奥平大兼「戦争の捉え方が変わった」當真あみ「当時の女性の強さを感じた」80年前の戦時下を生きた若者役への思い『雪風 YUKIKAZE』【インタビュー】

2025年8月21日 / 12:00

奥平大兼(左)、當真あみ(C)エンタメOVO

-演じる上で難しかった点はありますか。

奥平 敬礼をするとき、上官が手を下ろしてから自分が下ろさないといけないのですが、うっかり自分が先に下ろしてしまったことが何度かありました。事前に所作の指導は受けていたのですが、きちんと意識してやらないと駄目だな、と痛感しました。

當真 言葉遣いのちょっとしたイントネーションが難しかったです。微妙に変わるだけで、現代風の話し方になってしまうので、その点は気を付けながら演じていました。衣装のモンペも、着慣れていないため、不思議な気持ちでしたが、身につけるものや持ち物から感じ取ることも多いので、役作りの上ではとても助けられました。

-お2人はこれまで、太平洋戦争についてどのように捉えてきましたか。

奥平 もちろん、80年前に戦争があったことは知っていましたが、正直なところ、学校の授業では「1945年に戦争が終わった」といった感じで、テストのために年表を暗記するだけで済ませてきたところがあります。ただ今回、クランクイン前にさまざまな施設を見学する中で、当時、神風特攻隊で出撃していった方たちの中には、今の僕より若い方もいたことを知りました。その方々が残した手紙を見ると、とても綺麗な字で書かれていて、内容も人それぞれなんです。家族を心配していたり、大切な人に宛てて書かれていたり…。戦争に向き合う気持ちが決して一色ではなく、そこに人が生きていたことに気付かされ、捉え方が変わりました。

當真 私の故郷の沖縄では、学校の課外授業で戦争に関する資料館を訪れることも多く、沖縄戦が終結した6月23日は「慰霊の日」として毎年、学校が休みになり、戦争で亡くなった方々に対して、黙とうをささげていました。その日は、すべてのテレビ局が当時の映像や戦争体験者のインタビューなど戦争関連の番組を放送していたので、戦争について触れる機会は多くありました。日常生活でも、母から「あっちは防空壕があって危ないから、行ったらダメだよ」と言われたこともあります。だから、自分では経験していなくとも、本当にあったことなんだと感じていました。

-そういうお話を踏まえると、お二人にとっても終戦の日の8月15日にこの映画が公開される意義は大きいのではないかと思います。その点に対する思いをお聞かせください。

奥平 80年前という事もあり、普段はなかなか戦争について考える機会はありません。その上、僕の祖母も終戦直後の生まれですし、当時の話をしてくださる方はどんどん減っています。そう考えると、終戦の日に公開されるこの映画を通じて、当時の様子を伝えていくことは大切な気がします。しかも、今も世界では戦争が続いているので、僕も含めて皆さんが、そういうことに思いをはせるきっかけになればと思います。

當真 亡くなった私の曾祖母が戦争体験者だったのですが、生前は当時の話を聞く機会がありませんでした。今になって、聞いておけばよかったと思っています。今では終戦の日を知らない人もたくさんいると思うので、それを知ってもらう上で、とても意味のある公開日ではないでしょうか。広島の原爆ドームなど、戦争について知ることのできる施設は全国にたくさんあるので、この映画をきっかけに、そういうものにも目を向けていただけたらと思います。

(取材・文・写真/井上健一)

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