前田敦子、ミュージカル初挑戦作品に「改めて女性であることがうれしい」【インタビュー】

2022年8月22日 / 08:00

 女性アイドルグループAKB48を国民的人気アイドルグループへと導き、絶対的センターとしてグループを支え続けた前田敦子。2012年にAKB48を卒業後も、舞台やドラマ・映画などで女優として精力的に活動を続けている。9月3日から上演される、ミュージカル「夜の女たち」では、君島夏子役で出演する。本作は、溝口健二監督の同名映画を原作とし、戦後間もない大阪釜ヶ崎を舞台に、生活苦から夜の闇に落ちていった女性たちが、必死に生き抜こうとした姿を、長塚圭史が自身初のオリジナルミュージカルとして描く。戦争で全てを失い、自暴自棄になってダンスホールのダンサーとして生きる役に挑む前田に、ミュージカル初挑戦への思いや、本作の見どころ、AKB48卒業からこれまでを振り返ってもらった。

前田敦子 (C)エンタメOVO

-ミュージカル初挑戦となりますが、今の心境は?

 ミュージカルではありますが、長塚さんという、絶大な信頼を得ている、すごくすてきな俳優さんであり、演出家さんであり、劇作家さんである方の作品ですから。長塚さんでなかったら挑戦していませんでした。

-「長塚さんの舞台、いつかいつかとひそかに夢見てました」とオフィシャルでコメントしていましたが、実際に長塚さんの作品に出演すると決まったときはどんな気持ちでしたか。

 長塚さんがNODA・MAPの「フェイクスピア」を見に来てくださったときに、「見つけた」と言ってくださったんです。そんなふうにいつか思ってもらえたらいいなと思っていましたし、長塚さんは自分の作品にハマっている人を呼んでいるなというイメージがすごくあって、そのタイミングがこんなに早く来るとは思っていなかったので、うれしかったです。

-ミュージカルの稽古はどのような感じですか。

 もしかしたら、ほかのミュージカル作品のお稽古はもっと違うのかもしれませんが、みんなでセッションをしながら、お芝居をしていきながら歌っていくという稽古になっています。歌だけ抜いての稽古もありますが、本当にお芝居に関した歌という稽古になっています。長塚さん自身もオリジナルミュージカル初挑戦なので、「いっぱいお稽古をしたい」とおっしゃっていて、2カ月前から稽古が始まっています。

-今の豊かな時代からは想像できないような敗戦直後の時代の話ですが、作品の印象は?

 これをストレートプレーにしてしまうと、とても重たくて、ただ悲しい作品になってしまいますし、今回は女性が中心で、私たちの強さを生かしながら、その時代の人たちの代弁ができるというのはすごく意味があると思っています。それがミュージカルになることによって、見ている方にも一瞬で一緒の空気を吸いやすい環境になるんじゃないでしょうか。女性はこんなにつらかったんだというものをただ見せたところで、苦しいだけの作品になってしまうので、それをエンターテインメントに落とし込みながら、こんな歴史があったんだなと私自身も思いますし、そんな時代でも女性たちの生命力はすごかったんだなと感じることがあって、私は改めて女性であることがうれしいなと思いました。

-ミュージカルとして夏子の見どころは?

 夏子がダンスホールで踊るシーンです。ダンスホールはすごく華やかで、当時は女性が中心になって活躍できる場がそこしかなかったみたいで、ダンサーという職業は女性の憧れだったそうなんです。でも、夏子はそれをいいことだとは思っていなくて、しかたなくやっている部分があります。ダンスホールのミュージカルシーンは、見た目にはすごく華やかに見える感じはしますが、そのバックボーンを考えるといろいろと考えさせられると思います。

-夏子を演じる上で考えていることは?

 時代背景がしっかりしているので、現代に生きる人にならないようにとは考えています。夏子は、見た目は現代に近いと思いますが、女性らしさといった、その当時の風情がすごくあったんじゃないかなと思っているんです。現代の人はちょっとがさつだと思うんです、私も含めて(笑)。もう少し女らしさみたいなものを昔の作品を見ながら探って勉強しないといけないなと考えています。映像とは違って2時間半ほどの上演時間を通してキャスト全員が舞台上に立たないといけないので、今後も勉強しないといけないことはいっぱいあります。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

山里亮太「長年の“したたかさ”が生きました(笑)」 三宅健太「山里さんには悔しさすら覚えます(笑)」STUDIO4℃の最新アニメ『ChaO』に声の出演【インタビュー】

映画2025年8月15日

 『鉄コン筋クリート』(06)、『海獣の子供』(19)を始め、個性的なアニメーションを次々と送り出してきたSTUDIO4℃。その最新作が、アンデルセンのおとぎ話『人魚姫』をベースに、人間の青年・ステファン(声:鈴鹿央士)と人魚王国のお姫さま … 続きを読む

ウィリアム・ユーバンク監督「基本的には娯楽作品として楽しかったり、スリリングだったり、怖かったりというところを目指しました」『ランド・オブ・バッド』【インタビュー】

映画2025年8月14日

 ラッセル・クロウとリアム・ヘムズワースが共演し、戦場で孤立した若手軍曹と、彼を後方から支援する無人戦闘機のベテラン操縦官の闘いを活写したサバイバルアクション『ランド・オブ・バッド』が8月15日から全国公開された。米海軍全面協力のもと、入念 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(1)“たまたま”が導いた講談の道

舞台・ミュージカル2025年8月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼みなさん、こんにちは  日本の伝 … 続きを読む

原嘉孝×いとうあさこ、timelesz加入後初の舞台主演に「timeleszを背負っています」 舞台「ドラマプランニング」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年8月11日

 脚本家・演出家の山田能龍、いとうあさこによる劇団山田ジャパンの2025年9月公演「ドラマプランニング」にtimeleszの原嘉孝が出演する。  本作は、テレビ業界におけるドラマ制作現場を舞台とし、ほれ込んだ漫画の映像化で初のチーフ作品を担 … 続きを読む

【映画コラム】新旧のSFアクション映画の魅力が詰まった『ジュラシック・ワールド/復活の大地』

映画2025年8月10日

『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(8月8日公開)  熟練の特殊工作員ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)は、信頼する傭兵のダンカン・キンケイド(マハーシャラ・アリ)、古生物学者のヘンリー・ルーミス博士(ジョナサン・ベイリー)ら … 続きを読む

Willfriends

page top