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まず、僕自身は分からないものを提示しているつもりはありません。だから、その人の中で理解が追いつく時がきっとくるはずだし、その理解の仕方は人それぞれでいいと思うんです。そのためにまずは、分からないという違和感を受け止めてもらえれば。違和感があるということは、その人の中に今までなかったページができたということなので、それを異物として捉えることが、自分をもう一度考えるきっかけになるんじゃないかなと。誰もがすんなり理解できるものより、ちょっと頑張らないと、というくらいの方が、人間的な成長や豊かさにつながると思いますし。
そういう意味では、女性のおなかに新しい命が宿ったときにも似ているのかなと。その新しい命を異物として受け止めるから、体が色々な訴えを始め、それと共に母親もおなかの子も育っていくわけですから。そんなふうに、ご覧になった方の中に異物が生まれることが、演じる側にとって、唐作品の一番の魅力です。
唐さんの作品は、宿っているエネルギーがものすごく強いんです。その点、「名前が売れた、売れない」ではなく、唐さんの言葉を紡げることが、役者として成功の1つだとは僕は思っています。そう言わせるのも、唐さんの築いてきた歴史と実力、つまり“腕力”なんでしょうね。だからといって、決して他の劇団を否定しているわけではありません。ただ、唐さんの戯曲の腕力が少しだけ強かったということなのかなと。僕はそういう唐さんの感情をすべて受け止め、皆さんに伝えていきたいと思っています。
それはありません。答えが分かっているところに飛び込むことほど、白けることはありませんから。分かっているものにすがり、安心できる材料を少しずつつまみながら人生を歩くより、分からない世界を手放しで精いっぱい生きた方が、よほど清々しいと思うんです。たぶん唐さん自身も、自分の作品を「誤読してほしい」と考えていたでしょうし、僕が誤読して演じることで、新しく生まれる答えもあるはずですから。でも、唐さん自身は「本当は僕の中に答えがあるんだけどね」と小さな声で怒っているような人だったんですけど(笑)。それも踏まえて、「唐さん、すいません」と謝りながらやろうと思っています。
自分の心身については、何も心配していません。僕は以前、大きな病気で死にかけて以来、今は3回目の人生を過ごしているようなつもりでいます。その中では今が、心身ともに一番元気なんです。何もかも滞ることなく、天地がつながるような気持ちよさがあって。それくらい、自分の中で安定しているので、一日二公演でもまったく問題ありません。だからぜひ、皆さんも劇場に足を運び、唐ワールドに触れてみてください。
(取材・文・写真/井上健一)
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