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「らんまん」中田青渚「寿恵子さんとの初対面では、浜辺美波さんに助けられました」万太郎夫妻と交流を深めていく田邊教授の妻・聡子役で朝ドラ初出演【インタビュー】

 NHKで放送中の連続テレビ小説「らんまん」。“日本の植物分類学の父”牧野富太郎博士をモデルに、愛する植物のため、明治から昭和へと激動の時代をいちずに突き進む主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の波瀾(はらん)万丈な生涯を描く物語だ。東京大学で研究に打ち込む万太郎の師に当たる田邊彰久教授(要潤)の妻・聡子を演じるのは、これが朝ドラ初出演となる中田青渚。やがて万太郎の妻・寿恵子(浜辺美波)と交流を深めていく聡子役に込めた思いを聞いた。

田邊聡子役の中田青渚 (C)NHK

-朝ドラ初出演が決まったときの気持ちを聞かせてください。

 朝ドラは何度かオーディションを受けたことがあって、いつか出たいと思っていたんです。でも、今回出演できるとは思っていなかったので、すごくびっくりしました。それからじわじわとうれしさが込み上げてきて。ただ、演じる上では、朝ドラだからといって特別なことをすると破綻しそうな気がしたので、普段通りを心掛けました。

-座長の神木さんの印象は?

 神木さんは朝から晩までずっと撮影しているので、一番大変であるにもかかわらず、疲れているはずの夜でも、周りを明るく盛り上げてくださるんです。それを見て、これが朝ドラの主人公なんだなと。最初は私も緊張していたので、なかなか話し掛けられなかったんですけど、クランクインの日にほぐすような言葉を頂けて、すごく助かりました。そんなすてきな方なので、たくさんの方に愛されているんですよね。神木さんの30歳の誕生日には、メークさんたちがみんなでメーク室を華やかに飾りつけていたこともありました。私もそんな神木さんを見習って、いつかヒロインを演じられたら…と思っています。

-ご自身が演じる聡子という女性については、どんな印象を持っていますか。

 一見、内気でおどおどしているように見えますが、女学校に通っていたので、実は賢い女性です。自分の意見もしっかり持っていて、言うときは言うタイプ。なので、演じる上ではただ内気なだけにならないように気を付けました。そういう意味では、華やかさはありませんが、静かさの中にりんとした強さがある雰囲気が魅力だと思います。

-中田さんご自身は聡子の夫の田邊教授をどんな人だと捉えていますか。

 ただ植物が好きなだけの人なんですけど、政府の仕事など、他にやらなければならないことが多く、ちょっと不器用なところもあるのかなと。聡子が寿恵子さんに「買い物に行ったとき、白い大きな枕を抱いていた教授がちょっとかわいかった」と話す場面も、怖いイメージのあった田邊教授の意外な一面が垣間見えて印象的でした。聡子は田邊教授のそんなところが好きなのかなと思って、女子高生のような気持ちで演じていました。

-田邊教授役の要潤さんの印象は?

 要さんとは初対面だったので、お会いしたときは、とても背が高くて驚きました。ただ、撮影の合間にお菓子を食べる姿を見ていたら、「聡子が田邊教授を『かわいらしい』と思うのはこういうところなのかな」とイメージが重なりました(笑)。

-田邊宅を訪ねた寿恵子と2人だけで話をするシーンは、緊迫感のある万太郎と田邊教授のやり取りとは対照的に、和やかな雰囲気が漂っていてすてきでした。

 あのシーンは私が撮影に入って2日目だったので、すごく緊張していたんです。でも、とても安心感のある浜辺さんのおかげで、だいぶ助けられました。しかも、後半にかけて聡子の緊張もほぐれていくんですけど、私自身も何となくほぐれていくような感じがあって、聡子とリンクするものを感じました。

-初対面で「お友だちになりましょう」と意気投合した聡子と寿恵子ですが、2人の関係は今後、どうなっていくのでしょうか。

 寿恵子さんの方が妻としても先輩なので、頼りにしていますし、大事なときに助けてもらったりして、2人の絆はさらに深まっていきます。やがてそんな寿恵子さんの影響を受けた聡子は「自分も強くなりたい」と思うようになり、成長していくことになります。演じる上でもその辺は意識していて、聡子はもともと話し方がゆったりで大声は出さないんですけど、大事な場面ではスピードを速めてみたり、少し芯のある声を出してみたりして、変化をつけるようにしています。

-今後の聡子の見どころは?

 少し先になりますが、大きな挫折を経験した田邊教授を、聡子が励ますシーンがあります。それまで、夫婦であってもスキンシップの場面がなかった2人ですが、そこで初めて、聡子が田邊教授に触れたことをきっかけに2人が対等な夫婦として認め合い、聡子も変わっていきます。台本を読んだとき、想像以上に重要な役で驚きましたし、こんなにすてきな役を頂いた責任感と緊張感で身が引き締まりました。とても大切なシーンだったので、演じる上では「あなたを支えたいんです」という気持ちだけは忘れないようにしました。私が撮影に慣れ、要さんとの距離感もほぐれていく過程と、聡子が成長していく過程がリンクして進んでいった感覚があり、すごくいいシーンになったと思います。

-最後に視聴者へのメッセージを。

 聡子の成長を見守っていただきたいのはもちろんですが、変化していく田邊教授と万太郎さんとの関係や、友情を深めていく聡子と寿恵子さんの関係にもぜひ注目していただけたらうれしいです。

(取材・文/井上健一)

田邊彰久教授(要潤)の妻・聡子を演じる中田青渚(左)(C)NHK

 

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