【インタビュー】デビュー5年目、家入レオ “新たな一歩踏み出す勇気”

2016年2月12日 / 22:18

 3rdアルバム「20」をリリースしたあと、さまざまなことが大きく変わってきたという家入レオ。“新たな一歩踏み出す勇気”を強く意識しながら作られた11thシングル「Hello To The World」は、そのタイトルどおりすべてに前向きであろうとする気持ちが、まっすぐに歌われた爽快なアップチューンだ。

ieiri_5572main──「Hello To The World」は、これまでにないタイプのアップチューンですね。

 そうなんです。前から一緒に音楽を作ってみたいと思っていた多保孝一(ex.Superfly)さんにサウンドプロデュースをお願いして、ずっと考えていた「新たな一歩踏み出す勇気」を頭に置いて作っていきました。

──具体的に新たな一歩のイメージみたいなものはあったのでしょうか?

 音楽的なスタイルや歌詞のテーマじゃなく、「新しいことをやる時期」だと思ったんですよね。やっぱりなんだかんだ言ってもデビュー以来、目の前のことを精一杯にやってきたんですが、アルバム「20」を出したあと、いろいろ環境が変わって「ここからは家入がどうしたいかだ」ってなったとき、心の底から「他力本願じゃダメだな」と思ったんです。もっともっと自分の意見を押し出していかないと残っていけないなって。そう思う半面、なんだろ…、疲れてたんですかね、いろんなことに。アルバムを3枚作って、このあと歌っていきたいことが自分のなかにあるのかな、とか。

──ある意味、燃え尽きたところがあったのかもしれないですね。

 それもあったと思います。今の状況であと5年同じことをやるのは苦しいだろうな…、と思ったし。だけどそういうなかで作った前回のシングル「君がくれた夏」が、ビックリするくらい反響をいただけて。だからこそ、ここで変わらなきゃって思ったんですね。「今のままだと2年後、3年後の自分を思い描けない」って。たぶんやっと不安を覚えられるくらいの余裕が出てきたんでしょうね。

──そういう迷いを吹っ切ったポジティブさが、この曲のきっかけになった?

 そうだと思います。今までの私は強気だけで押し切ってた部分があったと思うんですね。だけど強気なだけの人はいないし、誰もが、どこかで怖がってるんだと思うんです。なんかそういうことが、よくわかるようになりました。弱い私もいていいって、自分の弱さも受け入れられるようになったというか。

──以前は自分の弱さを認められなかったですか? 

 弱さも認められないし、完璧じゃないとイヤだったところもありました。その片側で、すごくネガティブだったりして。だから楽しいことやうれしいことがあると、とっても不安だったんです。人生って楽しいことと苦しいことの繰り返しだと思うから。幸せがあると、次にどんな悲しみが待ってるんだろ…って。超~ネガティブですよね(笑)。でも必ずプラスとマイナスが来るんだったら、怖がるんじゃなくて自分の思ったとおりに、まずは行動してみようって思ったんです。とはいえこの世界にいる限り、明日、みんなが離れていくかもしれないっていう危機感はありますけど。そんなことも含めて、吹っ切りと諦めが身についたというか。自分がそういうふうに変化したから、「オバケのなみだ」みたいな曲が作れたのかもしれないですね。

家入レオ「Hello To The World」(初回限定盤A:CD+DVD)2月17日発売 1700円(税別)

家入レオ「Hello To The World」(初回限定盤A:CD+DVD)2月17日発売 1700円(税別)

──この曲は2016年2~3月のNHK『みんなのうた』の曲ですね。

 私も20歳になったので、一人の大人としてちっちゃい子たちに何を伝えられるかなぁと思いながら作りました。ちっちゃい子って「夜更かしするとオバケが出るよ」って言うとホントに怖がって泣くじゃないですか。そういう、子どものころにしか見えない、聞けない、触れられないものってあると思うんです。そのピュアさを忘れずに大人になってほしいと思って。その象徴として“オバケ”っていう言葉を選んでみました。

──最初と最後に入っている子どもの笑い声を聴くと、なぜかジーンと切なくなりますね。

 そう、泣けるんですよ~。あのピュアな感じに胸打たれるんですかね。笑いながら泣けるっていうか。

──2016年はデビュー5年目の年ですね。

 ビックリしちゃいますよね、もう5年目だなんて。去年は新たな音楽の種を蒔いたので、今年はその種を育てて花を咲かせて、リリースして、変化した私を見ていただけるようにしたいです。ライブも、今年はたくさんやっていきたいと思ってます。

──「変化した家入レオ」は音楽以外のところにも表れそうですか?

 すでに表れてますよ~。例えば洋服。これまでスキニーばっかりだったんですけど、ガウチョパンツとか着てますし。モノトーン以外の洋服も増えましたし。あと、今狙ってるのはパンプス! 足が痛くならなければ、すぐにでも履いてみたいんですよね。

──プライベートで2016年に「これはしたい」ということ、ありますか?

 村上春樹さieiri_5531subんの小説が好きなんですけど、そこにスカッシュがよく出てきて。ずっとやってみたいと思ってたんですね。そのスカッシュを、年明け早々に初めてやってみました。パコーンとボールを打ち返したときの爽快感がクセになりそうで、カロリーもかなり消費しそうだし(笑)。これはいいと思いました。あとは鬼に笑われそうですけど、来年のお正月はニューヨークに行こうと決めました。今年はハワイに行ったんですけど、来年はニューヨークに一人旅をしようと思って。

──ニューヨークには前から行きたいと?

 思ってました。いろんな刺激がありそうだなぁっていうのと、西加奈子さんの「舞台」っていう小説に感化されたところもありますね。生きていくうえで調子に乗らないことをジンクスにしてる男の人が、旅行に行ったニューヨークでパスポートと現金を盗まれて。それをきっかけに、自意識過剰な自分の殻を破ってくっていうお話なんですけど。それを読んで、またニューヨーク熱が高まってしまったという…。

──ちなみに今年のお正月休みのハワイでは、どんな過ごし方をしたんですか?

 マリンスポーツ三昧。ずっとやってみたかったサーフィンをはじめ、ジェットスキー、バナナボート、ヨット、カヌー、カヤック、ダイビング、ウエークボードまで、ほぼ一通りやりました(笑)。

──全然休んでないですね(笑)。

 休んでないです。ヤシの木陰でまったりお昼寝、みたいな感じじゃなかったですねぇ。もともと身体を動かすのが好きなんですけど、さらにアクティブになりたくなるような海の色だったので。もうホントに将来は海の近くに住みたい!と思いましたもん。江ノ島に行ったときも、そう思いましたけど。

──江ノ島とハワイじゃ、だいぶ違うような気もしますが(笑)。

 でも好きですねぇ、海。福岡に住んでるときも、わりと海までは近かったんです。海水浴は嫌いなんですけど、海を見るのは好きで、よく行ってました。

──今もいくつかお話に出てきましたけど、読書がお好きのようですね。

 大好きです。読むときと読まieiri_5564interviewないときの差が激しいですけど。映画と音楽と本が2週間から1カ月の期間でルーティンしてるんで。例えば映画の気分のときは、映画館やDVDを合わせて1週間で10本くらい観ます。 

──最近見たなかでオススメの映画というと?

 王道ですけど『スター・ウォーズ』。初日に見に行ったら面白くてハマっちゃって。ちっちゃいころに過去作も見てたんですけど、記憶がおぼろげだったんで、またDVDで全部見て。『スター・ウォーズ』って、公開は「エピソード4、5、6」「エピソード1、2、3」の順じゃないですか。でも今回、あえて「1」から時間軸に沿って見ていったんです。失敗でした(笑)。あれは監督の意図通りに見るべきでしたね。そうすれば張り巡らされた伏線が繋がったときの感動が、もっとすごかっただろうなぁって。なんかすごい損した気分で。もしも、最初から一気に見ようと思われている方がいたら、くれぐれも公開順に見るようにしてください(笑)。

【プロフィル】いえいり・れお シンガーソングライター。2012年2月にシングル「サブリナ」でデビュー。同年12月に、日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞した。今年2月のZeppツアーに続き、秋には約20カ所にわたる全国ツアーも開催される。

テキスト:前原雅子
写真:かしわだにたかし


関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】映画は原作を超えたか 沖縄の現代史を背景に描いた力作『宝島』/純文学風ミステリーの趣『遠い山なみの光』

映画2025年9月18日

『宝島』(9月19日公開)  1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民たちに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。  村の英雄でリーダー格のオン(永山瑛太)と弟のレイ(窪田正孝)、彼らの幼なじみ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

 朝鮮の文化を近代日本に紹介した民藝運動家の柳宗悦や陶芸家の河井寛次郎。彼らが1930年代に見た朝鮮の風景に憧れ、1970年に韓国の農村を訪れたのが写真家の藤本巧さんだ。以来50年以上にわたり、韓国の人々と文化をフィルムに刻み続けてきた。 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

 世界的なスター指揮者のティボ(バンジャマン・ラべルネ)は、突然白血病を宣告され、ドナーを探す中で、生き別れた弟のジミー(ピエール・ロタン)の存在を知り、彼の隠れた音楽的な才能にも気付く。兄弟でありながらも異なる運命を歩んできた2人。ティボ … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

Willfriends

page top