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数々の名作を世に送り出し続けてきたミュージカル界の“生ける伝説”アンドリュー・ロイド=ウェバーが「オペラ座の怪人」の後日譚として生み出した、ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」。日本で3回目の上演となる公演が、2025年1月17日に幕を開ける。クリスティーヌと結婚したラウル・シャニュイ子爵を、2014年の初演時から演じる田代万里生に、意気込みや役作りについて、さらにはミュージカルデビュー15周年を迎えた心境を聞いた。
田代万里生
2014年の初演のときには3回も出演できるとは思ってもいなかったですし、11年間かけてラウルと向き合うことができて本当にうれしい気持ちでいっぱいです。
初演のときは、僕はちょうど30代に差し掛かる頃で、初めて役者として子どもがいる役柄をいただきました。その翌年からは、ミュージカル「エリザベート」のフランツ・ヨーゼフといった息子のいる役や重厚感のある役、年齢が実年齢よりも上の役柄を演じることが多くなったのですが、初演のラウルが初めて苦悩が渦巻いている、受動的なお芝居が必要とされる役柄だったので、すごく難しいなと思いながら演じました。19年の再演では、初演からいろんな経験を経て違う形で向き合えることができましたが、特に今回の再々演に関しては、僕自身が今年、実生活でも息子が生まれて父になったということもあって、同じく父親であるラウルを演じるということもとても楽しみにしています。きっとまた新たな気持ちで向き合えるのではないかと思っています。
お客さんからは「ラウルは嫌い」とか「私の好きだった(「オペラ座の怪人」で描かれた)あのすてきなラウルはどこにいったの?」とよく言われますが(笑)、僕は全くそうは思っていなくて。「オペラ座の怪人」のすてきなラウルはまだいます。ただ、クリスティーヌと結婚してグスタフという10歳の息子を育てながらも、クリスティーヌはファントムを忘れられないのではないかと、何か引っかかるものが10年間あった。クリスティーヌももしかしたらラウルと向き合い切れていないところがあったのかもしれない。そうしたことをラウルが感じ取って、「自分が描いていた未来とは何かが違う」と思っているのではないかなと思います。なので、僕の中では、青年ラウルから大きく外れたキャラクターというよりは、青年ラウルの延長のつもりで演じています。
たくさん手をかけて育ててきたのに、何もしていないファントムが10年経って突然現れて連れて行こうとする。それだけは我慢できないのだと思います。今、自分に子どもが産まれたことで、グスタフに対しての愛情や思い入れ、一緒に過ごした時間というのをしっかり感じられます。きっとラウルはクリスティーヌとグスタフの成長の喜びを分かち合って、時を経てきた。それなのに、グスタフの手を引っ張っていこうとするファントムに対しての怒りや不安はますます強くなるのではないかなと思います。
和樹くんとは、「マタ・ハリ」でもダブルキャストでラドゥーという役を演じたのですが、全く色の違うラドゥーが誕生して。ダブルキャスト同士のお芝居は見たくないという俳優さんがたくさんいる中、僕と和樹くんは全くそんなことなくて、お互いの稽古は必ず見るというくらい見ていたかなと思います。お互いの演技を見ながら、インスピレーションをいただきつつ、お互いに自分の個性を生かした役作りをしていたような気がします。お芝居以外でも仲良くさせていただいていて、和樹くんの家に行ってお手製のラーメンを食べさせてもらったりもしています(笑)。今回も楽屋が同じなのではないかなと思うので、とても楽しみにしています。
まず、共通点は、二人ともめちゃくちゃ真面目だということだと思います。僕は和樹くんのことをそう思っていますし、多分、和樹くんも僕のことをそう思っていると思います(笑)。ただ、その種類が違うんですよ。それからやっぱり和樹くんはセクシー。顔に「セクシー」って書いてある(笑)。24時間、何をやってもセクシーなので、そこが違いかなと思います。僕は、これまで比較的、貴公子系の役を若い頃にたくさん演じさせていただいたので、そうした人物が崩れていく姿を出していけたらいいなと思って演じています。そこが個性の一つなのかなと思います。
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