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長崎の原爆投下の前後の話の映画に関わるというのは、とても大きな意味があると思います。特にこの映画は、とても真摯(しんし)に、そこに生きた人々を描いた映画だと思います。今年は終戦から80年という区切りの年ですが、若い人たちにとっては昭和の物語は時代劇のように感じる方もいると思います。私はもちろん昭和世代なのでそういう感覚はありませんが、やはり時間の経過とともに、被爆者の方も高齢化して、語り部の方が少なくなってきているという現実もあると思いますし、それが風化を進めている原因なのかなと思います。そう考えると、戦後80年という年に、こうした映画を作る姿勢は素晴らしいと思います。
希望の象徴として、新しい命が目の前にいたので、そこに希望をつなげていこうということだと思いました。昨今は、いろんな紛争のニュースを目にする時間が多くなり、その中で一番胸を痛めるのは子どもたちの傷ついた姿なので、この作品の中でも希望の光として新しい命が描かれていて、私はそこに関わる役でした。菊池(日菜子)さんのとても真っすぐな瞳で役に一生懸命向かっていく姿が、戦時下を生きるスミさんとオーバーラップするところがありました。
菊池さんは、バランス感覚がよくて、いろいろと理解している方だと思いました。それに比べて20代の頃の私は、すごく視野が狭かったので、周りに迷惑をかけながら生きていたと思います(笑)。
まなざしの優しい監督で、監督の意向としてはあまりカットを割らずに撮りたいと。そこに、それぞれの役の持つ心の動きを撮りたいという監督の意図を感じました。
『TOMORROW 明日』は原爆投下前までを描いていましたが、今回の映画は原爆が落ちた後の話が中心でした。もちろん戦争で命を亡くされた方の痛みが一番大きいんですけど、この映画は、残された者たちの心の傷がどれだけ深いものかということを描いていると思います。私の役は、主人公がいろんな生死の場に立ち会った後に、一つの命を手繰り寄せるように再会する場に立ち会うのですが、やっぱり人には自分の許容範囲というものがあって、できることとできないことがある。でも、たとえできないことがあったとしても、そこに気持ちを寄せることが人間らしい行動なのだと、主人公の心の動きを見ながら感じました。
昔、戦争があったということは頭では分かっていることだと思いますが、その時代に精いっぱい生きた、青春時代を過ごした若者たち、そして心に傷を負いながらも一生懸命未来に向かって生きていこうとした人たちが、実際にここ日本で生きていたということを感じていただければ、この映画の意味はすごく大きいものになると思います。
(取材・文・写真/田中雄二)
(C)2025「長崎 閃光の影で」製作委員会
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