失職し、自暴自棄になった若林恵麻(桜井日奈子)は、偶然出会った夜の街のスカウトマン(落合モトキ)に連れられ、「魔女さん」と呼ばれるミステリアスな白石弥生(黒木瞳)が営む香水店を訪れる。その店を手伝うことになった恵麻は、キンモクセイの香りをまとった実業家の横山蓮(平岡祐太)と出会う。香水をテーマに一人の女性の成長を描いた映画『魔女の香水』が公開中。この映画で実業家の横山を演じた平岡祐太に、映画や演技について聞いた。
-この映画は、ある意味、香水が主役のような感じもしますが、香水に興味はありましたか。
香水はもともと好きで、お店で調合してもらったりもしていました。香水のようないい香りをかぐと、その時のいい記憶を思い出したりします。そういうことは日常の中でもあるので、割と自分の近くにあるものだと感じていました。
-今回は、キンモクセイの香水をつけている人という設定でしたが、好きな香水は?
僕は、ムスクとか木の香りの方が好きかもしれないですね。部屋の加湿器に入れるオイルもユーカリとか、木の香りのものを入れています。
-撮影中に印象に残ったことや、撮影秘話のようなものがあれば教えてください。
現場でやったお芝居と、出来上がりのイメージがすごく違いました。台本だと割とすっきり書かれているところが、映画を見るとすごく濃厚なシーンになっていたりして。そこは意外でした。
-今回は起業した社長の役でしたが、起業してみたいと思ったことはありますか。
自分で起業するということに憧れはありますが、どちらかというと、クリエーターみたいな方がいいかなと思います。自分はあまり人の上に立つような人間じゃないと思っていて、起業するとなると、下の人たちの面倒をみたり、仲間を集めたりすることが必要ですが、そういうことはあまり得意ではないので、一人でコツコツと突き詰めていく、クリエーターみたいな方がいいかなと思います。
-今後、演じてみたい役や、目標があれば。
もっと監督と出会いたいと思います。まだ出会っていない監督がたくさんいるので。例えば、是枝裕和監督とご一緒したいですね。もちろん役柄にもよりますが、監督によって、役の見え方も変わってくると思うので。
-ご自身で何か頑張っていることはありますか。
結構オンとオフははっきりしてきました。オフの時は、メリハリをつける意味でも役者のことは考えてないというか。僕の考える役者は、役者以外のことをもっと知っていないといけないなというのがあります。例えば、本を読んだり、役者以外の友達と触れ合っていく中で学ぼうと考えています。今回の起業家の役もそうですが、役者の世界にはいない人たちなので、役者以外のフィールドで、いろんな人と接することが大事なんだと改めて思いました。相手の心を理解するという部分でも、まず相手が何をしているのかを知るところから始まるのかなと思います。
-最後に、観客に向けて一言お願いします。
この映画は、所々に名言みたいなものが出てくるんですけど、それが、自分に刺さるところもあると思うので、羅針盤といいますか、映画を見てくれる人の、次のステップや、人生の手助けになるような、そんな映画になったらいいかなと思います。
(取材・文/田中雄二)