29日に老衰のため死去した映画監督・脚本家で、文化勲章受章者の新藤兼人(しんどう・かねと、本名兼登=かねと)さんの訃報を受け、続々とお悔やみのコメントが寄せられた。(以下「」内原文まま)
映画「北斎漫画」に出演した西田敏行は「世界に誇る我が日本の映画作家が逝きました。新藤監督ありがとうございました。 合掌」とコメント。
山田洋次監督は「近年は6、7年お会いしていなかったのですが、まだ若いころ、新藤さんの脚本で野村芳太郎さんが映画を撮った、その打ち合わせに伺ったことがありました。それも、もう何十年も昔ですからね。
僕自身がもういい年なので、新藤さんのような方が元気でいてくださるのは、とてもありがたいことでした。ずいぶん前になるけれども黒澤監督が亡くなった時、非常につらかった。というのも、黒澤監督から見たら自分はずいぶん後輩だから、黒澤監督と話していると自分が若者に思えてきてしまうんです。そういうように、仰ぎ見る先輩がいなくなるのはさみしいことです。それと同じようなことを、今、“新藤さんが亡くなった”という報せを聞いて、一番の衝撃として思いました」と悲しみを吐露した。
映画監督としては「よく、新藤さんが『地を這うようにして映画をつくった』というような言い方をされているけれども、本当に制作上では、つらい思いをたくさんしていると思います。凄い監督だなと思います」と称えた。
映画「原爆の子」に出演した奈良岡朋子は「広島でのロケが今でも印象に残っています。監督はどこにいても、きっと映画を撮り続けていることだろうと思います」と悼んだ。