【インタビュー】「BiSH」セントチヒロ・チッチ、2023年をもっての「解散」を控え心境「BiSHにしかないものを信じて貫いてきてよかった」 BiSH初の主演映画が公開

2022年6月9日 / 10:00

 “楽器を持たないパンクバンド” BiSH初の主演映画『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK’N’ROLL』が、6月10日(金)から全国公開される。本作は、BiSHのメンバーが、田辺秀伸、大喜多正毅、エリザベス宮地、山田健人、渡辺淳之介、行定勲の6人の監督とそれぞれタッグを組み、愛を込めて全力で主演したオムニバス映画。ドラマからアート作品まで、六人六色で見せるBiSHの新しい一面を詰め込んだ異色作品となっている。

 セントチヒロ・チッチは、行定監督とタッグを組み、許されない関係にある男女の濃厚な文学的恋愛物語『どこから来て、どこへ帰るの』で主人公の女性・チヨを演じている。昨年12月には、紅白歌合戦に出場するなど、注目を集める中、2023年をもって「解散」することを発表したBiSH。チッチが作品の見どころや撮影の裏話のほか、解散を控えた思いやメンバー間で話していること、解散後の活動についても語ってくれた。

「BiSH」セントチヒロ・チッチ

-BiSHさん初の主演映画ですが、企画を聞いたときの感想は?

 BiSHに入った頃から、ずっと「いつかお芝居をやってみたい」と話していたことが、本作のきっかけになったので、うれしかったです。新しいことに挑戦できるのは貴重なことですし、そこに行定監督が手を挙げてくださったので、すごく楽しみでした。

-どんな作品になりましたか。

 6人の監督が皆さん、BiSHに愛がある方たちだったので、メンバー一人一人が持つ個性や輝くものを知っていて、どうやって引き出すか、物語に織り交ぜていくかということを考えながら脚本を書いたり、演出してくださりました。6作品は全く毛色の違う物語ですが、それぞれの作品にBiSHらしさがあったり、新しい一面を引き出してもらっている感じもあって、面白い作品に仕上がったと思います。

-作品タイトルも、BiSHさんらしい攻めたものになっていますね。

 6作品の個性が違うので、一つにまとめて“BiSHらしいタイトルを”ということなんだろうなと思います。タイトルに込めた思いは聞いてないのですが(笑)、意味がないけれど、変なことや下ネタが好きですし、言いたくなるような題名なので、私はすごく好きです。

-チッチさんの主演作品について、教えてください。

 私が演じるチヨと、中島歩さんが演じるアキオの許されない関係の恋愛を描いています。恋愛は難しいものですが、その中でもっと難しいフェーズに入り込んでしまったお話で、ドロドロした醜い世界の中で、それがちょっぴり美しく見える瞬間があって、かわいげがあって不思議に感じる、生々しい男女のお話です。見終わった後に、この作品のことをずっと考えたり、引きずってほしいなと思います。

-行定監督が率いる行定組での撮影はいかがでしたか。

 映像作品での初めてのお芝居だったので、ドキドキしました。行定監督が私の好きな物や性格、生き方に寄り添って作ってくれた役柄だったので、「言葉遣いもチッチらしく変えていいからね」と言ってくださったり、皆さんが私の心のケアまで親身になってくださって。私は支えられているなあと思いながら、体当たりで挑みました。

-大胆なシーンもありますが、抵抗はなかったですか。

 全く抵抗はなかったのですが、撮影時は緊張しました。行定監督が「セントチヒロ・チッチが一歩踏み出せるための脚本にしたい。僕も真剣に考える」と言って作ってくださった作品なので、私も恥ずかしいとか、怖いと思わずに、全力でやってみようと思わせてもらえました。

-ほかのメンバーの作品を見た感想はいかがですか。

 それぞれ面白かったのですが、アユニ・Dとリンリンの作品が特に印象に残っています。アユニは兄妹の愛情を描くヒューマンドラマで、一緒に泣いたり、笑ったり、自分の純粋な心を揺さぶってくれる作品で、すごく刺さりました。リンリンの作品は、彼女と山田健人監督にしかできない映像美や音楽が織り交ざっていて、表現がカッコ良かったです。

-解散を控えて今後の活動について、今どんなことを思っていますか?

 時間が限られているからこそ、自分たちらしくいることが一番だと思っています。ここで変わるべきというよりも、今までの自分たちを愛してくれた人や、これから愛してくれる人たちに誠心誠意、愛情を込めて届けていくことがベストだと思っています。自分たちが進化していくことは当たり前のことなので、できる限りのことに挑戦して、BiSHらしく駆け抜けられたらなというのが願いです。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

 2026年1月1日全国公開となる『迷宮のしおり』は、「マクロス」、「アクエリオン」シリーズなどで知られる河森正治監督初のオリジナル長編アニメーションだ。  引っ込み思案な女子高生・前澤栞(声:SUZUKA(新しい学校のリーダーズ))は、親 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

 今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】  2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

 脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む

Willfriends

page top