読む

page top