NON STYLEの石田明が脚本・演出を手掛ける舞台「結 -MUSUBI-」が2月4日から上演される。本作は、石田が構想に4年をかけたというノンバーバル(言語を使わない)作品。相撲部屋を舞台に、役者たちの動きや表情、アクションやダンスで笑いを作り上げる。本作で、主人公の雅ノ花を演じる小野塚勇人(劇団EXILE)に、公演への意気込みを聞いた。
-本作への出演が決まったときの心境は?
オーディションだったので、選んでいただけてよかったという思いと、どういう舞台になるんだろうというワクワクがありました。もともと、石田さんが作り出す作品にすごく興味があって、それでぜひ参加させていただきたいと思って受けたオーディションでしたので出演できるのがうれしかったです。
-オーディションでは、どんなことを行ったのですか。
せりふがない作品ということもあり、これまで役者として受けてきたオーディションとは全く違いました。お題を出されて、動きだけでその状況や心情を表現して見せるという、ワークショップに近い内容でした。楽しみながらやれたので、それがよかったのかなと思います。
-せりふがないというのは、やはり難しいですか。
難しいです。今はまだ稽古が始まったばかり(取材当時)ですが、改めてこの作品の難しさを実感しています。殺陣も踊りも、小ネタもたくさんあるので、情報量も相当多いですし、台本もすごく特殊です。せりふがないので、全部ト書きなんです。なので、文字だけではどういう雰囲気になるのか全く想像がつかなくて、石田さんに説明してもらって、理解できるというシーンもありました。
-石田さんの思い入れも深い作品だと思いますが、石田さんに対してはどんな印象を持っていますか。
芸人さんとしても演出家としても、とにかくすごい方。僕が子どもの頃からテレビで見ていた方ですし、才能があって、マルチに活躍されているイメージです。笑いに関しては特に熟練したものがあると思うので、自分もそこに食らいついていって、いろいろと勉強させてもらえればと思います。今作は、「せりふを使わずに、世界の人に楽しんでもらえる作品を作る」ということが大前提にあり、そのためにも皆で楽しむことが第一だと感じています。ライブ感を大切にし、毎公演違うものをお届けする。そういう遊び場のような作品でもあると思うので、毎回、新鮮な気持ちで舞台に臨めると思います。
-本作で小野塚さんが演じる雅ノ花はどんな人物ですか。
四兄弟の中の末っ子で、お調子者の「ザ・末っ子」です。ずる賢いところもあるけれど、どこか憎めない、愛くるしさも持っているので、そのバランスをうまく作って演じたいと思います。
-今回は、相撲部屋を舞台にした作品ですが、小野塚さんは相撲に対してどんなイメージを持っていますか。
一瞬の勝負の中に凝縮したものが詰まっているスポーツだと思います。組み合ったまま動いていないように見えても、そこには幾つもの駆け引きがあって、奥が深い。今回、役作りも兼ねて昔の映画や実際の取り組みを見ていく中で、改めてかっこよさや熱気を感じました。
-小野塚さん自身のことについても聞かせてください。LDHに所属して10年になりますが、もともと俳優を目指していたのですか。
いえ、実は俳優になることは全然考えていなかったんです(笑)。もともとは「EXILE」に入りたいという思いがあって、歌手志望でした。それで、養成学校に通っていたのですが、そこで歌を歌うときの表現を広げるためにお芝居のワークショップに参加したり、舞台に出演させてもらったり、演技についても学ばせてもらいました。
-その中で、演技をすることの面白さに気付いたのはいつ頃ですか。
デビューのきっかけにもなった「あたっくNo.1」という舞台に出演させていただいたときです。それ以前から、劇団EXILEの公演に出演させていただき、楽しい世界だと思っていましたが、「あたっくNo.1」で改めて俳優のすごさに気付きました。その頃、歌のオーディションに全部落ちてしまって、歌手としてやっていくのは難しいと自分の中でも考えていた時期だったんです。なので、この作品で自分の中の軸が定まったように思います。お客さんの反応を感じたときの鳥肌が立つような感覚は格別なものがありました。
-では、デビューから現在までを振り返り、ターニングポイントとなった作品は?
まず「あたっくNo.1」は、僕の中で大きなきっかけとなった作品です。それから「仮面ライダーエグゼイド」は、おいっ子やめいっ子をはじめ、家族にすごく喜んでもらえたので、役者をやっていてよかったと思える作品でした。親孝行、家族孝行になったんじゃないかなと思います。
-俳優としての目標は?
自分が持てる能力を最大限に生かして、マルチに活躍したいです。そのためにも、今はとにかく新しいことに挑戦し続けることが大切だと思っています。今回のノンバーバルコメディーも僕にとって挑戦です。そうして、挑戦をし続けることで、新しい自分を発見できたり、自分の可能性をより広げていくことができると思っています。
-改めて本作の見どころを。
石田さんが「しゃべらないけど、なぜかうるさい」舞台だとおっしゃっていたのですが、ずっと笑いが続く舞台になると思います。くだらなくて、だけどすごく元気がもらえる作品になると思うので、年始から大笑いをしていただけたらと思います。僕たち役者は、ステージ上で一切話しませんので、コロナ対策もバッチリです(笑)! ぜひ安心して劇場にお越しいただければと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
舞台「結 ―MUSUBI-」は、2月4日~6日に都内・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール、2月11日~13日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演。
公式サイト https://musubi.yoshimoto.co.jp/