「逃げ恥」超えは出るか? 1月クールは漫画原作ドラマに注目!

2017年1月3日 / 00:00
「銀と金」

「銀と金」第1話は1月7日深夜0時20分からテレビ東京系で放送

 昨年(2016年)注目を集めたドラマといえば、なんといっても、新垣結衣と星野源の「逃げるは恥だが役に立つ」だろう。主人公・森山みくり(新垣)と恋愛経験のない独身サラリーマン・津崎平匡(星野)の契約結婚から始まる同居生活を描いたこのドラマは、劇中のパロディーや“恋ダンス”などがネットで話題になり、TBSの「火曜ドラマ」枠としては異例の大ヒットを記録。視聴率も初回の10.2%から、ついに一度も下がることなく、最終回の11話では20.8%の大台を叩き出した。

 また、2016年下半期に目を向けると、同じく「火曜ドラマ」枠で放送された「重版出来!(じゅうはんしゅったい)」も無視できない。週刊コミック誌の編集部を舞台にしたお仕事系ドラマで、黒木華のドラマ初主演作だ。視聴率こそ振るわなかったものの、「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」の作品賞や「東京ドラマアウォード2016」の脚本賞と演出賞を獲得するなど、高い評価を得た。

 この2つのドラマは、ともに漫画が原作になっている。「逃げるは恥だが役に立つ」は海野つなみによる「Kiss」(講談社)連載の同名コミックが原作で、ドラマの最終回とほぼ同時に原作も最終回を迎えた。また、松田奈緒子の「重版出来!」は、現在も「月刊!スピリッツ」(小学館)で連載中だ。

アラサー女子のタラレバ話と裏社会の男の哲学

 2017年1月からは冬クールのドラマがスタート。その中には「逃げ恥」や「重版出来!」のような、ヒットするかもしれない漫画原作のドラマがいくつか存在する。一番の注目は、日本テレビ系で1月18日よりスタートする「東京タラレバ娘」だろう。原作は東村アキコによる同名コミックで、現在も「Kiss」(講談社)で連載中。東村漫画は、これまで「主に泣いてます」や「海月姫」などが映像化されている。

 「東京タラレバ娘」はアラサー独身女性に焦点を当てた物語で、主人公の売れない脚本家・鎌田倫子にふんするのは、この作品で2年ぶりにドラマ復帰を果たす吉高由里子。また、倫子の友人で元バンギャの香を榮倉奈々が、同じく倫子の友人で実家の居酒屋を手伝う小雪を大島優子が演じる。原作でこの3人が集まるのは主に小雪の居酒屋で、彼女たちはいつも酒を飲みながら、「~~だったら」「こうしてれば…」という悲しい“タラレバ話”に終始。そこに現れたイケメンモデルのKEYに、その醜態を罵られるというのが物語の導入だ。KEY役には原作のイメージに近い、塩顔イケメン男子代表の坂口健太郎を起用。また、かつて倫子に思いを寄せていた番組制作会社のプロデューサー・早坂を鈴木亮平が演じる。原作では倫子の事務所に所属しているマミちゃん(石川恋)がドラマでは早坂の制作会社所属になっているなど、若干の変更はあるものの、基本的には原作を踏襲。倫子役の吉高も、原作のイメージに近づくため、髪をバッサリとカットしたという。原作では倫子の妄想として出てくるタラの白子ポン酢とレバテキのキャラクター“タラレバ”がどう実写化されるのかにも注目だ。

「東京タラレバ娘」

「東京タラレバ娘」第1話は1月18日午後10時から日本テレビ系で放送

 「東京タラレバ娘」が女性たちの物語だとしたら、圧倒的に“男くさい”のが、テレビ東京の「土曜ドラマ24」枠で1月7日よりスタートする「銀と金」だ。原作は「アカギ」や「カイジ」などで、ギャンブルに命をかける男たちを描いてきた福本伸行だ。福本漫画では初の連続ドラマ化で、「銀王」と呼ばれる大物フィクサー・平井銀二と、うだつの上がらない素寒貧(すかんぴん)の男・森田鉄雄が、巨額の金をかけた心理戦に挑む。類まれなる洞察力で裏社会を渡り歩く銀二役は、福本直々の指名でリリー・フランキーに決定。また、銀ニに惹かれ、裏の世界で生きることを決意する森田を、連ドラ初主演となる池松壮亮が演じる。

 原作は、不正融資のゆすりから始まり、株の仕手戦や政治家との裏取引、絵画の贋作当てやサシ競馬など、裏の世界の鉄火場で起こる人間心理を巧みに描き出し、多くのファンを獲得している。また、「とどのつまり、人はみな悪」「人は能書きでは動きません。実利で動く」など、福本の哲学ともいえる言葉のオンパレードで、読者を圧倒。それらがどのようにドラマで描かれるのか、そして、福本漫画独特の世界観をどう表現するのかに期待が集まっている。

藤子・F・不二雄と福田雄一のコラボレーション

 その他にも、藤子・F・不二雄の大人向けコミック「中年スーパーマン左江内氏」が、「スーパーサラリーマン左江内氏」として、堤真一主演でドラマ化。脚本&演出を「勇者ヨシヒコシリーズ」や「HK 変態仮面」の福田雄一が担当するとあって、こちらも期待値は高い。放送は1月14日より日本テレビ系でスタート。

 また、ラブホテルを舞台にした原案・上野、漫画・博士の「ラブホの上野さん」もフジテレビで放送。独自の恋愛理論で恋に悩む男女にアドバイスする上野さんを、人気急上昇中の若手俳優、本郷奏多が演じる。

「ラブホの上野さん」

「ラブホの上野さん」第1話は1月18日深夜2時25分からフジテレビ系で放送

 そして、鈴木小波原作の「ホクサイと飯さえあれば」(TBSほか)や、土山しげる原作「勤番グルメ ブシメシ!」も「幕末グルメ ブシメシ!」(BSプレミアム)としてドラマ化。「孤独のグルメ」以降続く、グルメ漫画原作ものとして、ヒットを狙う。

 さらに、先日放送が終了したものの、1月10日には特別編が放送、2月には映画の公開が控える「咲-Saki-」(TBS系)にも注目したい。小林立による「ヤングガンガン」連載中のこの作品は、実写化プロジェクトとして、今をときめく若手女優&アイドルが大勢出演。「まれ」で注目を集めた主演の浜辺美波を筆頭に、「SUPER☆GiRLS」の浅川梨奈、「私立恵比寿中学」の廣田あいか、「non-no」専属モデルの武田玲奈など、美少女たちが物語に華を添える。

 恋愛、ギャンブル、ヒーローにグルメまで、今クールも漫画原作ドラマは、バラエティ豊か。果たして、これらの中から「逃げ恥」のような大ヒット作は生まれるのか。期待しつつ、注目していきたい。

(文:山口智弘)


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