岡山天音が掲げる信念「楽しいと思いながらやっていても行き着ける場所はいっぱいある」【インタビュー】

2022年8月8日 / 08:00

-ところで、岡山さんは「中学生日記」のオーディションがきっかけで俳優としてデビューしました。当時から、芝居がしたいという思いが強く、オーディションを受けたのですか。

 いや、単純に「中学生日記」が好きだったんで、ミーハーな思いで。「ミッキーに会えるなら、ディズニーランドに行きたい」と同じような感覚です(笑)。なので、最初はめちゃくちゃ大変でしたし、お芝居の面白さどころではなかったです。

-いつ頃から面白くなったのですか。

 キャリアを重ねて徐々にですね。必然的に出会う人も多くなって、自分にパワーをくれる方との出会いもありました。僕は、良くも悪くも出会ってきた人たちの言葉で今の自分がデザインされているんだと思います。それはある種、“呪い”です(笑)。呪いというとネガティブなイメージですが、それだけ僕にとってそれらの言葉が大きな意味を持っているんです。

-それは、どんな言葉ですか。

 「楽しいというのがお芝居の大前提で、そこからスタートだ」と言っていただいたのは印象に残っています。それはあるワークショップで出会った方の言葉なのですが、その考え方や、頂いた指導がすごく自分にフィットして、仕事に対する向き合い方がガラリと変わりました。それまで「苦しんだ方が成長する」とか、「苦労は美しい」という考えにばかり触れてきたので、苦労の先にやっと行き着けるところがあるんだとどこかで思っていたんだと思います。ですが、全然そんなことはない。楽しいと思いながらやっていても行き着ける場所はいっぱいあるんです。それに、行き着きたい場所を設定してしまうと、もし、これ以上進めないということが起こったときに、絶望を感じてしまうと思うんです。これまでやってきたことって何だったんだ、生きてきた時間が全部無駄だったんじゃないかって。なので、「楽しい」ということが大事なことだと思うようになりました。

-では、今、俳優業を続けていて一番、大切にしているのは「楽しさ」ですか。

 そうですね。極論を言ってしまえば、例え、お芝居が破綻していても、楽しければいいかなと(笑)。そのぐらいの気持ちでいたいと思っています。

(取材・文・写真/嶋田真己)

パルコプロデュース2022「VAMP SHOW ヴァンプショウ」

 パルコプロデュース2022「VAMP SHOW ヴァンプショウ」は、8月8日~28日に都内・PARCO劇場ほか、愛知、大阪、福岡で上演。※コロナウイルスの影響により開幕が延期。詳細は公式サイトで要確認。
公式サイト https://stage.parco.jp/program/vampshow/

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第三十三回「式部誕生」人々を動かす「源氏物語」の存在【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年9月7日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。9月1日に放送された第三十三回「式部誕生」では、「源氏物語」の続きを執筆するため、内裏に出仕した主人公・まひろ(吉高由里子)の日常と、中宮・彰子(見上愛)との出会いが描かれた。  彰子の住まいで … 続きを読む

山口紗弥加「自分が役に乗っ取られたような感覚です」ネタバレ厳禁のミステリーで入魂の演技を披露「私の死体を探してください。」【インタビュー】

ドラマ2024年9月6日

-そういう意味では、麻美の夫・正隆を演じる伊藤さんのお芝居に助けられた部分も?  もちろん! 伊藤さんのお芝居には本当に助けられました。正隆は最低のクズ男なんですけど、人間力の高い伊藤さんが演じているだけあって、一周回っていとおしくなる瞬間 … 続きを読む

河合優実「すごいところに羽ばたいていく予感はありました」金子大地「面白い映画になるのは間違いないと」恋人役で共演の2人が語るカンヌ受賞作の舞台裏『ナミビアの砂漠』【インタビュー】

映画2024年9月6日

-恋人でありながら緊張感のあるカナとハヤシの関係は、そういう山中監督の演出が生んだものかもしれませんね。現場の様子はいかがでしたか。 河合 ワンシーン、ワンシーン、みんなが面白がりながら撮っていました。「このシーン最高!」みたいな空気が毎日 … 続きを読む

【週末映画コラム】『エイリアン』の“その後”を描いた『エイリアン:ロムルス』/各国の映画祭で注目を集めた心理ホラー『映画検閲』

映画2024年9月6日

『映画検閲』(9月6日公開)  1980年代、サッチャー政権下のイギリス。「ビデオ・ナスティ」と呼ばれた暴力シーンや性描写を売りにした過激な映画の事前検閲を行うイーニッド(ニアフ・アルガー)は、容赦のない冷徹な審査故に「リトル・ミス・パーフ … 続きを読む

紅ゆずるの“ゼロ地点”は「宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年9月3日

-ネヴィルと現在の妻のケイ、そして元妻のオードリーが1カ所に集うという状況もまた複雑ですね。  物語の始めはネヴィルとケイとオードリーという三角関係があり、その女性の間で揺れ動く男性のよくある話かなと思ったのですが、進んでいくと全く違う。最 … 続きを読む

Willfriends

page top