今井翼「hideさんが残したものを大切にしたい」 『TELL ME ~hideと見た景色~』で映画初主演【インタビュー】

2022年7月6日 / 08:00

 X JAPANのギタリストとして、そしてソロアーティストとして、時代を超えて支持されるロックのカリスマ“hide”。1998年に急逝した後、彼の実弟が意志を継いで仲間たちと困難を乗り越える姿を描いた映画『TELL ME ~hideと見た景色~』が、7月8日から公開される。主人公でhideの弟・松本裕士役を演じるのは、本作が映画初主演となる今井翼。学生時代からX JAPANのファンだったという今井に、本作に挑んだ思いや役作りについて、さらにはhideの魅力を聞いた。

今井翼 (スタイリスト:渡邊奈央(Creative GUILD)/ヘアメーク:中谷圭子(AVGVST) (C)エンタメOVO

-今井さんにとって、本作は初主演映画となります。出演が決まったときの心境を教えてください。

 2年ほど前に芸能活動を再開させていただいてから、おかげさまで舞台や、映画、ドラマなど、さまざまなキャリアを積ませていただく中で、改めて仕事ができる喜びや、芝居の難しさ、面白さを感じながら40代を迎えることができました。そんな中、今回のお話を頂いて、本当に僕でいいのかなという思いもありましたが、すごく光栄でした。複雑で繊細な役どころを自分なりに意思を持って務めたいと思いました。

-hideさん亡き後の、彼の周りの人々の再生を描いた物語だと知ったときはどう感じましたか。

 映画の原作は、弟の裕士さんが当時のことを記された書籍(『兄弟 追憶のhide』)ですが、今回、僕も原作を読んで知ったことがたくさんありました。伝説のカリスマであり、ファンの方にとっては生きがいだった“hide”という存在が突然亡くなったときの喪失感はものすごく大きかったと思います。映画の中には、当時の報道映像も流れますが、どれだけの人たちが悲しみに暮れたのか分からないほど、ショッキングなことだったと改めて感じました。なので、裕士さんたちが、そこから進んでいくのはとてつもない道のりでした。その険しい道のりを、hideさんが残した大切なものを絶対に守り抜く、ファンに届けるんだという強い思いだけで進むことができたのかなと、胸に迫るものがありました。

-裕士さんという、実在し、現在も活躍している人物を演じることにはどんな思いがありましたか。

 裕士さん役を演じるのは、すごく難しかったです。僕は基本的にはお芝居をする上で、実際に現場に入ったときの空気感や、共にお芝居をする相手の方との呼吸だったり、指揮者である監督の考えを受けて、そこで派生していくものを大切にしています。なので、今回もそうして演じさせていただきました。もちろん、どんなお芝居も生身の人間が演じる以上は、自分のイメージが反映されるものですが、(演じる役と)共通する感情を自分の中からつまみ出して演じることを大事にしています。

-葛藤し続け、悩み続けている裕士さんの役は、重い役どころだったと思います。撮影終了後は、すぐに切り替えができましたか。

 確かに僕は、今回に限らず、ウェートがかかる役を演じている最中やその後は、なかなかその人格が抜けなくなってしまうことがあります。もっといえば、猟奇的な役を演じているときは、なるべく人に会わないようにするぐらい、自分が自分でなくなるほど(役に)入り込んでしまうんです。ただ、今回は、それとはまた違いました。裕士さん役はとても繊細に向き合わなければ滑稽になってしまうと思っていたので、自分の中でどんな思いだったのかを考え、想像し続けながら演じていたように思います。もちろん、実際にあった出来事の重大さを考えると、「よし、これだ!」と簡単に(正解が)見つかるものではなく、毎カット、毎シーン、自分なりに演じながらも、大丈夫かなという不安はあり、とても難しい作業でした。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

「ローマの共和制の問題点は、今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い」『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセン【インタビュー】

映画2024年11月15日

 古代ローマを舞台に、皇帝の後継者争いの陰謀に巻き込まれ、剣闘士(グラディエーター)として壮絶な戦いに身を投じる男の姿を描いたスペクタクルアクション『グラディエーター』。巨匠リドリー・スコットが監督し、アカデミー賞で作品賞や主演男優賞など5 … 続きを読む

Willfriends

page top