植村花菜、コロナ禍で考えた“生きる”意味 「死ぬまでずっと学び続けて、成長し続けて暮らしたい」【インタビュー】

2022年8月9日 / 08:00

 2010年にリリースした「トイレの神様」がラジオでのオンエアを皮切りに各方面で驚異的な反響を呼び、ロングランヒットを記録。その後もシンガーソングライターとして活躍を続ける植村花菜。現在は米ニューヨークに拠点を移し、日米で活動する植村が、新作オリジナルミュージカル「COLOR」で初めてミュージカルの音楽を担当する。「COLOR」の楽曲について、さらにはミュージカルへの思いなどを聞いた。

植村花菜

-ミュージカルの音楽のオファーを受けたときの心境を教えてください。

 そもそも歌手になろうと思ったきっかけが、8歳のときに『サウンド・オブ・ミュージック』という映画を見て感動したからだったんです。なので、もともとミュージカルは大好きで、いつかミュージカルに携わる仕事ができたらいいなとずっと思っていました。私は、今、ニューヨークに拠点を移しましたが、それも最高峰のハイレベルなミュージカルをいつでも身近に見られるというのも理由の一つでした。もちろん、それ以外にも理由はたくさんありますが。なので、今回、お話を頂き、しかもそれが「作曲をお願いしたい」というご依頼だったので、クリエーターとしてミュージカルに携われることがすごく光栄でとてもうれしかったです。

-本作は、草木染作家・坪倉優介さんが自身の体験をつづったノンフィクション『記憶喪失になったぼくが見た世界』をベースにしたミュージカルで、ある事故で記憶を失くした主人公が「新しい過去」をつかみ取っていく姿を描いています。原作や脚本を読んでどんな感想を抱きましたか。

 日々の忙しさや、追われなくてもいいものに追われて、必要のないものを欲しがったり、必要なものを捨て去ったり…。そうした日常の中で、大切なものが何なのかを教えてくれる本だと感じました。このコロナ禍で、みんなが「本当に大切なものって何なんだろう」と考えたと思います。そんな今だからこそ、より心に響くと思いますし、忘れてしまった大事なものを呼び起こしてくれると感じました。

-楽曲を制作するに当たってはどんなところを意識しましたか。

 (インタビュー時は)まだ制作段階なのですが、まずは何も考えずに、原作や台本の言葉が持っている音を純粋に形にしようと心掛けて制作しています。私の普段の歌の作り方も同じなのですが、言葉にはもともとメロディーがあるので、自然と歌詞が歌ってくれるんですよ。私はただそれを形にするだけ。そうしたやり方が(本作でうたわれている)「語るような歌で構成される本作の音楽」と捉えられているんだと思います。とにかく、言葉を大事にしています。

-アーティストとして作る楽曲との違いを感じることはありましたか。

 普段は、私が歌うための楽曲を作りますが、今作では“お母さん”が歌うシーンもあるし、“お母さんと“息子”が一緒に歌うシーンもあります。なので、男性と女性のキーの違いもありますし、考えなければいけないところはより多いとは思います。それから、歌詞に関しても、ミュージカルでは舞台の装置やセットがあり、演出もなされた上で歌われるので、見える景色や情景を説明する必要がないというのも違うところでした。“説明文”は省けるんです。そうした違いは難しいなというところでもありましたし、面白いなと思うところでもありました。

-今回、ミュージカルの音楽制作に携わったことで、シンガーソングライターとしての今後の活動にもよい影響や変化がありそうですか。

 出てくると思います。今まで知らなかった世界を知れることで、自分の中の引き出しが増え、幅が広がりますし、同時に、私がミュージカルを見に行くときもこれまでとは見方が変わってくると思うので、そういう意味でも新たな発見が得られると思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

瀬戸利樹、セラピスト役は「マッチョな体も見どころ」 役作りは「実際に施術を見学して、レクチャーを受けました」

ドラマ2024年4月24日

 現在放送中のドラマ「買われた男」で主演を務める瀬戸利樹が取材に応じ、本作の魅力や役作りについて語った。  本作は、三並央実氏と芹沢由紀子氏による漫画『買われた男~女性限定快感セラピスト~』が原作。セックスレスの主婦、芸能人、女社長、風俗嬢 … 続きを読む

ディズニーの人気者「くまのプーさん」がミュージカルに! 「没入感や生の迫力を楽しめる」舞台公演を福尾誠が語る【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年4月21日

 ディズニーの大人気者、くまのプーさんと仲間たち、クリストファー・ロビンが四季をめぐって楽しい冒険をする、新作ミュージカル「ディズニー くまのプーさん」が4月27日から全国10都市で上演される。等身大のパペットを役者たちが操り、すてきなセッ … 続きを読む

「光る君へ」第十五回「おごれる者たち」見どころを成立させるドラマの積み重ね【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月20日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月14日に放送された第十五回「おごれる者たち」では、藤原道長(柄本佑)の長兄・道隆(井浦新)を筆頭に、隆盛を誇る藤原一族の姿やその支配下の世で生きる主人公まひろ(吉高由里子)の日常が描かれた。 … 続きを読む

Willfriends

page top