【映画コラム】根も葉もある絵空事の集大成 大林宣彦監督の遺作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』

2020年7月30日 / 06:30

 ところで、生前、大林監督にインタビューをする機会を得、その際、30分の予定が2時間にも及んだのだが、監督は締めにこんな言葉を語った。

 「フィクションには“うそから出たまこと”がある。たとえ絵空事でも、根も葉もあれば花が咲く。皆さんは、根も葉もない絵空事のように映画を楽しんでくださればいいわけだけど、本当は、映画というものは、根も葉もあり過ぎる作り手の思いが込められた絵空事なんですよ」

 今、改めてその言葉をかみ締めると、本作は“根も葉もある絵空事”の集大成であり、紛れもない大林宣彦の遺作だとも思えるのだ。(田中雄二)

大林宣彦監督

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