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気を付けたことで言うと、子どもたちがメインで見るので、物語の展開もそうですけど、スピード感みたいなものは割と気を付けていました。あとは、「こうやって言ったら分かるよね」というような、押し付けはしないように、気を付けて作っていきました。「ぱるてぃ」が出している速度感だったり、声の高さや言い方などは、監督や製作陣とも相談しましたが、それ以外は、1、2回「ここはこういう言い方をしてもいいですか」と聞いたぐらいで、ほとんど流れのままで。僕はすごくせっかちなので、しゃべり方は早口になりがちなんですけど、そこをなるべくわざとらしくないように抑えてやっていくのがルールでした。
僕が小さい頃の映画館は、今とはまるで違っていました。映画館ってこんなに人がいるんだというぐらい、いつも満員で、席と席との間の階段に座って見ている人もいました。多分2本立てのアニメが僕が最初に見た映画だと思いますが、子どもはアニメが好きで見ていて、大人は涼しいから寝ているみたいな、映画館の立ち位置がそういう形だったので、それはそれでよかったです。結構騒いでいたし、走り回る子どもたちもいたし、そんな中で見るのが普通だと思っていました。でも今の映画館のシステムは、本当にお客さまファーストと言いますか、もちろん値段も高くはなっているんだけど、一番見やすい環境を作ってもらっているというイメージです。
例えば、もし自分が約40分の映画を作るとなった時に、スピード感を持って、いろんな情報や展開、シーンを40分の中に入れ込んでいかなければと思うんですけど、この映画は見事にその逆をいっているというか。ゆったりとしているのをすごく感じましたし、やっぱりこれぐらいのスピード感じゃないと、子どもたちが見ていて楽しかったと感じるのはまだ難しいかもしれないと思いました。それこそ0歳児から見てもらいたいと、製作の人たちはちゃんと分析して捉えているんだと感じました。
親子で見ることを考えた場合、僕らも嵐のコンサートをやっている時に、親子席を多く設けていたので、親子の観客に対するアプローチの方法は、割と分かっていたつもりではあったんです。けれど、やっぱりそれは自分たちの環境下のルールなだけであって、映画というエンタメを考えた時に、こういった映画は他にないんじゃないかと思ったので、親子に対する向き合い方の価値観を改めて考えさせられました。令和の赤ちゃんたちは、ほんとにいい環境で育っていくんだろうな、昭和の赤ちゃんからすると、すごくうらやましい環境に今の赤ちゃんたちはいるんだろうなと感じました。
本当に、子どもたちの映画館デビューには持ってこいの作品・企画だと感じました。小さいお子さんたちと2時間ずっと一緒に映画を見たり、物語を追っていったり、不特定多数の人たちと一緒に見ることに対してのストレスや緊張がある中で、それを全部ストレスフリーにしている映画なので、映画館デビューにふさわしいと思います。多分、お子さんたちにとっても、成功体験の1つとして、映画が見られたことはとても大きなものになると思います。例えば、泣いたり、騒いだりしたとしても、それを大前提としている企画でもありますので、「行くところが見つからない」とか、「ずっと家にいても…」とか、そういう思いをお持ちであれば、ぜひ映画館に遊びに来ていただけたらと思っています。
(取材・文/田中雄二)
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