東出昌大「頑張るべきは芝居」 記事にできないような会話の応酬が続く、舞台「ハイ・ライフ」でジャンキー役【インタビュー】

2023年11月23日 / 08:00

 映画『Winny』でファイル共有ソフトの開発者を熱演して高い評価を受け、2024年には狩猟生活を写したドキュメンタリー映画『WILL』の公開も控えている東出昌大。11月23日からは、まつもと市民芸術館プロデュース舞台「ハイ・ライフ」で4人芝居に挑む。4人のジャンキーたちが一獲千金を狙って銀行強盗を企てるという本作で、東出が演じるのは前科まみれのディック。東出に本作への意気込みや俳優としての現在の思いなどを聞いた。

東出昌大 (C)エンタメOVO

-稽古真っただ中だと思いますが、手応えは感じていますか。

 ポジティブな意味で、とても難しい芝居なので、こんなに芝居で悩んだのは近年まれだなと感じています。

-どんなところが難しいと感じているのですか。

 もし仮に一つだけ挙げるとしたら、やっぱりせりふだと思います。翻訳劇の難しさですね。英語版も読みましたが、英語ではもっと言葉が短いんですよ。ただ、それを日本語に訳すときに、どうしても言い回しが長くなってしまい、テンポが損なわれてしまうところがある。原作の良さも引き出しながら、物語の疾走感を伝えなくてはいけない。せりふが全部、部品だとするならば、今はその部品の点検を一つ一つしている感じです。

-東出さんが演じるディックという役柄については、どう捉えていますか。

  ジャンキーで、口八丁手八丁と台本には書かれていますが、同時に策士だなと思います。ただ、愚にもつかない連中の集まりなので、ディックもものすごい天才だとか、スーパーマンみたいだということは一切ない。俗物中の俗物という人物だと思います。

-そんなディックを演じるにあたって、どんなことを意識していますか。

 記事にはとても書けないような言葉を常にまくし立てている男たちなので、そのリアリティーを出すことです(笑)。

-なるほど。いつも役作りはどのようにしているのですか。

 作品によっても違いますが、僕は、例えばコンピューターのプログラマーの役ならば、まずプログラミングやテクノロジーの進捗(しんちょく)状況を勉強しますし、例えば舟の船頭の役ならば舟をこぐ練習をします。実際に勉強したり体験したりして役作りをしていくことが多いんです。ただ、今回は、役作りだからといって違法薬物を打つわけにはいかないので、想像して作っているところがあります。今はあらゆる映像をネット上で見ることもできるので、そうした映像を参考にもしています。

-東出さんが感じている本作の魅力は?

 これほどまでに欲求に素直な4人の会話は、日本で生活していたら、見られないものだと思います。本当に記事にできないような内容が続く2時間なので(笑)。お客さまには非日常と、その中にあるおかしさを感じ取っていただけるのではないかなと思います。それがこの作品の魅力でもあり、見に来てくださった方にストレスを発散していただけるかなと思います。

-本作に出演したいと思ったのはどんな理由からだったのですか。

 男4人芝居で、1カ月間、しっかりと稽古ができるのは楽しそうだなと思いました。くだらないことを話し続ける会話劇で、役者の技量が如実に問われる作品だとも感じました。絶対にできるという自信を持って受けた仕事ではなく、何としてでも食らい付いて、これを機に成長したいという気概で受けた仕事です。

 -松本で滞在稽古(泊まり込んでの稽古)とうかがいました。現在(この取材時)は、関東近郊で稽古を行っていますが、この後、松本に入られるんですよね。そうした経験は初めてですか。

 初めてです。なので、ものすごく楽しみです。欲を言えば、まるまる1カ月、松本で缶詰になりたかったくらいです。日本の役者はすごく時間のない中で稽古することが多い状況です。海外では、一つの作品を作り上げるのに何カ月も稽古をしてロングランで上演するということがザラにあるのですが、それに比べると、とにかく時間がない。ただ、今回は泊まり込んで稽古をするわけですから、寝食を共にしながら芝居のことに没入できるので、そういう意味では他の作品よりもさらに奥に踏み込めるのではないかという期待があります。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ゆりやんレトリィバァ監督、南沙良「この映画を見た後で告白されたらもう振ることはできないと思います。だから“恋愛成就ムービー”なんです」『禍禍女』【インタビュー】

映画2026年2月14日

 お笑い芸人のゆりやんレトリィバァが映画監督に初挑戦した『禍禍女』が絶賛上映中だ。「好きになられたら終わり」という「禍禍女」を題材に、ゆりやん自身のこれまでの恋愛を投影しながら描いたホラー映画。ゆりやん監督と早苗役で主演した南沙良に話を聞い … 続きを読む

不条理犯罪ファンタジーで再タッグの安田章大&古田新太、「映像じゃできないギリギリを走るのが演劇の面白さ」 「音楽劇 ポルノスター」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年2月14日

 3月8日の大阪公演から幕を開ける「音楽劇 ポルノスター」にSUPER EIGHTの安田章大と古田新太が出演する。近年、歌舞伎や劇団四季なども手掛ける青木豪が作・演出を務める。青木、安田、古田の3人が揃うのは、ブラックで危ない笑いが満載の痛 … 続きを読む

「身代金は誘拐です」“有馬”桐山照史の不可解な行動にSNS騒然 「社長、その傷…」「毎回展開が早くてびっくり」

ドラマ2026年2月13日

 勝地涼と瀧本美織がW主演するドラマ「身代金は誘拐です」(読売テレビ・日本テレビ系)の第6話が、12日に放送された。(※以下、ネタバレを含みます)  本作は、娘を誘拐された夫婦が「娘の命を救うために、他人の子どもを誘拐できるか?」という極限 … 続きを読む

「栄養たっぷりないちごを食べて、元気にライブに来て」 「原因は自分にある。」大倉&吉澤が渋谷で呼びかけ

2026年2月2日

 7人組ボーカルダンスグループ「原因は自分にある。」の大倉空人と吉澤要人が2月1日、東京・渋谷で開催された「とちぎのいちごふぇす2026」のトークショーに登壇した。  このイベントは、収穫量日本一の「いちご王国」栃木県産いちごの魅力を味わっ … 続きを読む

「リブート」「もうみんながリブートしていそうな気がする」「シュークリームが食べたくなる」

ドラマ2026年2月2日

 日曜劇場「リブート」(TBS系)の第3話が、1日に放送された。  本作は、最愛の妻の死をめぐってうそと真実が入り乱れ、日曜劇場史上類を見ない怒濤のスピードで展開していく“エクストリームファミリーサスペンス”。鈴木亮平が善良なパティシエと悪 … 続きを読む

Willfriends

page top