筧美和子「少し心が軽くなるような言葉や、気持ちを切り替えて生きていくためのヒントが、登場人物からもらえるのではないかと思います」『オオムタアツシの青春』【インタビュー】

2025年10月2日 / 17:29

-撮影中に印象的な出来事はありましたか。

 地元の方たちが「ラーメン食べたか」ってすごく気にしてくれて。大牟田にいる間においしいとんこつラーメンを制覇してほしいみたいでした。臭みと香りが強ければ強いほど濃いらしいんですけど、段階を踏んで、どんどん臭みの強いお店にチャレンジしていくというのを、街の方たちのサポートを受けながらやりました。そんな感じで、その街のいいものに触れるからこそ、映画の背景が自分の中で深いものになっていったところもあります。これが東京の自分の家に帰っての生活だったら、全然違ったと思いますし、もちろん、大牟田の街を感じながらというのも大事なんですけど、その場所に泊まり込みの撮影だと、映画の世界に集中できます。すごく没頭できたのも環境的には良かったと思います。

-最近、地方を舞台にした映画が増えていますが、そういう映画に出ることについてどう思いますか。

 特に意識はしませんが、今回は監督の大牟田への思い入れが強くて、街の人との関係もできていたので、本当にやりやすい環境で、大牟田の方たちにサポートしていただきながら撮影ができました。今までも地方の街を舞台にした映画に出たことはありましたが、ここまでがっつりとというのは初めてだったので、すごくいい経験をさせてもらったと思います。私は東京の出身なので故郷はないんです。今回、映画の撮影で大牟田に行ったのは2回目でしたが、とても温かく迎え入れてくださって、炭鉱の歴史のお話が聞けたり、その街ならではの受け継がれてきたもの、今新たに変わろうとしている部分、そういうところも見えてきて、映画を作る上でもそこに住み込めたのはすごく良かったんですけど、こんなに長期間どこかの街で生活するということもなかなかないので、すごく貴重な経験をさせてもらったと思いました。

-共演の福山翔大さんと陣内孝則さんについて、印象に残ったことはありましたか。

 福山さんはとても映画に対して熱い方で、ある意味裏の座長みたいな感じで、同世代ですがすごく引っ張ってもらったという印象があります。映画に対する向き合い方などを間近で見させてもらって、すごく影響を受けたと思いますし、役柄と真逆だなと思いました。陣内さんはイメージ通りの方で、何でも笑い飛ばしてくださって、小さなことは気にしないみたいな型破りな感じでした。それにすごく救われました。また、とても正直な方で、いいことはいい悪いことは悪いと言ってくださるので、大先輩ですけど、こちらも気負わずに、この映画の中の役の関係みたいな感じで接することができました。それはすごくありがたかったです。

-この映画のテーマである再生ということに関して、演じながらどんなことを感じていましたか。

 抱えている問題の内容や大小は人それぞれ違うと思いますが、そうした問題と向き合ってどう生きていくかみたいなことは、なかなか自分だけでは答えが出なかったりしますよね。この映画は、それについての答えを出すというよりも、少し心が軽くなるような言葉や、気持ちを切り替えて生きていくためのヒントが、登場人物からもらえるのではないかと思います。

-これから映画を見る観客の方々や読者に向けて一言お願いします。

 ちょっと心が温まったり軽くなったりするような映画だと思います。私自身、観客の1人としてそういう気持ちになったので、ぜひ多くの方に見てもらえたらと思います。一応、主演を務めさせてもらったので、1人でも多くの方に届けばいいなと思いながら宣伝活動を頑張っています。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2025「オオムタアツシの青春」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

-そうした難しい役どころゆえ、共感はなかなか難しいのでは?  それはあまり心配していないです。先日、トム・ストッパードの「ハード・プロブレム」という作品を観劇したんですよ。その作品も、日本人とは違う感情の変化が描かれた作品でした。楽しく会話 … 続きを読む

佐津川愛美「酒井監督に惚れました(笑)」念願だった酒井麻衣監督との初タッグ『時給三〇〇円の死神』【インタビュー】

映画2026年9月30日

 10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

鈴鹿央士「絶対に映画館で見て損はさせない映画になっています」『藁にもすがる獣たち』【インタビュー】

映画2026年9月29日

-おばあちゃん役の風吹ジュンさんとの印象に残ったエピソードがあれば。  とても面倒見のいい方で、何か聞いたら何でも返してくれるし、気を使ってくださいました。本当は僕が気を使わなければいけないのに、風吹さんの方から、「大丈夫よ。頑張ろうね」っ … 続きを読む

向井理、演出家・倉持裕と再びタッグ 6人で描き出す会話劇に「戻ってきたな。こういうことがやりたかった」 M&Oplaysプロデュース「ブランク」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月29日

 向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む

page top