檀れい「幼い頃の私が感じたドキドキやワクワクを、今度は私がお届けしたい」 スペシャルライブで見せる素の姿【インタビュー】

2023年10月10日 / 11:30

ー俳優としても大活躍されています。日曜劇場「VIVANT」で演じた西岡英子役も存在感があり、非常に印象深いキャラクターでした。

 「VIVANT」が放送された後は、たくさんの記事で取り上げていただき、とてもありがたかったです。(西岡は)2話から登場したのですが、いい人に見えて、実はバルカ共和国の外務大臣・ワニズにノーが言えない、弱い立場の大使でした。その微妙な表情を表現するのが難しかったです。というのも、この作品は、見終わったらまたもう1回見たいと思う方が多い作品だと思ったんです。きっと何度もリピートして見てくださる方がいらっしゃるから、1回目に見た時は気付かなかったけど、2回目には新たな発見をしてもらえたらと思っていました。それで、「こういうふうに演じていたんだ」とか「ここでこんな表情をしているな」とか、「実はここでワニズと電話で話していたんだ」など、ストーリーが分かってから見ても面白く見てもらえるように、どちらにでも転がるような見え方をしたいと思って演じていました。監督にも何度も確認しながらお芝居をした作品でした。

ー撮影で印象に残っている出来事を教えてください。

 10話で堺(雅人)さんと阿部(寛)さんが私に詰め寄るというシーンで、堺さんがぶつかりそうなくらい顔を近づけて演技をされたんですよ。お互いに絶対に目線を外さないという強い表情で見合っているシーンだったのですが、そのシーンを演じた時に「ああ、日曜劇場だな」とすごく感じました(笑)。いい緊張とすてきなお芝居で、お二人に詰めよられてワクワクしましたね。

ーそうした映像作品での芝居の楽しさ、魅力はどんなところに感じていますか。

 映像の場合、1日のうちの数時間でそのシーンが終わってしまうので、それをもう2度と演じることはないんですよ。舞台の場合、稽古があって、千穐楽まで何度も同じお芝居ができるので、その中でどんどん成長していくのですが、映像はそうした長い時間をかけて成長する場がありません。自身で考えた役作りや、相手との呼吸、相手がどのようなお芝居をするのかという中で、何を感じて、役としてどう表現するのかを本当に短い時間で感じとって考えて、答えを出さなくてはならない。それはとても難しく、大変なことですが、同時に面白いところでもあります。そこに集中すると、自分がどう演じたのか、自分でも分からない時があるんですよ。それは、段取りでも計算でもなくて、突然何かがワッと出てきたような感覚、それが何なのか自分でも分からない。その自分でも思いがけないものが出るというのは、映像でのお芝居の魅力の一つでもあると思います。

ーでは、檀さんが考える、これから先の未来についても教えてください。今後、俳優としてはどのような未来を思い描いていますか。目標や理想像は?

 それは1番難しい質問ですね(苦笑)。私は、これまでも与えられたものを必死でやってきた31年だったので、こうしたい、ああしたいという思いはあまりないんです。自分の要望を伝えたのは、昨年のライブが初めてだったかもしれません。もちろん、すてきな作品に巡り合いたい。すてきな共演者、監督と一緒にお仕事したいという漠然とした気持ちはありますが、うーん、やりたいことがあるような、ないような…。欲がないのかしら。これからは欲深く生きていこうかな(笑)。

ーそうすると、ライブを開催するということは檀さんにとってとても大きなことですね。

 そうですね。役を通して誰かを演じるのではなく、素の姿を皆さまにお届けして、より深く私を知ってもらえる場になると思います。お酒を飲みながら、すてきな演奏に身を委ねて、楽しいひと時を過ごしていただけたらいいなと思っています。

(取材・文/嶋田真己)

 「檀れい Special Live 2023 Rose」は、10月15日・17日に都内・丸の内コットンクラブで開催。

 

 

  • 1
  • 2
 

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

原田琥之佑「この映画は、何でもあるけど、何にもないみたいなところが一番の魅力だと思います」『海辺へ行く道』【インタビュー】

映画2025年8月26日

-同年代の共演者とはアドリブでやり取りをしたこともありましたか。  奏介がテルオたちと大きなオブジェを作るシーンがあって、映画のスピードはずっとゆっくりなのに、あのシーンだけ会話のスピードが速くなるんです。そこで結構アドリブを入れたんですけ … 続きを読む

上田竜也&橋本良亮、舞台初共演を通して「絆はより強固になる」 音楽劇「謎解きはディナーのあとで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月26日

-皆さんの歌唱シーンもあるのですか。 橋本 それはもちろん、ちょくちょくあります(笑)。歌います。アンサンブルの方と一緒に歌うシーンもありますが、ミュージカルではないんです。バックに流れていて、それに合わせて芝居していくという形だと思います … 続きを読む

青山貴洋監督「問診シーンが最大の課題に」日曜劇場『19番目のカルテ』【インタビュー】

ドラマ2025年8月25日

 また、原作から得た気付きも大きいという。「原作には、読者の感情を揺さぶる瞬間が描かれています。それがどこにあるのかを探りながら、ドラマにもそのエッセンスを取り入れるようにしています」。  原作の短編では、百々がさまざまな医療機関を受診して … 続きを読む

中園ミホ 連続テレビ小説「あんぱん」は「やなせたかしさんが書かせてくださった」執筆を終えた脚本家が物語を振り返る【インタビュー】

ドラマ2025年8月22日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、いよいよクライマックスが近づいてきた。このタ … 続きを読む

森田剛「戦争と背中合わせの世界であるということは今も変わらない」 19世紀を代表する未完の戯曲に挑む パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月22日

-本作は、19世紀を代表する未完の戯曲です。そうした作品を今、上演する面白さや魅力はどう感じていますか。  自分は与えられた役を生きることに集中したいと思います。ただ、今も昔も、みんなそれぞれに傷ついて、それを隠して生きていると思います。戦 … 続きを読む

Willfriends

page top