山田洋次監督、50年前の「寅さん」を回想 「最初は失敗したなと思って落ち込んだ」

2019年8月28日 / 13:47

(左から)倍賞千恵子、山田洋次監督、佐藤蛾次郎

 「祝!50周年 寅さんファン感謝祭」が27日、東京都内で行われ、山田洋次監督、倍賞千恵子、佐藤蛾次郎が出席した。

 渥美清主演の国民的人気シリーズ『男はつらいよ』の第1作が公開されてちょうど50年に当たるこの日、会場では、第1作の4Kデジタル修復版が上映された。

 山田監督は50年前を「初めて試写を見たときはえらく真面目な映画を作っちゃったなと思った。スタッフは(映画の)点検をしているからあまり笑わない。失敗したなと思って落ち込んでいた」と回顧した。

 しかし、2カ月後に映画が封切られたところ、「プロデューサーに『客が入っているぞ。来いよ』と言われ、新宿松竹に行ってドアを開けたら観客が『ワッ』と笑っている。『あんたの作る映画はとてもおかしいよ』って、観客に教えられた。今日のことを一生覚えておかなきゃな、と思った」と、しみじみ振り返った。

 また、渥美の発案で、みんなでタヒチ旅行に行ったこともあるという。倍賞は「タヒチに行ったらみんなビキニなんです。私がつながっているのを着ていたら、蛾次郎さんが『頼むからビキニを着てくれ。俺が買うから』って」と当時のエピソードを披露した。

 実際に着たところ、佐藤がビデオを回し始めたため倍賞は「やだっ」と叫んだそう。佐藤は「せっかくだから8ミリを回したのですが…」と笑わせた。

 寅次郎の妹・さくら役の倍賞は、改めて渥美との思い出を問われると、「兄妹を27年間やったけど、あの人から『役者はこうあるべき』と学んだことはない。ただ相手の立場に立って考えることがどれほど大事かということを教わった」と答えた。

 続けて「何か悩んでいると『おい、飯食いに行くか』と言って、おいしいステーキを食べさせてくれた。『何かほしいものはないか』と言って桃色のマントも買ってくれた。寂しそうにしていると、それを見抜いて誘って幸せな気分にしてくれる。人として一番大事なことを教わった」と語った。

(左から)倍賞千恵子、山田洋次監督、佐藤蛾次郎


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