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【インタビュー】映画『ALIVEHOON アライブフーン』野村周平 「臨場感のあるクラッシュができるプロのレーサーはすごいなと」

 日本が生んだ、剛・速・美を競うカーレース“ドリフト”。その魅力に迫る映画『ALIVEHOON アライブフーン』が、6月10日(金)から公開される。解散の危機にひんしたドリフトチームを救うべく、eスポーツのドライバーからリアルなレースに転じた主人公を野村周平が演じる。彼のインタビューからは、車やレースへの熱い思いが伝わってくる。

野村周平 (C)エンタメOVO

-役作りで事前に準備したこと、大変だったことは何ですか。

 難しかった点は、eスポーツのプロという設定。グランツーリスモというゲームなんですけど、何回かはやったことはあって、どういうゲームかは知っていたけど、実際の運転と感覚が違う点も多くて、ちゃんと極めるには時間が全然足りなかった。例えば、プロのレーサーが練習で使うとか、まだ免許が取れない年代とかには、うってつけだと感じました。小さい頃からグランツーリスモをやっていたらリアルでも相当速くなると思う。鈴鹿だったり富士だったりSUGOだったり、いろんな国際サーキットが全部試せるので、こういうコンディションだとどうなるかとか、いろいろと勉強になりますね。

-そうすると、実車との大きな違いは?

 Gが感じられないこと。音も違うしやはり感覚的な面ですね。あとはやっぱり死なないところ(笑)。実車のレースではとっさの事態を緊急回避する運動神経が不可欠ですが、eスポーツでは、むしろ目の良さが重要になってくると感じました。車がこう滑った。じゃぁ、こっちに逆ハン切れば何とか難を逃れられる、といったことです。それを体で反応できるには、運動神経が必要ですけど、ゲームで実際の事故は起きないので、eスポーツは何度もコースをプレーして積み重ねることができる。だから彼らは実際に運転している人よりもコースを熟知しているんですよ。このコーナーは何キロで入っても大丈夫とか。よってサーキットを走らせたら速い。でも公道だとそうはいかない。動物園のライオンが野生では生きていけないのと同じですよ。

-今回の撮影以前にもドリフトを経験したことがあったんですか。

 あります。小さいコースでもできるものなので、車のイベントに行って乗らせてもらったりしました。でも、今回のような速いスピードでは初めて。死と隣り合わせで怖いんですけど、プロの横に乗っていると安心できちゃう。変な安心感があるんですよね。お客さんを乗せているから冷静でいようというのが伝わってくる。それに、こういう車はひっくり返っても死なない仕様だから、そっちの安心感もある。公道を走っているような普通の車でドリフトされたら…それはそれで楽しいんでしょうけど(笑)。だから、Gも全然平気だし、むしろ初めて実車に乗ったシーンで、気持ち悪くなる演技をする方が大変でした。車酔いして吐く芝居なんて初めてだったので、あれこそ、芝居の見せどころでした(笑)。

-映画に登場したレーシングカーで特に好きだったのは?

 全部大好きです。車もやっぱり生き物で、乗らなかったらスネる。スネるというか、オイルが劣化したりとか、そういうことが実際に起きるんですよ。ちゃんと乗っていて整備されている車かどうかは、一目見てすぐに分かるんです。今回はそういう車ばっかりだったから、ずっとピチピチの水着ギャルを見ている感じでした(笑)。女の人からしたら、ずっとBTSを見ている感じかな。学園一のイケメンとかのレベルじゃなくて、最上級、ずっとBTSやジャスティン・ビーバーがいるみたいなテンションでした。

-見たことがないようなレースシーンで、迫力があって素晴らしい。野村さんのイチ押しのシーンは?

 映画の序盤なんですけど、陣内孝則さんがクラッシュするシーン。あれは僕、現場でも見ていたから、よく、あんなにうまく、自分自身の安全も保ちながら臨場感のあるスピンができるなと。あれ、本物のスピードでやっているんですよ。実際に壁に当てて、というのを自分の手足のように車でやってのけている。コースを熟知しているからこそできるシーンだし、ホントにプロってすごいなと思う。あそこで何回もクラッシュしたことがあるプロのレーサーだからこそできる。命に関わるかと思うぐらいのクラッシュなのに、それを安全に、かつ迫力あるシーンにしているプロのドライバーさんは素晴らしいなと思ったシーンでしたね。逆に、俺がクラッシュしてギリギリで当たらないシーンは、壁に当たる直前で見事に止めていますからね。

-野村さんは、多趣味で知られています。自分に合った楽しみを見つけるコツは?

 コツといわれると難しいですが、僕は自身で責任を負う趣味を好みます。自分の車やバイクに乗っていて、事故って壊れたら自己責任。釣りもそうで、釣れなければ自分のせい。チームものは、連帯責任になるじゃないですか。それに対して僕がやるのは、一人一人がウェポンを持っているタイプの趣味。釣りでも車でもスケボーでも一人1個だから、自由なんです。他人に言われてやるのは嫌。だから、趣味を見つける決め手は、自由ということかな。いろいろやりましたよ。サバゲーとかもやりましたけど、誰かと戦うのは苦手なんですよ。魚とならいいけど。多分、限界がないものが好きなんでしょうね。レースもそうだし、魚もサイズは無限にいるから終わりがないんです。

-最後に、注目して見てほしい映画の見どころを。

 こんなに車に特化した映画って、そうないと思うんですよね。『ワイルド・スピード』ぐらい。しかも、うそがないんです。CGを使っていないし、出てくるレーサーも本物のプロの方ですし、その方々が本当に乗っている車が出てくる。そういうところは通向けで、マニアの人にしか分からないかもしれないけど、でもドリフトを知らない人が見ても乗ってみたくなると思う。ぜひ映画を見て、乗ってみてください。

(取材・文・写真/外山真也)

(C)2022アライブフーン製作委員会

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