エンターテインメント・ウェブマガジン

(C)エンタメOVO
まず、僕自身は分からないものを提示しているつもりはありません。だから、その人の中で理解が追いつく時がきっとくるはずだし、その理解の仕方は人それぞれでいいと思うんです。そのためにまずは、分からないという違和感を受け止めてもらえれば。違和感があるということは、その人の中に今までなかったページができたということなので、それを異物として捉えることが、自分をもう一度考えるきっかけになるんじゃないかなと。誰もがすんなり理解できるものより、ちょっと頑張らないと、というくらいの方が、人間的な成長や豊かさにつながると思いますし。
そういう意味では、女性のおなかに新しい命が宿ったときにも似ているのかなと。その新しい命を異物として受け止めるから、体が色々な訴えを始め、それと共に母親もおなかの子も育っていくわけですから。そんなふうに、ご覧になった方の中に異物が生まれることが、演じる側にとって、唐作品の一番の魅力です。
唐さんの作品は、宿っているエネルギーがものすごく強いんです。その点、「名前が売れた、売れない」ではなく、唐さんの言葉を紡げることが、役者として成功の1つだとは僕は思っています。そう言わせるのも、唐さんの築いてきた歴史と実力、つまり“腕力”なんでしょうね。だからといって、決して他の劇団を否定しているわけではありません。ただ、唐さんの戯曲の腕力が少しだけ強かったということなのかなと。僕はそういう唐さんの感情をすべて受け止め、皆さんに伝えていきたいと思っています。
それはありません。答えが分かっているところに飛び込むことほど、白けることはありませんから。分かっているものにすがり、安心できる材料を少しずつつまみながら人生を歩くより、分からない世界を手放しで精いっぱい生きた方が、よほど清々しいと思うんです。たぶん唐さん自身も、自分の作品を「誤読してほしい」と考えていたでしょうし、僕が誤読して演じることで、新しく生まれる答えもあるはずですから。でも、唐さん自身は「本当は僕の中に答えがあるんだけどね」と小さな声で怒っているような人だったんですけど(笑)。それも踏まえて、「唐さん、すいません」と謝りながらやろうと思っています。
自分の心身については、何も心配していません。僕は以前、大きな病気で死にかけて以来、今は3回目の人生を過ごしているようなつもりでいます。その中では今が、心身ともに一番元気なんです。何もかも滞ることなく、天地がつながるような気持ちよさがあって。それくらい、自分の中で安定しているので、一日二公演でもまったく問題ありません。だからぜひ、皆さんも劇場に足を運び、唐ワールドに触れてみてください。
(取材・文・写真/井上健一)
『アリババ』『愛の乞食』は7月19日(土) 10時より、チケット一般発売開始。

『アリババ』『愛の乞食』
舞台・ミュージカル2026年6月12日
累計発行部数1億2000万部を突破した、原泰久による大ヒット漫画を原作とした舞台の第2弾となる「キングダムII ―継承―」が、8月9日から上演される。本作は、苛烈な戦乱の中にある中国・春秋戦国時代を舞台に、戦災孤児の少年・信と、のちの始皇 … 続きを読む
ドラマ2026年6月11日
NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。小一郎と秀吉が播磨攻略に難渋する様子を描いた6月7 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2026年6月11日
山本耕史が、ゆりやんレトリィバァとブロードウェイで活躍するキャストとともに挑む、日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」が、8月19日から上演される。本作は、1997年に映画をもとに誕生し、トニー賞作品賞を含む9部門にノミネー … 続きを読む
映画2026年6月10日
-久しぶりの主演作を経験し、お芝居について改めて気づいたことはありますか。 今後は、今までとは違うお芝居のアプローチに挑戦していってもいいのかな、と考えるきっかけになった気がします。現場で「ああすればよかった」、「こうすればよかった」とい … 続きを読む
映画2026年6月5日
『サンキュー、チャック』 (5月1日公開)★★★ チャックとは一体何者なのか 大規模な自然災害と人災が次々と地球を襲い、世界は終わりを迎えつつあった。すると、街頭やテレビ、ラジオに突如として、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい … 続きを読む