【インタビュー】映画『ひらいて』山田杏奈「愛という主人公について、修行のようにずっと考えていました」芋生悠「愛自身の迷いと杏奈ちゃんの迷いがリンクしていた」綿矢りさ原作の映画で女子高生役を好演

2021年10月21日 / 07:25

-お話を伺っていると、お二人はまさに愛と美雪そのものだったような気がします。そうやって映画が完成した今の手応えは?

山田 完成した映画を最初に見るときは、いつも冷静には見られないので、完全に客観的に見られたわけではありませんが、撮影から時間が空いたおかげで、「思っていたより、ちゃんと愛だな」、「愛、面白いな」と初めて思えました。

-「分からない」と言っていた点は解消されましたか。

山田 でも、「分からない」のが面白いところかもしれませんよね。言語化できない衝動性とかいら立ちとか、ピリピリした感じが伝わってきますし。見る方それぞれに受け取り方があると思うので、「こういう子」というはっきりしたものはなくてもいいんじゃないかなと。

-確かにそうかもしれませんね。芋生さんはいかがでしょうか。

芋生 「伝えたかったことが、ちゃんと伝わる作品になってよかった」とほっとしました。監督も多分、すごく不安だったと思うし、この作品に懸ける熱量みたいなものを感じていたこともあり、私も試写を見るまでは不安だったので。受け取り方は人によって違うと思いますが、私は「自分をちゃんと愛せるようになってほしい。自分を愛せるようになれば、他の人も愛せるようになり、どんどん愛が広がっていく」というものがちゃんと込められていて、いいなと。美雪も、小説や台本で読んでいたときより、もっとちゃんと存在の肉付きがあって、芯があって、さらにかなわない人になっているな、と思いました(笑)。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会

 

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