エンターテインメント・ウェブマガジン
篠原 恭子は最終的に大きな決断を下しますが、それまでの流れを見ているとすごくきれいな形だったのかなと思います。そのまま何も変わらずにいたら、お互いによくない状況になっていたと思うので。お互いに自立して、見直していこうと前を向いているので、ハッピーエンドだったと私は感じました。
山崎 夫サイドからしますと、僕も孝志も全く納得していません。台本はここで終わっているから仕方ないですが、もし、あと10ページ台本があって、あと20分上演時間があって、延長戦があるならば、僕は何としても巻き返します(笑)。
篠原 やはり支え合うことが大事だと思います。この作品でもそうですが、最初はきれいなところだけを見せていても、一緒に暮らして、夫婦として生きていくとなると、それだけではいられない。見られたくない、見せたくないところも見られてしまいますし、相手の見たくないところも見てしまう。それでも、一緒にいたいという気持ちが勝って、乗り越えて、一緒に生きていくというのが理想の夫婦の形なのかなと思います。この作品で恭子と孝志は、ずっとけんかをしていますが、でも、憎めなかったり、いとおしく思ったりもしているところもあるのかなと思いました。だから、「好きじゃない」とは言わない。「好きだけど、魅力がなくなっただけ」という言い方をする。自分のわがままを聞いてほしいだけなんだと思います。だから「あなたも変わっちゃたわね」とか「努力してほしかった」という言葉になる。お互いに思いやっている夫婦なんだと私は感じました。
山崎 僕は、理想を追い求めるとすごく苦しくなると思うんですよ。年を重ねると、どうしても今できることができなくなっていきます。肉体的に衰えていくから、どうしようもないこともあるんですよ。そんな中で理想を追い求めるよりも、理想通りにいかないことをいかに許していけるかが大事だと思います。相手を許せなかったり、理想通りに進めることができない自分を許せないという怒りが積み重なって爆発してしまうことがあると思いますが、僕はできれば許せる人間になりたい。人を許せないということは、自分も許してもらえないことだと思うので。甘えたことを言いますが、僕は許してもらいたいから、相手のことも許す。都合のいい話ですが、許し合えることが理想かなと思います。
篠原 今、山崎さんのお話を聞いて、本当に「許す」というのは大事なことだなと思いました。許せないとその思いが憎しみに変わってしまい、自分もいい人間になれなくなりますよね。許すことで相手も変わっていくと思います。許し合うことは本当に大切なことだと思いました。
山崎 半世紀近く人間をやってきて、僕はここ半年ぐらい、好きな人とだけ一緒にいられたらいいかなと思うようになりました。10年、20年来の友達がいて、本当に自分を理解してくれる人がいればそれでいい。新しい出会いもすてきですし、もしここから新たに10年、20年の友情を築いていける人と出会えたらとても素晴らしいですが、それを探すよりも、今いる方を大事にしようと思っています。
(取材・文・写真/嶋田真己)
朗読劇「したいとか、したくないとかの話じゃない」は、4月20日~23日に都内・俳優座劇場で上演。公式サイト
ドラマ2025年7月1日
ドラマ「私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~」が、7月1日からテレ東系で放送がスタートする。本作は、グアムを訪れた世代が違う男女3組のとある1週間を描いた物語。30代の夫婦(蓮佛美沙子、溝端淳平)、20代の大学生カップ … 続きを読む
ドラマ2025年6月29日
-それが変わってきたということでしょうか。 物事は、ある程度加速がつき、歯車がスムーズに回り始めれば、少ないエネルギーで進んでいくようになりますが、スタートするときは膨大なエネルギーが必要です。この作品もそういう過程を経て、ようやく彼が笑 … 続きを読む
映画2025年6月27日
-30年間やってきて、栗田さんなりのルパンに対する思いや魅力について。また栗田さんにとってルパンとはどういう存在でしょうか。 やっぱりルパン三世の声は、パート2や『ルパン三世 カリオストロの城』(79)の頃の、山田さんが一番元気だった頃の … 続きを読む
映画2025年6月27日
-三池崇史監督の演出や映画に対する姿勢についてはどう感じましたか。 大倉 あまり無駄なことはおっしゃらないです。すごく明確な演出をなさいます。僕の場合は、校長と薮下先生との間に挟まれているという、スタンスにちょっとよどみがあったのかもしれな … 続きを読む
映画2025年6月27日
『アスファルト・シティ』(6月27日公開) 犯罪と暴力が横行するニューヨークのハーレム。クロス(タイ・シェリダン)は医学部への入学を目指し勉学に励む一方で救急救命隊員として働き始める。 ベテラン隊員のラット(ショーン・ペン)とバディを組 … 続きを読む