ロバート・ロドリゲス監督最新作『ドミノ』製作のきっかけはヒッチコックの『めまい』 ロドリゲス監督がヒッチコック愛を語り尽くす

2023年9月26日 / 12:00

 ベン・アフレックとロバート・ロドリゲス監督がタッグを組んだサスペンス映画『ドミノ』(原題:Hypnotic)が、10月27日(金)から全国公開される。

 ある日、刑事のダニー(アフレック)の娘が公園で行方不明に。そんな中、銀行強盗を予告する情報が入り、現場に向かったダニーは、接する人々を操るような不可解な動きをする男を発見。やがて、その男が娘の消息に関係していることを知ったダニーは、男の後を追うが、彼は追い詰めても目の前から姿を消す“絶対に捕まらない男”だった。

ロバート・ロドリゲス監督

 同作の構想に20年の歳月をかけたというロドリゲス監督は「2002年に4Kリマスター版で再公開されたヒッチコックの『めまい』(58)を見たことで脚本を書き始めた。もともと彼の映画の大ファンで、ひねりの利いたスリラー作品を自分でも作りたくなった。それがこの映画の製作を初めて意識した瞬間だった」と振り返る。

 また、ロドリゲス監督は「『めまい=Vertigo』『白い恐怖=Spellbound』(45)『サイコ=Psycho』(60)など、ヒッチコックの作品にはワンワードのタイトルが多い。だから今回は、ヒッチコックが付けそうなタイトルはどんなものかと考えた。その時 『催眠術(=Hypnotic)』というタイトルが思い浮かび、物語の軸もすぐに思いついた」という。

 そして、「『ドミノ』の物語の軸は、目の前にいるのに存在を感じさせない悪役。彼は欲しいものを何でも奪って立ち去っていく、究極の力を持つ男だ。脚本を練り上げ、多くの仕掛けを仕込んだ。観客には何が現実なのか分からないところが面白いと思う。さらにヒッチコックの(強盗犯に間違われた男の恐怖を描いた)『間違えられた男』(56)のような物語になっている」と明かした。

 加えて、ロドリゲス監督は「現実と見まがうばかりの世界で、追われ、追い詰められる、謎だらけの世界を観客に見せられると思った。謎が謎を呼ぶドミノのような展開は、ヒッチコックの諸作からインスパイアされた」と語る。

 主演のアフレックの起用についても、「ケーリー・グラントやジェームズ・スチュワート、グレース・ケリーにイングリッド・バーグマン…、ヒッチコック映画の要は配役だ。だから今回もスーパースターを配役したかった。ベン・アフレックはヒッチコック的な神秘性を映画に与えてくれた。彼は娘を捜す父親であり、情け容赦のない刑事でもある。彼のスター性と存在感によって、ヒッチコック映画を撮っているような気分になった」と喜びを語った。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

青山貴洋監督「問診シーンが最大の課題に」日曜劇場『19番目のカルテ』【インタビュー】

ドラマ2025年8月25日

 体の不調を感じていても、何科を受診すべきか分からない…。そんな悩みを抱える人は少なくない。そうした現代の医療課題に向き合う存在が「総合診療医」だ。日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS系)は、まさにその最前線で患者と向き合う医師たちの姿を描 … 続きを読む

中園ミホ 連続テレビ小説「あんぱん」は「やなせたかしさんが書かせてくださった」執筆を終えた脚本家が物語を振り返る【インタビュー】

ドラマ2025年8月22日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、いよいよクライマックスが近づいてきた。このタ … 続きを読む

森田剛「戦争と背中合わせの世界であるということは今も変わらない」 19世紀を代表する未完の戯曲に挑む パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月22日

 森田剛が主演する舞台、パルコ・プロデュース 2025「ヴォイツェック」が9月23日に開幕する。本作は、ドイツの劇作家ゲオルク・ビューヒナーが遺した未完の戯曲を、2017年にジャック・ソーンが翻案した作品を日本で初めて上演。冷戦下の1981 … 続きを読む

奥平大兼「戦争の捉え方が変わった」當真あみ「当時の女性の強さを感じた」80年前の戦時下を生きた若者役への思い『雪風 YUKIKAZE』【インタビュー】

映画2025年8月21日

 太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」。数々の戦場を潜り抜け、沈没する僚艦から海に投げ出された仲間を救い、戦後は「復員輸送艦」として外地に取り残された約1万3千人を日本に送り返した。その史実に基づき、太平洋戦争から戦後、さらに現代へとつなが … 続きを読む

山時聡真、中島瑠菜「倉敷の景色や街並みや雰囲気が、僕たちの役を作ってくれたという気がします」『蔵のある街』【インタビュー】

映画2025年8月19日

 昔ながらの街並みが残る岡山県倉敷市の美観地区を舞台に、街で花火を打ち上げようと奔走する高校生たちの奮闘を描いた青春映画『蔵のある街』が8月22日から全国公開される。倉敷市出身の平松恵美子監督が手掛けた本作で、倉敷市に住む高校生の蒼と紅子を … 続きを読む

Willfriends

page top