【2.5次元リポート】加州清光が魅せる情熱的な“出陣”「ミュージカル『刀剣乱舞』加州清光 単騎出陣2018」

2018年10月14日 / 00:00

 名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”を収集・育成する大人気PCブラウザ・スマホアプリゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」を原案としたミュージカル『刀剣乱舞』。同作に登場する刀剣男士のうちの一振りである加州清光による2度目のソロライブ、「ミュージカル『刀剣乱舞』加州清光 単騎出陣2018」が9月12日の東京公演を皮切りに、宮城、大阪を回り、10月13日の北海道公演で千秋楽を迎えた。2017年の出陣からよりパワーアップし、情熱的なステージが繰り広げられた本公演をリポートする。

ミュージカル『刀剣乱舞』加州清光 単騎出陣2018

 トライアル公演(15)から、加州清光を演じ続けてきた佐藤流司。出陣を重ねるたびに、確実なスキルアップを果たし、より高度に、より美しく、進化した姿を見せ続けてきた。今回の「単騎出陣」でも、その進化は止まらない。

 幕が上がると、仮面を付けた加州清光とダンサーたちが映し出される。2017年に続き、「解けない魔法」(ピアノver.JAZZアレンジ)から公演はスタート。そして、そこからは加州清光らしいキャッチーな楽曲やダンサンブルな楽曲を立て続けに聞かせ、歌い、舞い、観客を魅了する。

 「言の花」「Kiss for all the world」「美しい悲劇」「サヨナラ」「見つめてくれるなら」と、ファンにとってはたまらないナンバーがずらりと並ぶ。楽曲に合わせた演出も魅力的で、「Kiss for all the world」では、ダンサーたちとトランプで遊ぶ姿が見られ、「美しい悲劇」では縄でつながれ目隠しした姿で歌いあげるなど、終始楽しませてくれた。

 「サヨナラ」の後には、真っ赤なファーコートという、これまでにない新たなイメージを提案した衣装で登場し、より激しいダンスを披露した。

 本サイトのインタビュー時、佐藤は「去年よりもきつい」と漏らしていたが、その言葉通り、激しく踊り続けながらの熱唱は、30分以上も続いた。途中、衣装チェンジがあり、MCもあったが、それすらも休憩とは言えない怒濤(どとう)の展開に、佐藤の、加州清光の気合いが感じられた。

驚くべきは、そのダンス技術が格段にレベルアップしていること。昨年に比べ、さらに激しく、さらにハードになったダンスをキレキレに踊る姿が印象的だった。

 また、ここで特筆しておきたいのは、「Jackal」を加州清光が歌ったことだ。この楽曲は「ミュージカル『刀剣乱舞』〜三百年の子守唄〜」の挿入歌だが、同作に加州清光は出陣していない。そのため、「まさか!」のセットリストであり、貴重なパフォーマンスだったといえよう。

 本編中盤、「Love Story」を歌い上げたあと、「ちょっと休憩〜」と、ここで初めて、ゆったりとした時間が流れる。ダンサーによってタオルとドリンクが運ばれ、“生休憩”が行われた。ダンサーに「年齢幾つ?」と何度も聞きながらドリンクを飲むという“加州清光の素顔”を感じさせるような演出に、ファンは悶えまくったのではないだろうか。

 その後は、客席に降り、観客と視線を交わして歌ったポップなナンバーの新曲を経て、和太鼓が登場。これまた昨年度からさらにパワーアップした演奏が披露され、「獣」へと進む。番傘やひもを使ったパフォーマンスで会場を魅了した。

 一度はステージを降りた加州清光は、ダンサーたちによる殺陣が披露された後、通常の出陣時の衣装姿で再登場。この基本となる加州清光の衣装での立ち居振る舞いが、あまりにも「加州清光」らしさに満ちていて、改めてドキッとさせられた。

 華やかで、手の込んだ衣装の数々はそれだけで素晴らしく、見ていて楽しいものだが、やはり加州清光はこれなのだ、と実感する。そして、その姿で、「勝利の旗」「爪と牙」「戦うモノの鎮魂歌」「選ばれぬ者」「ひとひらの風」と続き、「刀剣乱舞」〜加州清光 単騎出陣〜で本編を締めくくった。

 「ユメひとつ」が流れる中、これまでの加州清光の出陣の姿がスクリーンに映し出され、大きな余韻を持って幕を閉じた。

 その後、フリルがあしらわれたジャケットを着た加州清光が再びステージに登場し、アンコールへ。「情熱のSymphonia」、ミディアムテンポの新曲と続き、ラストは「解けない魔法」を歌い上げ、全22曲の公演を終えた。

 昨年の公演同様、今回の公演でも、「川の下の子、加州清光」「俺の本気、見せてやるよ!」「俺のこと、しっかり見ててよね」といった、加州清光らしい言葉の数々は全編に渡ってちりばめられていた。佐藤は、本作の稽古中に行ったインタビューで、「阿津賀志山異聞2018 巴里」で加州清光を演じるに当たって「気だるげな感じを出せたらいいなと思って、かわいらしさは減らし目でいった」と語っていたが、その気だるげな雰囲気は本公演でも健在。少しトーンを落とし、落ち着いた言い回しで語られた、本公演でのせりふの数々は、昨年度とは少し違う印象を与える。

 単純なかわいらしさを見せるのではなく、その裏にあるコンプレックスや不安、加州清光を作るさまざまな要素を想像させる深みを感じさせるのだ。「阿津賀志山異聞2018 巴里」、「加州清光 単騎出陣2018」を経て、さらに大きく、さらに魅力を増していく加州清光に、そしてそれを演じる佐藤に期待感は高まるばかり。本公演の大きな余韻を感じながら、加州清光、次の出陣を待ちたい。

(取材・文・写真/嶋田真己)

ミュージカル『刀剣乱舞』加州清光 単騎出陣2018

ミュージカル『刀剣乱舞』公式ホームページ https://musical-toukenranbu.jp/
ミュージカル『刀剣乱舞』公式Twitter @musical_touken


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