【インタビュー】『ワンダー 君は太陽』スティーブン・チョボスキー監督「フェイシャル・ディファレンスの子どもたちが、この映画のおかげで人生が変わったと言ってくれました」

2018年6月12日 / 12:00

-この映画を見て、『エレファント・マン』(80)を思い出しました。どちらも顔に障害を抱えた心優しい人物を主人公にしている点が共通しており、この映画の原作にも『エレファント・マン』が登場します。ただ、この映画は『エレファント・マン』に比べてより優しさにあふれており、時代と共に世界がより良くなっている手応えが感じられます。

 ありがとう。その通りだと思います。

-また、今年のアカデミー賞受賞作『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)は、かつてモンスターとして扱われていた存在を受け入れる物語で、本作と『エレファント・マン』の関係に似たものを感じます。同じようなタイプの映画が同時期に作られたことは、時代の変化を象徴しているようにも思えますが、いかがでしょうか。

 例えば政治的な部分では、今は世界各国のリーダーがお互いを恐れている時代で、人々も自分にとって異質なものを恐れています。しかしその一方で、それに対してバランスを取らなければいけないという考えが働いているのではないでしょうか。50年前には人種問題がありましたし、他にも性的嗜好や宗教の問題があります。でも、私たちはお互いのことを知るにつれ、人にあらかじめ備わっている善良な部分がおのずと出てくると思うんです。このように直接顔を合わせれば、世界中の心ある人たちは、お互いに敬意を払うことができるわけですから。

-本作も『ウォールフラワー』も、あなたの映画には学校の片隅で小さくなっている少年を優しく見守り、そっと背中を押してあげるような温かさがあります。そこにはどんな思いが込められていますか。

 僕が子どもの頃、自分の人生を変えてくれた映画があります。それは、ジョン・ヒューズ監督の『ブレックファスト・クラブ』(85)とピーター・ウィアー監督の『いまを生きる』(89)です。この2本を見た時、「僕を理解してくれている」、「僕だって成功をつかむことができるんだ」と感じたんです。だから、本を書いたり、映画を作ったりすることができる立場にある今は、僕が「みんな独りじゃない」、「君も成功することができる」ということを、物語を通じて伝えて行きたいと思っているんです。

-ご自身の学校生活が反映されている部分も多いのでしょうか。

 そうですね。『ウォールフラワー』には、僕や友人の学校での経験が反映されています。この映画でも、原作にない部分には僕の経験が生きています。一番は、オーガストたちがゲップ大会をする場面。実は僕はゲップが得意なんです(笑)。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)Motion Picture Artwork © 2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

【映画コラム】実話を基に映画化した2作『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』『栄光のバックホーム』

映画2025年11月29日

『栄光のバックホーム』(11月28日公開)  2013年のプロ野球ドラフト会議で指名され、鹿児島実業から阪神タイガースに入団した18歳の横田慎太郎(松谷鷹也)。誰もがその将来に大きな期待を寄せていたが、突然横田の目にボールが二重に見えるとい … 続きを読む

氷川きよし、復帰後初の座長公演に挑む「どの世代の方が見ても『そうだよね』と思っていただけるような舞台を作っていきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月29日

 氷川きよしが座長を務める「氷川きよし特別公演」が2026年1月31日に明治座で開幕する。本作は、氷川のヒット曲「白雲の城」をモチーフにした芝居と、劇場ならではの特別構成でお届けするコンサートの豪華2本立てで贈る公演。2022年の座長公演で … 続きを読む

岸井ゆきの「夫婦の“切実さ”が描かれている」宮沢氷魚「すごくやりがいがありました」すれ違っていく夫婦役で初共演『佐藤さんと佐藤さん』【インタビュー】

映画2025年11月28日

-結婚したサチとタモツのすれ違いが最初に垣間見えるのが、共通の友人の結婚式に1人で参加したサチが帰宅した後のシーンです。勉強しながら留守番していたタモツに、結婚式の様子を話したサチがトイレに行った後、何気なく「トイレットペーパーないよ」と声 … 続きを読む

28歳で亡くなった阪神タイガースの元選手の実話を映画化! 松谷鷹也「横田慎太郎さんのことを知っていただきたい」前田拳太郎「誰かの背中を押す作品になるはず」『栄光のバックホーム』【インタビュー】

映画2025年11月28日

-そんな親しい関係を築き上げたお二人に加え、WEBで公開されている本作のプロダクションノートを拝見すると、秋山監督をはじめとするスタッフの熱量もかなり高い現場だったようですね。 松谷 俳優がスタッフも兼任するのが秋山組の特徴で、「慎太郎さん … 続きを読む

Willfriends

page top