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僕は若い人と芝居をするのがすごくうれしいんです。今の若い人の感性などをいろいろと学べたり、影響を受けたりすることが多いものですから。彼の出番は遅かったんですけど、初日からずっと現場にいて撮影を見ていたので熱心だなと思いました。撮影に入ると非常にナチュラルでリアリティーのある芝居をするので、相手役としてとてもやりやすかったです。作り物ではない芝居になったと思います。そういう意味でも、彼にはとても感謝していますし、いい仕事ができたと思いました。
年を重ねたから芝居がよくなるかといったら決してそうではないと思います。確かに年を重ねたなりの味は出るのかもしれませんが、芝居がうまくなったということではないような気がします。若い人たちは姿を変え、芝居を変え、時代も変わってきているわけですが、そういうところから刺激を受けられるという意味ではありがたい仕事だと思います。この映画のタイトルは『生きがい IKIGAI』ですけれど、僕は芝居をしている時が一番生きがいを感じるので、特に若い人との出会いは面白いと思っています。
こうして頭も白くなって、うそではない存在でいられたらそれに越したことはないと思います。そういう意味では、いい台本と巡り合い、いい監督や演出家、芝居仲間と出会えることが一番うれしくて面白いところだと思います。それと、若い人と芝居をしていてもあまり年齢差は考えないです。自分は今74歳ですけど、年を取ったという感じもあまりしないので、いろんな人から刺激を受けたり、逆にこちらから刺激を与えたりというキャッチボールができるのが面白いです。
最初は「黒鬼」というタイトルでしたが、撮り終わってから『生きがい IKIGAI』に変わりました。生きがいというのは何でしょうね。この黒鬼=山本信三の場合には、若い青年との心の通い合いから生きがいを再発見しますが、そういう人と人との出会いから生まれてくるものなのかなと思います。長年1人で孤独に暮らしてきた男が、孫のような青年と心を通わせたことで、もう一度ちょっと前に出てみようか、人生を出直してみようかと思う。そういう世代を超えた人間同士の心の触れ合いが大切なのだと思います。
このショートフィルムは、宮本亞門さんが作、監督、編集を全部お一人でやられているわけですが、亞門さんは地震の後にボランティアとして能登にも行ってらっしゃった。ですから、そういう意味で、能登の人たちに何とか元気になってもらいたい、立ち直ってもらいたいという思いも強く持っていらっしゃる方なので、そういう監督の作品にご一緒できたことは、自分にとっても財産の一つになりました。大きな仕事だったと思います。自分では、ドラマとドキュメンタリーの間みたいな感覚があったので、演じることよりも感じることの方が先だったかなと思います。山本は自分と年代が大体同じという設定だったので、自分の心情みたいなものも投影されている部分があります。それと、初老の人間を扱った作品も、そんなに多くはないですよね。そういう意味でも、非常にやりがいがありました。年寄りのリアリティーみたいなものを感じていただければと思います。
(取材・文・写真/田中雄二)

(C)「生きがい/能登の声」フィルムパートナーズ
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