【芸能コラム】『パラサイト 半地下の家族』と『1917 命をかけた伝令』の一騎打ちか。 第92回アカデミー賞の行方は!?

2020年2月7日 / 16:50

 ハリウッドスターが一堂に会する第92回アカデミー賞の授賞式が、いよいよ2月10日(日本時間)に迫ってきた。そこで、世界で最も注目を集めるこの映画の祭典を、より楽しむため、主要6部門の行方を予想してみたい。

『パラサイト 半地下の家族』 (C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

 まずは演技部門だが、助演女優賞、助演男優賞は、前哨戦と呼ばれる各映画賞を軒並み受賞している『マリッジ・ストーリー』のローラ・ダーンと『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のブラッド・ピットが固いだろう。いずれもキャリア十分のベテランだが、受賞すれば初の栄冠となる。

 主演男優賞は『ジョーカー』のホアキン・フェニックス。見た人全てに強烈な印象を残す圧倒的な演技はまさに独壇場で、ゴールデン・グローブ賞男優賞(ドラマ部門)、全米映画俳優組合賞、英国アカデミー賞などを受賞しており、オスカー確実とみられる。

 主演女優賞は『ジュディ 虹の彼方に』(3月6日公開)で、往年の名女優ジュディ・ガーランドを演じたレニー・ゼルウィガー。こちらも前哨戦の映画賞を多数受賞していることに加え、アカデミー賞が好む「実在の人物」を演じている点でも最有力だ。

 続いて監督賞だが、注目は韓国映画『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノが受賞するかどうか。その最大のライバルが、『1917 命をかけた伝令』のサム・メンデスだ。

 ジュノの方は昨年末に発表されたロサンゼルス批評家協会賞などを受賞して先行したが、年明けからはメンデスがゴールデン・グローブ賞、全米監督組合賞などを受賞。直近の2月2日に発表された英国アカデミー賞も受賞し、勢いに乗っている。全編をワンカットに見えるように撮影するというアイデアの実現には、並々ならぬ苦労が伴ったことも容易に想像ができ、そういう意味でもメンデスの受賞が濃厚に思える。

 そして最大の注目となるのが作品賞。9作品がノミネートされているが、こちらも『パラサイト』(6部門ノミネート)と『1917』(10部門ノミネート)が本命と見る。

 前哨戦の結果を振り返ってみると、『パラサイト』は、「(アカデミー賞の投票権を持つ)アカデミー会員が最も多い」と言われる全米映画俳優組合賞の最高賞・キャスト賞のほか、全米映画批評家協会賞などを受賞。

 これに対して『1917』は、ゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)、英国アカデミー賞に加え、直近10年で8度という高確率でアカデミー賞作品賞と一致している全米製作者組合賞を受賞しており、やや優勢に見える。また、これまで非英語圏の映画が作品賞を受賞したことはなく、アカデミー賞の傾向として保守的になりがちでもあることから、『1917』が受賞するのではないだろうか。

 以上により、主要6部門の予想を次の通りとしたい。
助演女優賞:ローラ・ダーン『マリッジ・ストーリー』
助演男優賞:ブラッド・ピット『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
主演女優賞:レニー・ゼルウィガー『ジュディ 虹の彼方に』
主演男優賞:ホアキン・フェニックス『ジョーカー』
監督賞:サム・メンデス『1917 命をかけた伝令』
作品賞『1917 命をかけた伝令』

 
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