【映画コラム】演者の異なる古典劇を見るような楽しみがある『オリエント急行殺人事件』

2017年12月2日 / 16:44

 今回も、ポアロ役で監督も兼任したケネス・ブラナーをはじめ、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、デイジー・リドリー、ウィレム・デフォーら、新旧の俳優たちが顔をそろえた。中でも、前作のウィドマークに変わって、“被害者”のラチェットを演じたデップのうさんくささが際立っている。

 監督のブラナーは、65ミリフィルムで撮影し、画面に奥行きを与えたほか、キャラクターの設定を少々変え、乗客を外に出すなど、新たな趣向を取り入れ、初めて見る者にはミステリーの醍醐味(だいごみ)を、すでに結末を知る者には演者の異なる古典劇を見るような楽しみを与えてくれる。

 前作に比べると、全体的にスピーディーで、雰囲気も軽くなった印象を受けるが、それこそが“今の映画の証し”ということなのかもしれない。どちらの展開や配役が自分の好みかと、見比べてみるのも楽しい。(田中雄二)

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