【インタビュー】『虹色デイズ』恒松祐里「監督面談のとき、『この役を乗り越えれば俳優として成長できるかも』と感じました」

2018年7月5日 / 12:00

 映画『虹色デイズ』が7月6日(金)から全国公開される。ちょっとおバカでお騒がせな4人の男子高校生を中心に、彼らが恋と友情を繰り広げる様子を描いたみずみずしい青春映画だ。本作で、男嫌いだが実は寂しがり屋の女子高生・まりを演じたのが、「真田丸」(16)、『散歩する侵略者』(17)など、数々の作品で活躍する期待の若手女優・恒松祐里。俳優として新境地に挑んだ本作の舞台裏を語ってくれた。

(C)2018「虹色デイズ」製作委員会(C)水野美波/集英社

-まず、出演の感想をお聞かせください。

 高校生の男の子と女の子が一生懸命生きている作品なので、撮影現場もすごくまぶしかったです。同世代の人たちでお芝居を作っていく雰囲気だったので、みんなでどう面白くしていこうかと話し合うなど、活気にあふれていて。「青春だなぁ…」と思いながら演じていました(笑)。

-ご自身の高校時代と重なる部分もありましたか。

 私の高校生活はあんなにキラキラしていませんでした(笑)。こんな高校生活があったらいいな、という憧れがたくさん詰まった映画になったと思います。悩みもあって、本人たちは苦しんでいるのでしょうけれど、それも含めて青春!という感じです。

-どのようにして出演が決まったのでしょうか。

 監督面談です。ただ、そのときからすごく難しい役だと感じていました。私は普段、誰とでも分け隔てなく話すことができるのですが、まりは、今にも爆発しそうな感情を誰にも打ち明けられず、ため込んでいる女の子。それを私が演じられるのかな、という不安がずっとありました。

-その結果は?

 今まで、自分で訳が分からなくなるぐらい感情が爆発するようなことはなかったのですが、この監督面談のとき、パニックを起こしたように、まりがため込んでいた気持ちを伝える芝居ができたんです。そのとき、「この役を乗り越えれば、俳優として成長できるかも」と感じました。だから、受かったときは、うれしい半面、不安もありました。

-役作りはどのように?

 この映画の前に出演した「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」(テレビドラマ版と映画版あり)という作品では、いかに原作に近づけるかを重視して演じていました。だから、今回もそのときと同じように、漫画を参考に、しぐさや顔の表情をまねて役を作ったんです。でも、本読みのとき、飯塚(健)監督からそれを全部はぎとられて…(笑)。その代わり、もっと面白くするためのヒントをたくさんいただきました。

-監督からはどんなアドバイスがありましたか。

 まず「まりはいろいろな顔が見えた方が得」と言われました。怒るときも、本人は一生懸命怒っているんだけど、見ている側には、その表情やしぐさが面白く見える方がいい、と。具体的には、怒っているときは目を見開くとか、「ふぅーん」と言うところを「はぁ~ん?」にするとか…。そんなアドバイスをたくさんいただいたので、それをどう見せるか毎日考えながら現場に行っていました。

-まりの恋の行方も見どころですが、相手役のまっつんを演じた中川大志さんの印象は?

 中川さんはお芝居が上手で…。私は自分のお芝居のことで悩んで、毎日精いっぱいでしたが、中川さんがうまくフォローしてくださったおかげで乗り切ることができました。お芝居は言葉のキャッチボールなので、返しがいいと、私もより、まりに近い気持ちで言葉を交わせるんです。だから、中川さんには本当に助けていただきました。

-2人が心を近づけていく様子も丁寧に演じていましたね。

 まりは男嫌いという設定なので、距離感が難しかったです。しかも、劇中では夏になったり、春になったり、季節の移り変わりが早いんです。その間にまりはまっつんと心を通わせていくのですが、その距離感が本当に数ミリ程度の微妙な変化。その繊細さを出しつつ、面白おかしく演じるのが難しくて…。だから、気持ちがどう動いていったのかを想像して、メモを取るようにしていましたが、撮影の順番がバラバラなので大変でした。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「ジョンは初恋の人、そしてかけがえのない友達」『ジョン・レノン 失われた週末』メイ・パン【インタビュー】

映画2024年5月9日

 ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻が別居していた「失われた週末」と呼ばれる、1973年秋からの18カ月の日々。その時ジョンは、彼とヨーコの元・個人秘書で、プロダクション・アシスタントを務めていた中国系アメリカ人のメイ・パンと恋人関係にあった … 続きを読む

北村匠海「長谷川博己さんのお芝居は、やっぱり迫力がすごい」 日曜劇場「アンチヒ-ロ-」【インタビュ-】

ドラマ2024年5月8日

 長谷川博己が主演を務める日曜劇場「アンチヒーロー」(TBS系)が放送中だ。本作は殺人犯をも無罪にしてしまう“アンチ”な弁護士・明墨正樹(長谷川)の姿を描き、視聴者に“正義とは果たして何なのか? ”“世の中の悪とされていることは、本当に悪い … 続きを読む

玉置玲央「柄本佑くんのおかげで、幸せな気持ちで道兼の最期を迎えられました」強烈な印象を残した藤原道兼役【「光る君へ」インタビュー】

ドラマ2024年5月5日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。5月5日放送の第十八回で、主人公まひろ/紫式部(吉高由里子)にとっては母の仇に当たる藤原道長(柄本佑)の兄・藤原道兼が壮絶な最期を迎えた。衝撃の第一回から物語の原動力のひとつとなり、視聴者に強烈 … 続きを読む

「光る君へ」第十七回「うつろい」朝廷内の権力闘争の傍らで描かれるまひろの成長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年5月4日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月28日に放送された第十七回「うつろい」では、藤原道長(柄本佑)の兄である関白・藤原道隆(井浦新)の最期が描かれた。病で死期を悟った道隆が、嫡男・伊周(三浦翔平)の将来を案じて一条天皇(塩野瑛 … 続きを読む

妻夫木聡「家族のために生きているんだなと思う」 渡辺謙「日々の瞬間の積み重ねが人生になっていく」 北川悦吏子脚本ドラマ「生きとし生けるもの」【インタビュー】

ドラマ2024年5月3日

 妻夫木聡と渡辺謙が主演するテレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル「生きとし生けるもの」が5月6日に放送される。北川悦吏子氏が脚本を担当した本作は、人生に悩む医者と余命宣告された患者の2人が「人は何のために生き、何を残すのか」という … 続きを読む

Willfriends

page top