「ローマの共和制の問題点は、今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い」『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセン【インタビュー】

2024年11月15日 / 10:38

-息子役のポール・メスカルやデンゼル・ワシントン、ペドロ・パスカルら共演者の印象は?

 キャスティングを見たら「リドリーありがとう」という気持ちになりました。まるで買い物に行くような感じで、毎日わくわくしながらセットに入りました。こうした優れた人たちが集まると、演じるという行為から、精神的なものや意識、想像を解き放つエネルギーが生まれるんです。例えば、猫が2階の屋根から飛び降りるみたいな。見た目は猫のように落ち着いていますが、「アクション」と言われると、一気にエネルギーを解き放って、みんなで一緒に飛ぶみたいな感じでしょうか。

-この映画の魅力と続編の意味についてはどう考えていますか。

 この映画が、私がこれまでにやった続編ものと何が違うかというと、まず、24年の間があいたこと。とことん完璧さを追求できたこと。リドリー・スコット監督だから作り込み過ぎていないことが挙げられます。完璧に仕上げるのではなく、その中にちゃんと息遣いができる余白がある。現場に行っても脚本が進化し続けるんです。なので、例えば土台がしっかりとした家のここに羽を付けるとか、いろんなことができる自由さがありました。内装を変えることもできるし、ニュアンスを加えたりする余白もありました。監督によっては、俳優がいろいろなアイデアを出すことを歓迎する人もいます。でも、俳優が失敗したものは使わないという信頼関係も必要です。その点でもリドリーはちゃんとフィルターになってくれる人だと感じました。

-出身はデンマークで、ヨーロッパの映画とハリウッドの映画のどちらにも出ていますが、製作スタイルや印象は大きく違いますか。

 ヨーロッパには小さな製作会社がたくさんあります。それを国が支援して、金銭的な援助があることによって、利益を追求しながら映画を作る必要がないという土台があります。そうすると実験や探究ができる映画が作れます。すると、戦後のイタリアのネオリアリズム映画もそうですけれども、ヨーロッパ独自のものが生まれて、それがハリウッドに影響を与える。アメリカから影響を受けたヌーベルバーグがまたアメリカに影響を与えるというような構図ができます。世界中の何十億という人たちに見られることを意識したハリウッドの作品にも芸術性はあると思います。どちらが芸術的なのかとか、革新性や大衆性についても優劣はつけられないと思います。私は両方好きですし、これからもどちらにも出たいと思っています。

-日本の印象は?

 日本は大好きです。毎回来るたびに、本当に素晴らしい経験をしています。東京以外の所にもいつか行きたいと思っています。長く滞在して、日本の歴史や哲学や思想についてもっと知りたいと思います。

-最後に日本の観客に向けて、映画の見どころも含めて一言お願いします。

 皆さんは、スペクタクルを期待しているわけですよね。その点では、多分期待以上、想像以上のものを見たと感じて満足できるのではないかと思います。ここで具体的に言うよりも、まず映画館に入って、そこでいろいろなものを感じ取って、驚かされて、意外なところでショックを受けたり、感動する経験を期待してくださればいいかなと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ファーストサマーウイカ「それぞれの立場で“親と子”という普遍的なテーマについて、感じたり語り合ったりしていただけたらうれしいです」日曜劇場「19番目のカルテ」【インタビュー】

ドラマ2025年8月17日

-主演の松本潤さんとお芝居で対峙(たいじ)してみての印象を教えてください。  松本さんは、演じられている徳重先生と共通して、とても包容力のある方だと感じます。現場でもオフでも、相手を受け止めて認めた上で、的確かつ愛を持ってアプローチされるの … 続きを読む

橋本愛 演じる“おていさん”と蔦重の夫婦は「“阿吽の呼吸”に辿り着く」【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年8月16日

-そんな魅力的な蔦重を演じる横浜流星さんの座長ぶりはいかがでしょうか。  横浜さんは、蔦重さんをどう演じるか、常に誠実に真面目に考えていらっしゃいます。そういう空気がスタッフやキャストにも伝播し、しっかり取り組もうという空気感が現場全体に生 … 続きを読む

山里亮太「長年の“したたかさ”が生きました(笑)」 三宅健太「山里さんには悔しさすら覚えます(笑)」STUDIO4℃の最新アニメ『ChaO』に声の出演【インタビュー】

映画2025年8月15日

-ネプトゥーヌス国王役の三宅さんはいかがでしょうか。人魚という設定の上に、娘と接するときと、それ以外では雰囲気がだいぶ違いますが。 三宅 ネプトゥーヌス国王は、「屈強で、威厳があり、でも娘に甘い」。最初にその3つのファクターを大事に、と伺い … 続きを読む

ウィリアム・ユーバンク監督「基本的には娯楽作品として楽しかったり、スリリングだったり、怖かったりというところを目指しました」『ランド・オブ・バッド』【インタビュー】

映画2025年8月14日

-リアム・ヘムズワースとラッセル・クロウを演出してみていかがでした。  2人とも自分が演じるキャラクターを見いだすための努力を惜しまず、そのキャラクターの中にある真実や誠実さを見つけてくれます。さらにそのキャラクターにエンタメ性や楽しさも持 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(1)“たまたま”が導いた講談の道

舞台・ミュージカル2025年8月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼みなさん、こんにちは  日本の伝 … 続きを読む

Willfriends

page top