【週末映画コラム】ご当地映画と見せかけた怪獣映画『怪獣ヤロウ!』/移住と田舎暮らしのマイナス面をデフォルメしたスリラー『嗤う蟲』

2025年1月31日 / 08:00

『嗤う蟲』(1月24日公開)

(C)2024映画「嗤う蟲」製作委員会

 田舎でのスローライフに憧れるイラストレーターの杏奈(深川麻衣)は、脱サラした夫の輝道(若葉竜也)と共に麻宮村に移住する。自治会長の田久保(田口トモロヲ)を崇拝し、自分たちに過剰なおせっかいを焼く村民たちに閉口しながらも、2人は新天地での生活を満喫する。

 そんな中、村民の中に田久保を畏怖する者たちがいることを知った杏奈は、次第に不信感を抱くようになっていく。一方、輝道は田久保の仕事を手伝うことになり、隠された村の掟を知ってしまう。

 監督は城定秀夫。脚本は内藤瑛亮。移住と田舎暮らしのマイナス面をデフォルメしたスリラー。偶然だが、その対極にある宮藤官九郎脚本の『サンセット・サンライズ』と同時期に公開されたことは、描き方によってそのテーマがプラスにもマイナスにもなるという点で興味深いものがあった。

 そもそもホラーやスリラーを見て気分がよくなることはないのだが、この映画にしろ、公開中の『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』にしろ、見ながら嫌な気分になり、後味の悪さが残るように作られている。観客にそうした思いを抱かせることが作り手の狙いだとすれば、その点ではこの映画は成功しているといえるのかもしれないが、好みは分かれるだろう。

(田中雄二)

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