少女が主人公の対照的な映画『炎の少女チャーリー』『メタモルフォーゼの縁側』【映画コラム】

2022年6月17日 / 09:00

『メタモルフォーゼの縁側』女子高生と老女のユニークな“青春物語”(6月17日公開)

(C)2022「メタモルフォーゼの縁側」製作委員会

 こっそりBL=ボーイズラブ漫画を愛読している17歳の女子高生・うらら(芦田愛菜)がアルバイトをする本屋に、夫に先立たれ孤独に暮らす75歳の老婦人・雪(宮本信子)が立ち寄る。美しい表紙に引かれてBL漫画を手に取った雪は、初めてのぞく世界に驚きつつも、男の子たちが繰り広げる恋物語に魅了されていく。

 その後、BL漫画の話題で意気投合したうららと雪は、雪の家の縁側で一緒に漫画を読んでは語り合うようになり、立場も年齢も超えて友情を育んでいく。

 鶴谷香央理の同名漫画を監督・狩山俊輔、脚本・岡田惠和で映画化。粗筋だけを見ると、ちょっと際物っぽいものを想像させるが、実は、不器用な女子高生と孤独な老女によるユニークな“青春物語”で、それを体現する芦田と宮本もチャーミング。つまり、BL漫画は素材に過ぎないのだ。

 そしてタイトルの「メタモルフォーゼ」が表す通り、2人が互いに影響し合って“変身”していく様子を、ほのぼのとしたタッチで描いた好編に仕上がっている。

(田中雄二)

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