森田剛「戦争と背中合わせの世界であるということは今も変わらない」 19世紀を代表する未完の戯曲に挑む パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」【インタビュー】

2025年8月22日 / 08:00

本作は、19世紀を代表する未完の戯曲です。そうした作品を今、上演する面白さや魅力はどう感じていますか。

 自分は与えられた役を生きることに集中したいと思います。ただ、今も昔も、みんなそれぞれに傷ついて、それを隠して生きていると思います。戦争は終わらないし、いつ起こるかも分からない。戦争と背中合わせの世界であるということは今も変わらないので、きっと共感してもらえる作品になるのではないかと思います。

-コンスタントに舞台に出演されている森田さんですが、舞台ならではの魅力をどんなところに感じていますか。

 (魅力がどこにあるのかは)あまり考えたことがないかもしれません。ただ、自分に合っているのかなとは思います。始まったら終わりまでストップしないというスタイルも、そこにお客さんがいるという空間も合っていると思います。刺激や怖さなど、普段、生活していて感じることがない気持ちになれるのも、自分には必要なことだと思っています。

-怖さというのは?

 舞台は途中で辞められないので、緊張感もあって、やっぱり怖さは感じます。それはほかではなかなか経験できないことです。

-今回の公演は地方公演も含めて3カ月ほどの長丁場となりますが、コンディションをキープするための森田さん流のやり方はありますか。

 運だと思います。体も声も大事ですし、皆さん覚悟を持って舞台に臨まれていると思うので、何があってもやり切ること。ただ、どうにもならないこともあると思うので、あとは運かなと思います。

-森田さんがオフィシャルコメントの中で「この作品は根底には純粋な愛をテーマにしている」と語っていましたが、森田さんにとっての純粋な愛はどんなものですか。

 何でしょうね。…分からないですね。ただ、物に対しても人に対しても、丁寧に扱うということは心掛けています。できる限り、好き嫌い関係なく。ボンって(放り投げるように)置かずに丁寧に置いたり、開けたらきちんと閉めたり。生活の中での丁寧さは意識しているところです。

-丁寧に接することが愛情表現につながる?

 愛情表現なんですかね…そうかもしれません。

-最後に、観劇を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

 この作品は、映像的な作品だと思うので、舞台で見せるというのはチャレンジングなのではないかと感じています。同時に、すばらしいものが舞台で表現できそうでもあります。作られたものとリアリティーが混合した気持ちの悪いものができそうな気がするんです。舞台は生で人が“生きている”姿が見られるので、見たことがない方はぜひ一度、劇場で見ていただきたいですし、舞台に興味がある方は何か新しい感覚を味わっていただける作品になると思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」は、9月23日~28日に都内・東京芸術劇場 プレイハウスほか、岡山、広島、福岡、兵庫、愛知で上演。

パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

佐々木蔵之介「この映画を見た後で自分の気持ちがさまようようなところがあるので、誰かと一緒に見てほしいと思います」『名無し』【インタビュー】

映画2026年5月22日

-この話は、佐藤さんだからこそ出てきたものだという感じはありましたか。  多分、この山田太郎というのをこんなふうに演じてみたいというところから始まったんだと勝手に思います。そこからストーリーを膨らませていったり、いろいろと作っていったのかも … 続きを読む

宮野真守&神山智洋、初共演の二人が作り上げる、劇団☆新感線のドタバタ音楽活劇ミステリー 「多幸感にあふれた作品をお届けしたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年5月22日

 宮野真守と神山智洋(WEST.)が出演する、2026年劇団☆新感線46周年興行・夏公演 SHINKANSEN☆RSP 怪奇骨董音楽劇「アケチコ!~蒸気の黒ダイヤ、あるいは狂気の島~」が、6月12日から上演される。本作は、脚本に劇作家の福原 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第19回「過去からの刺客」慶の心を動かした小一郎の言葉【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年5月21日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=羽柴秀吉/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。5月17日に放送された第19回「過去か … 続きを読む

唐沢寿明「こんなにひどい男をやってよかったのかなという後悔はちょっとありました」『ミステリー・アリーナ』【インタビュー】

映画2026年5月21日

-解答者役の人たちはいかがでしたか。  彼らも、ある意味バチバチでした。例えば、玉山(鉄二)くんがきっちりやると、次に出てくる人に、自分はもっと面白くやってやろうというスイッチが入ります。みんな真面目な人だから、負けないようにやるんです。そ … 続きを読む

川島鈴遥、森田想「この映画は、ちょっと落ち込んだ時とかに見るといいかもしれません。きっと心が軽くなります」【インタビュー】『いろは』

映画2026年5月21日

-本作は長崎地方が舞台でしたが、最近、地方色が強い映画が多いと思います。その辺りはどう感じますか。 川島 もし自分が旅行で行くとしても、ここは見つけられないかもって思うような場所でも撮影したので、普段見られない景色や美しい景色を見られたこと … 続きを読む

page top