【インタビュー】『アラジン』作曲アラン・メンケン「今回の僕のベイビーは『スピーチレス』です」

2019年5月30日 / 10:00

-今回、魔人のジーニー役がアニメ版のロビン・ウィリアムズからウィル・スミスに変わりました。先ほど俳優ではなくキャラクターを思って曲を作ると…。

 あなたの質問の内容に想像がついたので先に答えさせてください(笑)。実は今回ウィルとはほとんど一緒に作業はしていません。基本的に「曲はこういうふうにする」とは決めていましたが、ウィルの「自分はこうしたい」という考えを踏まえて、彼の主導でレコーディングをしてもらいました。もちろん「アレンジOK」のサインは僕が出しますが、いいものを作ってくれたと思って拍手をしました。今回は僕以外の音楽チームを撮影先のロンドンに派遣してウィルと一緒に作業をしてもらいました。僕はニューヨークに住んでいて、何カ月もロンドンに移住することはできないので(笑)、基本的には彼らに任せて、ウィルをサポートしてもらいました。その結果、僕の想像以上のものを作ってくれました。ロビンのときは、一緒にリハーサルを重ねて、それが曲の設計図になりましたが、ウィルは自分のものとして表現したかったようなので、共同作業をしたらかえって非生産的だったかもしれません。

-最後に、この映画の見どころ、聴きどころ、そして日本の観客に一言お願いします。

 見どころは、とても現代的なところだと思います。ミュージカル大作の要素と、それを一歩進めた現代性がうまく同居しています。それがちゃんと成立していたので本当にホッとしています。また、娯楽性がとても高いと思います。後は、この映画を見るときはティッシュを忘れずに持っていってください。僕は「ホール・ニュー・ワールド」のシーンのとき、アラジンがジーニーを自由の身にしたときなど、4回ほど泣きましたから。でもそこには「新しいアレンジがうまくいった」という気持ちも入っているので、僕は典型的な観客とは言えないかもしれませんが(笑)。今は映画が完成して本当にハッピーな気持ちです。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

安田章大「体験したことのない違和感を持ち帰ってくれたら」 アングラ演劇の旗手・唐十郎作品に関西弁で挑む『アリババ』『愛の乞食』【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月18日

-「違和感を持ち帰ってほしい」ということですが、今の世の中、「分からないもの」は何かと切り捨てられがちです。その点については、どのようにお考えでしょうか。  まず、僕自身は分からないものを提示しているつもりはありません。だから、その人の中で … 続きを読む

【映画コラム】7月前半『スーパーマン』『ストレンジ・ダーリン』『「桐島です」』『生きがい IKIGAI』

映画2025年7月18日

『「桐島です」』(4日公開)  1970年代に起こった連続企業爆破事件の指名手配犯で、約半世紀におよぶ逃亡生活の末に病死した桐島聡の人生を高橋伴明監督が映画化。  桐島が逃亡中に何を考えどういう生活を送っていたのかは想像するしかない。だから … 続きを読む

俳優デビュー25周年の上戸彩が15年ぶりの写真集を発売 台湾で幻想的な夜市でのロケから寝起き姿まで多彩な魅力満載

イベント2025年7月14日

  -先ほどグルメの話がちょっと出ましたが、台湾で撮影中の思い出とかエピソードがあれば。  台湾におじゃまさせていただいたのは、映画『テルマエ・ロマエ』の撮影以来2回目だったんですが、とにかくスタッフのみなさんと和気あいあい撮影が … 続きを読む

JT・モルナー監督「この映画の実現は厳しいと言われた時に、『羅生門』を見れば分かると言いました」『ストレンジ・ダーリン』【インタビュー】

映画2025年7月11日

-最初に35ミリフィルムで撮ったというテロップが出ますが、画面の色遣いや音楽の使い方を見ていると、70年代のニューシネマのような雰囲気があると思いましたが、そういう狙いはあったのでしょうか。  その通りです。ただ、それはアメリカ映画に限った … 続きを読む

鹿賀丈史「演じることよりも感じることの方が先だったかなと思います」『生きがい IKIGAI』【インタビュー】

映画2025年7月10日

-2度の災害を経験して行き場のない怒りを抱いている山本が、ボランティアの若者と出会って心が解けていって笑顔を浮かべる場面が印象的でしたが、若者役の小林虎之介さんとの絡みはいかがでしたか。  僕は若い人と芝居をするのがすごくうれしいんです。今 … 続きを読む

Willfriends

page top