正門良規、舞台「十二夜」での女性役に「演じるのが楽しい」【インタビュー】

2025年10月7日 / 08:00

 Aぇ! groupの正門良規が主演する舞台「十二夜」が10月17日に開幕する。本作は、シェークスピア喜劇の中でも最高傑作といわれる「十二夜」を、古典から現代劇、ミュージカルまで幅広く手がける森新太郎が演出。主人公のヴァイオラを正門が演じる。正門にシェークスピア作品への思いや本作の意気込みなどを聞いた。

正門良規 【ヘアメーク:髙取篤史(SPEC)/スタイリング:丹ちひろ、横田勝広(ともにYKP)】 (C)エンタメOVO

-この作品のどんなところに面白さを感じて、出演したいと思ったのですか。

 森さんの演出のシェークスピア作品に出演したいと以前からずっと言っていたので、その夢がかなうということでこんな機会は他にないと思って二つ返事でやらせていただくことになりました。すごく詩的で美しい高尚な言葉がたくさん出てくるので、それを現代の感覚に落とし込むのは難しいことではありますが、喜劇ですし、クスッと笑えるところもあるめちゃくちゃ面白い作品になると思います。

-今回は、ヴァイオラという女性を演じます。役に対してどのようにアプローチをしていこうと考えていますか。

 女性の役ですが、仕草も声も作らず、このまま話そうと思っています。せりふが女の子になっているのであまり意識する必要はないのかなと。あとは動いて芝居をしてみてどうなるのか。物語もそうですが、非常にカオスで、特に五幕は一見関係ない事件が全てがつながるのが面白いです。

-ヴァイオラのどんなところに魅力を感じていますか。

 品があって学もあって、楽器も弾けるお嬢さまですが、若さゆえ、突き進んでしまうところもある。天真らんまんではつらつとしているので、可愛くて嫌味のない人だなと思います。非常に演じるのが楽しい人物です。

-そんなヴァイオラに共感するところはありますか。

 共感できるところもありますよ。それに、恋する女性を演じるというのは、なかなかない経験だと思うので、だからこそ役が自分の中に落とし込めている感覚があります。女心が分からないところももちろんありますが、分からないからこそ「それが女心なのか」と片付けられるので、ある意味では女性が演じるよりも飲み込みが早いのかもしれません。

-客観的に見ているからこそ理解できる?

 そうですね。正直なところ、「女の子ってこうだよね」という偏見もあるとは思います。「これはときめくよね。ここでワクワクするよね」と。ただ、それは作っている人が男だから仕方ないところもあります。それに恋愛観も現在とは違い、ロマンチックなきれいな言葉を使っているからこそ笑えたり、今だったらコンプライアンスに引っかかって言えないような言葉も出てくる。それらはこの物語の中だからこそ笑えるのかなと思います。

-シェークスピア作品にはいつ頃から興味を持っていたのですか。

 森さんと最初にご一緒した頃(2022年上演の「ヴィンセント・イン・ブリクストン」)かなと思います。ミッチーの「ロミジュリ」(2021年に道枝駿佑が主演し、森が演出をした「Romeo and Juliet ―ロミオとジュリエット―」)も見たのですが、そのときはまだ森さんとご一緒することは決まっていなくて。でも、舞台をやるからには1回くらいはシェークスピアに触れたいと漠然と感じました。昨年、僕は「Touching the Void タッチング・ザ・ヴォイド〜虚空に触れて〜」という前衛的な作品に出演し、演劇の最前線に触れたことで古典もやりたいなという気持ちが出てきたので、今回、とても良いタイミングで理想的な現場をいただけて、ぜいたくだなと思っています。

-いわゆる古典作品と呼ばれる本作ですが、古典ならではの魅力を感じますか。

 詩的な美しい言葉が溢れていて、とてもドラマチックでロマンチックで、憧れの世界だなと思います。森さんにも「シェークスピアに出会うことができるのはラッキーだよ」という言葉をかけていただいたのですが、そう言ってくださる方の演出でできるというのはぜいたくだなと思います。ただ、お国柄が違うので、伯爵や公爵といった貴族階級は日本人にはなじみがあまりないものも出てくるので、そこさえ理解してもらえれば見ている方も物語に入りやすいのかなと思います。

-これからの稽古に向けて、現在の課題や楽しみは?

 今は楽しみしかないです。課題を挙げるなら、せりふが覚え切れるかどうかかな(笑)。思っていたよりは少なかったですが、それでも多いですね。でも、これからの稽古が本当に楽しみです。

-この作品を今、上演すること、そして正門さんが演じることでどんなマジックが起こると思いますか。

 男性がヴァイオラを演じることによって、より笑える作品になるのではないかなと思います。女性が言ったらすごく切なくなるせりふも僕が言うと違って聞こえる。それは森さんもおっしゃっていました。劇的なせりふも男性の僕がいうことで喜劇として見えるので、それが今回、僕がヴァイオラを演じる意味なのかなと思います。もちろん、この物語を見て、この恋愛に憧れの気持ちを持ってもらえたらうれしいですし、非常にやりがいのある作品になるだろうという予感はあります。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

武田梨奈「幸せをかみ締めています」番組初の年2Season放送! 「ワカコ酒 Season9」【インタビュー】

ドラマ2025年10月6日

 「酒飲みの舌」を持って生まれたOL・村崎ワカコがさまざまな酒場をさすらい、女ひとり酒を堪能する人気ドラマシリーズ「ワカコ酒」。今年初めのSeason8に続き、早くもSeason9が10月1日(水)からBSテレ東で放送中だ。年に2Seaso … 続きを読む

水上恒司「宮舘さんに勝負を挑むような気持ちで」宮舘涼太「水上くんに遠慮しないように」初共演で魅せた白熱の演技合戦『火喰鳥を、喰う』【インタビュー】

映画2025年10月3日

 10月3日から全国公開となる『火喰鳥を、喰う』は、原浩の第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞・大賞受賞作を映画化した話題作だ。  信州で暮らす久喜雄司と夕里子(山下美月)夫妻の元に、かつて戦死した先祖の日記が届く。その最後のページにつづら … 続きを読む

筧美和子「少し心が軽くなるような言葉や、気持ちを切り替えて生きていくためのヒントが、登場人物からもらえるのではないかと思います」『オオムタアツシの青春』【インタビュー】

映画2025年10月2日

 昭和の風情が残る福岡県大牟田市を舞台に、人生につまずいた3人の大人たちが、病気を抱えながらも前向きに生きる少女との出会いを通して再生していく姿を描いた『オオムタアツシの青春』が9月26日から全国公開された。本作の主人公でパティシエの五十嵐 … 続きを読む

「冬ソナ」大ヒットの立役者、ユン・ソクホ監督が最新作に込めた思い「人と人が癒やし合うような温かな作品に」『夏の終わりのクラシック』【インタビュー】

映画2025年10月2日

 10月3日から全国公開となる『夏の終わりのクラシック』は、夏の終わりの韓国・済州島を舞台に、かつて心に傷を負った女性ヨンヒ(キム・ジヨン)と、亡き母の遺品整理に訪れた男性ジュヌ(ペ・スビン)の出会いと交流を描いた温かなドラマだ。  監督は … 続きを読む

ももいろクローバーZ・百⽥夏菜⼦が初出演  WEBデザインスクール「デザスク」のテレビCM 最新コメント到着

CM2025年10月1日

 ⽇本デザイン(東京)が運営する⽇本No.1デザインスクール「デザスク」のテレビCM「わたしもデキた。デザスク。」篇に、ももいろクローバーZのリーダー・百⽥夏菜⼦を初起⽤した。CMは、10⽉1⽇にWEBで先⾏公開し、10⽉4⽇からテレビで放 … 続きを読む

Willfriends

page top