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薬師丸ひろ子「若い女優さんたちは本当にすごい」 「こうのとりのゆりかご~」で看護部長役を熱演

(C)TBS

 11月25日にTBS系で放送されるドラマ「こうのとりのゆりかご~『赤ちゃんポスト』の6年間と救われた92の命の未来~」に主演した薬師丸ひろ子が、作品への思いを語った。

 ドラマは、親から捨てられ、命を落とす赤ちゃんを救うために「赤ちゃんポスト」を開設し、「こうのとりのゆりかご」と名付けて運営を始めた熊本県の「慈恵病院」の実話を基に、フィクションとして再構築したもの。

 薬師丸は「赤ちゃんポスト」の実現、運営に奔走した看護部長の田尻由貴子さんをモデルにした安田裕美子を演じる。また、同僚の看護師を、堀内敬子、江口のりこ、安藤サクラ、南明奈が演じ、悩んだ末に赤ちゃんを預ける女子高生を有村架純が演じる。

―このドラマの企画を聞いたときにどう思いましたか。

 ニュースなどで赤ちゃんポストの話を聞いたことはありましたが、まさか自分が演者としてそれに関わることになるとは思ってもいませんでした。非常にデリケートな問題なので、作品として描くのは大変だろうと思いましたが、日本で初めてそのような活動に取り組んだ方たちのご苦労などを、オーバーではなく、なおかつ当事者の方々のご迷惑にならないように、物語として完成させていければと思いました。

―台本を読んだときの感想を教えてください。

 準備稿の段階から何回も打ち合わせをしました。台本では、実際の人物が特定されないようになってはいたのですが、逆にその分、物語として“どこまで付け加えていいのか”ということや、“こういう状況のときに本当にこういうことを言うんだろうか”といったことについて、何度もプロデューサーと話し合いをしました。

―薬師丸さんは、看護師役を演じるのは今回が初めてですか?

 以前、映画で看護師の役をやったことがあります。そのときは、看護師さん役の人全員で看護学校に研修に行ったのですが、私はみんなの中で一番不器用で、居残りになってしまうこともありました。それが私にはちょっとトラウマ的な感じになっているので、看護師さん役はどうかなって思ったのですが、今回は見守る立場なのでずうずうしくやっております。

―薬師丸さんが考える裕美子の印象はどのようなものですか。

 最初台本を読んだときには、(裕美子が)やっていることの“大きさ”とか“重さ”に引きずられがちでした。でも、役のモデルになった田尻さんに実際にお目に掛かってお話を伺ってみると、本当に普通の方というか…。見た感じも“えっ、この方がこんなすごいことを立ち上げたの”という印象でした。そして、普通のお母さんが「誰かがやらなければいけない」と思い立ったときに、こんな大きなことができるんだ、という人間の力、そういうものを表現したいと思うようになりました。

―“命の尊さ”をテーマにしたこの作品を通じて強く感じたことはありますか。

 私には子どもがいませんが、ご両親がお子さんに関して起こしてしまった事件をニュースで見ると、大変なこともあっただろうけど、その方法しかなかったのかなと思い、胸が痛みます。とにかくこちらができることといえば、本当に大げさなことではなく「どうぞ、相談してください」「一緒に考えましょう」「何か方法があるはずです」と呼び掛けること。その呼び掛けが、悩み苦しんでいる人たちにどこまで届くかということが、とても大事なことだと思いました。

(C)TBS

―撮影現場の雰囲気はどんな感じでしたか。

 現場には、若い看護師さんや、赤ちゃんたちのことで悩む若いお母さんを演じた女優さんがたくさんいました。昨日も、何人かの方と撮影でご一緒したのですが、10代、20代、30代にはこんなにすてきな女優さんたちがいるんだと思って…。今回、見たこともないような感性を持った女優さんたちと出会って、一緒にお芝居をしているので、キャッチボールが非常に楽しいし、とってもいい刺激になっています。

―彼女たちと実際に共演してみていかがでしたか。

 もちろん、見ている方にうそっぽく映らないように、お芝居にはちゃんとリアリティーがないといけないのですが、(彼女たちの芝居は)ちょっとリアル過ぎるぐらいで…。別れ際には、肩をたたいて「大丈夫ですか?」って声を掛けた方がいいのではないかと思ってしまうほど、本当に真に迫ったお芝居をされます。今の女性は力があるなって思いました。若い女優さんたちは本当にすごいです。

―視聴者の方にはどんな点に注目してほしいですか。

 赤ちゃんとお母さんの話であることが大前提です。それとともに「こうのとりのゆりかご」の活動が、なぜ熊本県のその病院だけで成立したのかということです。そこでは「大きなものを動かそう」というよりも、本当にみんなの小さな熱い熱い思い、「何ができるか分からないけど、自分はこれをやろう」という意識のもとで、一つのことが大きく動き始めたからではないでしょうか。批判されることを覚悟しながら「これをやるべきだ」という思いで動いた人たちの話としても見ていただけたらと思います。

―12月に、「冬の星座」「故郷(ふるさと)」「セーラー服と機関銃」など全13曲が収録されたセレクションカバーアルバム『時の扉』をリリースされますね。

 今回は、大河ドラマ「篤姫」など数多くの劇伴(サウンドトラック)を手掛けた吉俣(良)さんと一緒に作らせていただきました。日本の曲、そして外国の曲も入っているのですが、やっぱり人の琴線に触れる音楽というのは時を超えても美しいものだなと感じました。皆さんがほっとしたいとき、のんびりしたいときに触れていただければうれしいです。連続テレビ小説「あまちゃん」の最後の方で歌(「潮騒のメモリー」)を歌わせていただいたのですが、あのときは「歌が伝える力」ということをあらためて意識しました。あの歌をドラマの中で歌ったことで、自分の中では今回のアルバムにつながったように思います。

 

ドラマ情報
「平成25年度文化庁芸術祭参加 テレビ未来遺産 ドラマ特別企画 こうのとりのゆりかご~『赤ちゃんポスト』の6年間と救われた92の命の未来~」
TBS系で11月25日、午後9時~10時54分に放送。

 

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