「鎌倉殿の13人」第32回「災いの種」覚悟を決めた義時の心に積もる悲しみ【大河ドラマコラム】

2022年8月27日 / 11:44

 忠常の亡きがらと対面し、目頭を押さえて涙ぐむ姿には、確かな悲しみがあり、生来の優しさが失われてはいない様子がうかがえた。ここから察するに、修善寺に送った頼家に対しても、同じような気持ちを抱いたに違いない。

 番組公式サイトなどに掲載されているメインビジュアルを見ると、真っ黒な衣装で両手を広げて立つ義時の姿が確認できる。以後、権力を手にするにつれ、義時の衣装はこの漆黒に近づいていくのかもしれない。

 だが、それと同時に、心の内には悲しみも積み重なっていくはずだ。メインビジュアルの黒い衣装は、ダークなだけでなく、悲しみまでも表しているようにも思える。

 悲しみも責任も、全て背負って歩んでいく義時。単なる野心家ではなく、1人の人間として権力の座に上り詰めていくその姿を、これからも見守っていきたい。

(井上健一)

仁田忠常役の高岸宏行 (C)NHK

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