Ryuji(佐藤流司)、バンド活動に「支えられている」 「何もない」ことを書いたデジタルシングル「無」リリース【インタビュー】

2024年2月5日 / 18:00

 俳優・佐藤流司がアーティスト「Ryuji」として、PENICILLINのHAKUEIとともに結成したバンドプロジェクト「The Brow Beat」の2024年第1弾デジタルシングル「無」が現在配信中だ。さらに、5月には東名阪ライブツアーも控え、その活動にさらなる注目が集まっている。Ryujiに新曲「無」に込めた思いやライブツアーへの意気込み、20代最後となる2024年の活動について聞いた。

The Brow Beat(写真:宮脇進 (PROGRESS-M)

-今回のシングル「無」はRyujiさんが作詞された楽曲ですが、どんな思いを込めて歌詞を書いたのですか。

 まず、楽曲よりも先に1月17日にシングルを出すことが決定したのですが、そのタイミングでは書きたい思いやどんな曲にしたいということがなかったんですよ。でも、うそは書きたくなかった。何も書きたいことがないのに、当たり障りのない歌詞で出すのは聞いてくださる方にすごく失礼だと思ったので、「何もない」ことを書こうと試みたのがこの曲です。普段感じる無気力や無感情、無秩序、それからマンネリといったものを歌詞に集約させて、ひたすら何もないと感じる人生を書いてみようと思って書いた次第です。今までは、例えば「怒り」を書くにしても、この怒りがあるから明日もどうにかしていこうと、少しでも前向きな思いにつながっていたのですが、今回はずっとマイナスな気持ちだけで作っています。

-これまでは「何も書くことがない」ということはなかったんですか。

 なかったですね。必ず書きたいことがありました。大抵は、何かに対する怒りだったり、生命を愛でる気持ちだったのですが、それもすでに書いてしまったし…。今だったら書くことがありますし、たまたまそういうタイミングだったという感じです。

-そうしたマイナスな感情を歌詞にすることで共有したいと?

 みんなそうだと思いますが、悲しいときにこそ例えばSNSとかに思いを書いてしまうじゃないですか。それが俺は作詞だったという感覚です。きっとみんな誰かに「しんどい」とか、「今、辛い」ということを聞いてもらいたいのだと思います。

-サビの歌詞「トゥルリリ・トゥルリバ」にはどんな意味が込められているのですか

 この世にない言葉を作ろうと思って作った言葉なので、何も意味がない言葉です。

-英語を略した言葉かと思いました。

 確かに。ただ、意味はないけれども、含みがあるように見えたらいいなとは思っていて。歌詞の最後の「言葉さえ あああ」にも本当は歌詞があって、歌っているんですが、そこだけ全く聞こえないようにしているんですよ。芸術には難解であることが大事だと思っているので、この曲もよく分からないと思わせたいという思いがあります。

-ビジュアルはどのようなイメージから作り上げたものですか。

 いろいろな要素を融合させたいと思ってこの形になりました。中にパーカを着たり、革のグローブをはめたりして、ジャンルにとらわれないことをイメージしています。

-HAKUEIさんとの2ショットではなく、Ryujiさんのソロということには何か意味があるのですか。

 原点回帰をしようという思いがあって、今回はソロになりました。お客さまにもいろいろな意見があると思うんですが、もう一回、最初の頃のようにHAKUEIさんプロデュースの俺のバンドプロジェクトという形にしようと。原点に立ち返って表現していこうという思いからです。

-なるほど。今回、もう一曲、「The Brow Beat小学校校歌」も発表されましたが。(オフィシャルストアで販売されたMカードにのみ収録)

 別に語ることは何もないです(笑)。

-校歌はThe Brow Beatの定番になりつつありますよね。

 いや、でも今回で本当に最後にしたい(笑)。今回も「じゃあ、やりますか」とスッと決まったのですが、次はもう絶対にやりません!

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

Willfriends

page top