大西礼芳「どうやって死ぬかということは、どうやって生きるかということとつながりますよね」『安楽死特区』【インタビュー】

2026年1月21日 / 12:00

 「安楽死法案」が可決された近未来の日本。国家戦略特区として、安楽死を希望する者が入居しケアを受けられる施設「ヒトリシズカ」が開設された。難病を患い余命半年を宣告されたラッパーの酒匂章太郎(毎熊克哉)は安楽死法に反対しており、パートナーでジャーナリストの藤岡歩と共に、特区の実態を内部告発することを目的に「ヒトリシズカ」に入居する。高橋伴明監督が、安楽死を題材に描いた社会派ドラマ『安楽死特区』が1月23日から全国公開される。本作でジャーナリストの藤岡歩を演じた大西礼芳に話を聞いた。

大西礼芳【ヘアメーク:KOMAKI(nomadica)/スタイリスト:Lim Lean Lee】(C)エンタメOVO

-最初に脚本を読んだ印象から伺います。

 最初に脚本を読んだ時は、安楽死について考えたことがなかったので、どういうふうに読み取ったらいいのか戸惑いましたが、今回舞台あいさつがあるので読み返してみたら、全然印象が違いました。それは、まだずっと揺らぎ続けていますが、自分が安楽死に対してどういう立場であるのかを考え続けなければいけないことだと思うからです。脚本に書かれている言葉や登場する人物は、大変な葛藤をしていてつらい状況の中にいますが、せりふとして交わされる言葉はすごく軽やかで、ラップの歌詞のようにも聞こえてくる。だから重い題材だけれども、ちゃんとエンターテインメントの映画として受け取れる理由なのかなと思いました。あまりにも重い言葉を重く伝えられると本当に立ち直れなくなりそうですけど、そうではなく書いてくださったことがうれしいです。(監督の高橋)伴明さんや(脚本の)丸山(昇一)さんにお礼を言いたいです。

-演じる上で考えたことや心掛けたことはありましたか。

 歩はジャーナリストですから信念があるし、何かに対して批評する立場にいる。例えば、安楽死に対しても、あるいは国に対しても、この人の中には確固たる意思があるというところから始めた方がいいのかなと思いました。ただ、病を抱える恋人の存在もあるので、それとの気持ちのバランスをどう取っていくのかがちょっと難しかったです。すごく混乱しながら演じていたんですけど、でも混乱したままでいいのかもしれないと思いました。

-藤岡歩というキャラクターをどのように捉えましたか。

 (恋人の)章太郎が静の役なので、私はいっぱい動いてみようとシンプルに考えました。やっぱり彼が苦しんでいたら私も苦しくなるかなとは、ぼんやりと想像はしていましたが、不思議なことに撮影をしているうちに自分はどんどん元気になっていきました。焼肉を食べるシーンも、脚本には「あまり食べたくない」と書かれていましたが、実際はおいしそうで食べたくて仕方がありませんでした。そういう計算と違うことがいろいろと自分の中で起きました。撮影をしていく中で変わっていったという感じでした。やっぱり彼が苦しい顔をしていたら笑顔にしたいと思うし、沈んでいたら私が起き上がらせなければと思う。それはそれぞれが1人で生きているのではなく、パートナーとしての結びつきを感じていたからかもしれないです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

唐田えりか「染谷将太さんのお芝居が衝撃的でした」コンビニ店を舞台にした異色ホラーで初共演『チルド』【インタビュー】

映画2026年7月16日

 カンヌ国際映画祭に出品された『寝ても覚めても』(18)やNetflixの「極悪女王」(24)で注目を集め、今年も『恋愛裁判』、『モブ子の恋』など出演作の公開が相次ぐ唐田えりか。常に挑戦を続ける彼女の最新作が、コンビニ店を舞台にした異色ホラ … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第26回「信長を笑わせろ!」 人間ドラマと華やかなエンターテインメントが一体になった大河ドラマならではのエピソード【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年7月10日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。7月5日放送の第26回「信長を笑わせろ!」では、小 … 続きを読む

花總まりがアガサ・クリスティに 失踪の謎を追うミュージカル「AGATHA(アガサ)」で「ミステリーの世界を体感していただけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年7月9日

 イギリスを代表する推理小説家で“ミステリーの女王”と呼ばれたアガサ・クリスティが失踪した実話を元にしたミュージカル「AGATHA(アガサ)」が7月18日から上演される。本作は、アガサ・クリスティが失踪した11日間の謎を追う物語。現在(19 … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#セブチを見ていると分かる、韓国の年齢の不思議

2026年7月8日

   K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り … 続きを読む

小栗旬「織田信長は、気づいたら“破壊神”になっていた」“本能寺の変”迫る!【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年7月5日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 20:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄の秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中だ。7月12日放 … 続きを読む

page top