X


サム・ワーシントン「愛する者を守ることが描かれている」スティーブン・ラング「とてもミステリアスでパワフルな世界」『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』【インタビュー】

 ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』13年ぶりの続編で、舞台を森から海に移した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が、12月16日から全国公開される。今回は、ジェイク(サム・ワーシントン)とネイティリ(ゾーイ・サルダナ)との間に新しい家族が増え、家族の愛と絆の物語がエモーショナルに描かれる。主人公ジェイクを演じたワーシントンと、海兵隊の大佐からナヴィに転生したクオリッチを演じたスティーブン・ラングに話を聞いた。

スティーブン・ラング(左)とサム・ワーシントン (C)エンタメOVO

-この映画のテーマの一つは、ジェイクとクオリッチの対決と、対照的な2組の親子の関係性にあると思いますが、演じていてどう感じましたか。

ラング クオリッチはジェイクに対して怒っています。自分が兄弟のように感じて、友情を結んだと思っていた人に裏切られたからです。それから、クオリッチはすごくフラストレーションがたまってイライラしています。それは自分が死んでしまったのに、それを覚えていないからです(笑)。今回、彼はナヴィとして再生されたわけですが、その怒りを増幅させて、ジェイクと相対しています。

ワーシントン もともと海兵隊というのは、ファミリーのようなものです。ジェイクにとってクオリッチは、自分の過去を象徴する存在であり、脅威でもあり、なかなか殺せない相手なのです。人は過去を消すことはできず、それに向き合うしかない。もしかしたら、この先続くジェイクの物語で、そうしたことが描かれていくのかもしれません。

-お二人にとって、『アバター』という作品はどのような存在になっていますか。

ワーシントン 家族について描いた感動的なドラマだと思っています。それが、自分が選んだ家族の形であれ、惑星であれ、愛する者を守ることが描かれていると思います。僕にとっての最初の『アバター』は、新しい文化、人々、世界、愛といったものに目を開くことでした。今回は、それらを守ることを学んでいる状態を描いていると思います。

ラング とてもパワフルな視点をくれるものだと思います。自分が対処しなければならないものを学ぶ世界だと感じます。とてもミステリアスでパワフルな世界ですが、自分をオープンにしてそれに合わせなければなりません。パンドラが自分に合わせるのではなく、自分から適合しなければならない。とてもミステリアスなものだと思っています。

-ラングさんは、初めてパフォーマンスキャプチャーを体験した感想を、2度目のワ―シントンさんは、技術的に進化したと思ったところを聞かせてください。

ラング この映画では、パフォーマンスキャプチャーが支配的な役割を果たしています。私は、前回も自分の役が大好きでしたが、実写だけだったので、今回、パンドラの世界をしっかりと体験するには、パフォーマンスキャプチャーをしなければなりませんでした。実際にやってみると大変でしたが、とても楽しかったです。とてもいい指導者がいましたし、前作でやった人たちもいたので、彼らにもいろいろと聞いて参考にしました。

ワーシントン もちろん技術面では進化していていますが、同時に自分の演技力も進化していていればいいと思います。撮影のプロセス自体には大きな変化はありませんでしたが、以前に比べるとキャプチャー力が高まったと思います。なので、演技のちょっとしたニュアンスやディテールを、しっかりとキャプチャーされることを信頼できるようになりました。僕たちが役者としてやっている演技の品格のようなものを、決して損なうことなく守ってくれる。それが観客にも伝わる。そうした信頼感を持って臨むことができました。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

-今回は、全編がナヴィでの登場でした。画面に素顔が出ない気持ちは? 別の自分になったような感覚になるのでしょうか。

ワーシントン 前作も本作も、常に自分だと思って見ています。技術面での革新があり、より豊かで深い自分がそこにいると言えると思います。ポスターに映っているのも自分だし、劇中で水中にいるのも、泣いているのも、怒っているのも、全部自分だと思っていますが、技術の進歩で、そうしたものが、以前よりも、さらに的確に表現されていると思います。アニメーションに声を当てるような感じではありません。“未来型のメーク”といったイメージです。

-ラングさんは、悪役を演じる楽しさは感じていますか。

ラング ストーリーにダイナミックさを与えるには、悪役の存在は必要だと思います。ヒーローはみんなの共感を呼ぶキャラクターですが、ヒーローが輝くためには、悪役が必要です。悪役は、恐怖や不安、痛みを引き起こします。私はそれを起こす役。そこが楽しいです。ただ、私は単に、自分が演じているキャラクターの気持ちを代弁しているだけで、悪役だと思って演じているわけではありません。使命がある人として演じています。また、現実の生活ではしてはいけないことができるところも魅力です。クオリッチはごう慢で偉ぶっています。現実ではそれは許されませんが、こういうストーリーの中では彼のような存在が生きるのです。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「ボブの歌に込められたメッセージと愛を感じてほしいと思います」『ボブ・マーリー:ONE LOVE』レイナルド・マーカス・グリーン監督【インタビュー】

映画2024年5月21日

 ジャマイカが生んだ伝説のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの波瀾(はらん)万丈な生涯を映画化した『ボブ・マーリー:ONE LOVE』が、5月17日から全国公開された。本作のプロモーションのために来日したレイナルド・マーカス・グリーン監督 … 続きを読む

上白石萌歌&森田想&加藤拓也監督「8人の個人的なお話を楽しんでもらえたら」 ドラマ「滅相も無い」【インタビュー】

ドラマ2024年5月21日

 突如7つの巨大な“穴”が現れた日本を舞台に、穴に入るか悩む8人の男女が会合に参加し、お互いの人生を語り合うドラマ「滅相も無い」(MBS/TBSドラマイズム)が放送中だ。本作はドラマ「きれいのくに」(2021年)や映画『ほつれる』(2023 … 続きを読む

松本穂香&犬飼貴丈&関口メンディー ドラマ「95」主演の高橋海人は「唯一無二の魅力的な人」【インタビュー】

ドラマ2024年5月20日

 高橋海人が主演するドラマ「95」がテレ東系で放送中だ。早見和真氏の青春小説が原作の本作は、大人の作った社会の仕組みにあらがい、大切なものを守りながら1995年の渋谷をがむしゃらに駆け抜けた高校生たちの熱き青春群像劇。  本作で高橋が演じる … 続きを読む

市村優汰、憧れは父・市村正親のような俳優 「プリンス・オブ・マーメイド」で舞台初主演に「死ぬ気で頑張る」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年5月19日

 俳優・市村正親の長男で、ミュージカル「オリバー!」で本格俳優デビューを果たした市村優汰が、8月8日から上演される海の音楽劇「プリンス・オブ・マーメイド~海と人がともに生きる~」で舞台初主演を果たす。市村が演じるのは、人魚の王子タリク役。石 … 続きを読む

「光る君へ」第十九回「放たれた矢」華やかな宮廷劇の傍らで巧みに描かれたまひろの父の出世劇【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年5月18日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。5月12日に放送された第十九回「放たれた矢」では、権力の頂点に立った藤原道長(柄本佑)の活躍を軸に、藤原伊周(三浦翔平)・隆家(竜星涼)兄弟との確執や、図らずも実現した主人公まひろ(吉高由里子) … 続きを読む