【芸能コラム】やっぱり血は争えない! 脇で光る“くせ者”ぞろいの中堅2世役者たち

2019年12月29日 / 12:00

 NHKの連続テレビ小説「スカーレット」で、ヒロイン・喜美子(戸田恵梨香)が働く丸熊陶業の若社長で、照子(大島優子)の夫・敏春役を演じている本田大輔。名バイプレーヤーとして数々のドラマや映画に出演している本田は、実は2世役者。仲野太賀、宮沢氷魚、寛一郎、福地桃子といった若手2世役者が大活躍する中、手堅い芝居で作品の脇を締める、くせ者ぞろいの中堅2世役者を紹介する。

大森南朋 「サイン-法医学者 柚木貴志の事件-」(C)テレビ朝日

 本田大輔(41歳)の父は本田博太郎。すっきりとした印象の大輔とは違う濃い顔立ちで、入浴剤のCMで、生田斗真演じる娘の彼氏と裸の付き合いをしている父親役の人と言えばピンと来る人も多いはず。渋い声とゴニョゴニョとした独特なしゃべり方が特徴で、刑事ドラマの常連でもある。

 一方、大輔は、NHKドラマへの出演が相次ぎ、「花子とアン」(14)では神経質な編集部員・三田悠介役、「アシガール」(17)では企みを持つ僧侶の如古坊役、「透明なゆりかご」(18)では義娘に性的暴力をふるう父親・平塚誠二役など、癖のあるキャラクターで存在感を示している。しかし「スカーレット」では、さわやかなルックスにハマる優しい敏腕若社長役を好演中。ふり幅の広さを見せつけている。

 逆に、父・平幹二朗の風貌をそのまま受け継いだのが平岳大(45歳)。天下分け目の大決戦を描いた映画『関ヶ原』(17)で、石田三成(岡田准一)の腹心の武将・島左近を熱演しているさまを見たときは、父が乗り移ったかのような貫禄ある演技に驚いたが、撮影前日に父をみとったことを後で知って妙に納得した。

 日本を代表する役者として、映画、ドラマ、舞台で躍進した父を「師」と仰いだ岳大は、海外ドラマや歌舞伎にも挑戦するなど多岐にわたる活躍で、父の背中を追いかけている。ちなみに、母は女優の佐久間良子。岳大のデビュー作の舞台「鹿鳴館」では、親子3人での共演を果たした。

 「サイン-法医学者 柚木貴志の事件-」(19)で、民放連続ドラマに初主演した大森南朋(47歳)は、世界的に有名な舞踏家で俳優の麿赤兒の息子。兄は映画監督の大森立嗣で、南朋は彼が手掛ける作品に出演することもあり、「まほろ駅前」シリーズでは親子共演もしている。

 主演ドラマ「ハゲタカ」(07)で名をはせ、ダーティーな役から正義に燃えるヒーロー、チャーミングなおじさんなど、演じる役柄は幅広い。今年は妻で女優の小野ゆり子との間に第1子を設けて父になり、新たな人生経験を積んだ。ますます芝居に磨きがかかることが期待される。

 市川海老蔵の妻でタレントの小林麻央が急逝後、市川家を支える姿が海老蔵のブログにたびたび掲載されて注目を集めた山田純大(46歳)は、俳優で歌手の杉良太郎の息子。代表作はTBS系の人気時代劇ドラマ「水戸黄門」(01-03)で4代目渥美格之進役を演じた。

 13年には得意の英語を駆使してノンフィクション作家としてもデビューし、「命のビザを繋いだ男—小辻節三とユダヤ難民」を出版。杉は、山田の役者志望の夢を断つために、中学校に上がるタイミングで海外に行かせたそうだが、その願いに反して、多彩な活躍を見せている。

 駿河太郎(41歳)は、俳優として数々の映画賞を受賞している落語家・笑福亭鶴瓶の息子。めんつゆのCMでは親子共演をして話題になったが、そんな駿河の芸能活動のスタートはミュージシャン。30歳を機に役者に転向すると、朝ドラ「カーネーション」(11)でヒロインの夫役に抜てきされ、その名は全国区になった。

 以降は順調にキャリアを伸ばし、映画『文福茶釜』(18)、ドラマ「戦争めし」(18)など、近年は主演作にも恵まれている。父親譲りの人柄のよさも手伝い、誰からも愛される役者として芸能界で長く生き続けるに違いない。

 
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