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キャスティングを見たら「リドリーありがとう」という気持ちになりました。まるで買い物に行くような感じで、毎日わくわくしながらセットに入りました。こうした優れた人たちが集まると、演じるという行為から、精神的なものや意識、想像を解き放つエネルギーが生まれるんです。例えば、猫が2階の屋根から飛び降りるみたいな。見た目は猫のように落ち着いていますが、「アクション」と言われると、一気にエネルギーを解き放って、みんなで一緒に飛ぶみたいな感じでしょうか。
この映画が、私がこれまでにやった続編ものと何が違うかというと、まず、24年の間があいたこと。とことん完璧さを追求できたこと。リドリー・スコット監督だから作り込み過ぎていないことが挙げられます。完璧に仕上げるのではなく、その中にちゃんと息遣いができる余白がある。現場に行っても脚本が進化し続けるんです。なので、例えば土台がしっかりとした家のここに羽を付けるとか、いろんなことができる自由さがありました。内装を変えることもできるし、ニュアンスを加えたりする余白もありました。監督によっては、俳優がいろいろなアイデアを出すことを歓迎する人もいます。でも、俳優が失敗したものは使わないという信頼関係も必要です。その点でもリドリーはちゃんとフィルターになってくれる人だと感じました。
ヨーロッパには小さな製作会社がたくさんあります。それを国が支援して、金銭的な援助があることによって、利益を追求しながら映画を作る必要がないという土台があります。そうすると実験や探究ができる映画が作れます。すると、戦後のイタリアのネオリアリズム映画もそうですけれども、ヨーロッパ独自のものが生まれて、それがハリウッドに影響を与える。アメリカから影響を受けたヌーベルバーグがまたアメリカに影響を与えるというような構図ができます。世界中の何十億という人たちに見られることを意識したハリウッドの作品にも芸術性はあると思います。どちらが芸術的なのかとか、革新性や大衆性についても優劣はつけられないと思います。私は両方好きですし、これからもどちらにも出たいと思っています。
日本は大好きです。毎回来るたびに、本当に素晴らしい経験をしています。東京以外の所にもいつか行きたいと思っています。長く滞在して、日本の歴史や哲学や思想についてもっと知りたいと思います。
皆さんは、スペクタクルを期待しているわけですよね。その点では、多分期待以上、想像以上のものを見たと感じて満足できるのではないかと思います。ここで具体的に言うよりも、まず映画館に入って、そこでいろいろなものを感じ取って、驚かされて、意外なところでショックを受けたり、感動する経験を期待してくださればいいかなと思います。
(取材・文・写真/田中雄二)
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