松下由樹 長年の活躍を支えてきた信条は「自分だけでなく、共演者や周りの皆さんにとってもいい結果が得られるように」「ディアマイベイビー~私があなたを支配するまで~」【インタビュー】

2025年6月6日 / 12:00

松下由樹(C)エンタメOVO

-そのきっかけになった出来事はあったのでしょうか。

 大きなきっかけになったのは、「ナースのお仕事」(1996~2014年にかけてシリーズ化)です。あの作品では、主人公の新米ナース、朝倉いずみ(観月ありさ)と私が演じた先輩・尾崎翔子の関係を、皆さんに好評を持って受け止めていただくことができました。それは、2人の関係を作っていく上で、お互いに相手の良さを引き出す形を模索していった結果だと思っています。

-どういうことでしょうか。

 たとえば、私が怒ったとき、相手が「怖い!」という顔をすればただ怖いだけで終わってしまいます。でも、甘えた表情を見せれば、怖いけど頼られている先輩になるわけです。といっても、こちらが相手のリアクションを指示することはできません。だから、できるだけ相手がリアクションをとりやすいように、自分のお芝居を工夫する。逆の立場になったら、相手にとってベストなリアクションをするように自分も心掛ける。そういうことを考えながらお芝居したことは、その後の自分にとって大きな糧になりましたし、この作品にも生きています。

-そんな松下さんの俳優としての原点が、デビュー作となる青春映画『アイコ十六歳』(83/主演は富田靖子で、松下はその親友役)です。キャリアを重ねた今、当時を振り返ってどんな思いがありますか。

 当時のことは、「用意、スタート!」から「カット!」まで、今も鮮明に覚えています。それまで私は、テレビドラマを見て「この中に入ってみたい!」と憧れていた名古屋のごく普通の中学3年生でした。そんな女の子が、運よくオーディションに合格し、急にお芝居することになったわけです。でも、お芝居なんてやったことないし、現場を見たのも初めて。だから、できない悔しさも味わいましたが、それ以上に心地よかったんです。その時に感じたお芝居の面白さが忘れられず、時には大変な思いをしながらも、ここまで続けてきたんだと思います。

-キャリアを積んだ今、当時の自分に声をかけるとしたら、どんな言葉をかけますか。

 これまで自分を褒めたことはありませんが、「いろいろ思うことはあるだろうけど、今やっているそのお芝居でいいんだよ」と褒めてあげたいです。若い頃は常に「もっとできるかも」と思いがちで、実際、過去の作品を見返すと反省点もたくさんあります。でも、今なら当時の自分に「あれがその時のベスト。精いっぱいやったね」と言ってあげられそうな気がします。

-ご活躍の支えとなった座右の銘などはありますか。

 特に意識したことはありませんが、あえて挙げるとすれば、「初心忘るべからず」でしょうか。結局、うまくいかないときなど、ことあるごとに初心に戻ってくるんですよね。自分が若い頃、ダンスを習っていたからかもしれませんが、基礎はやっぱり大事だと思います。「型破り」も、基礎がなければできませんし、私自身、原作やモデルになる職業がある役は、その基礎をきちんと体に入れてから、作品に合わせて崩す、という捉え方が好きなんです。

-そうやってキャリアを積んでたどり着いた吉川恵子という役に対する思いを、改めてお聞かせください。

 実は今回、初めて自分の中のちゅうちょする気持ちを、事前にすべて取り除いて臨むようにしたんです。最初は、強烈すぎるキャラクターに戸惑う気持ちもありました。でも同時に、それを面白がるだけでなく、しっかりとした方向性を持って作れたら、いい作品になるのでは、とも思ったんです。監督やプロデューサーとお話をしてみたら、その点で通じあう部分もありました。ただそれには、自分がちゅうちょしてはダメだと。演じることに関して、今までも迷うたびに話し合って乗り越えてきましたが、この作品に関しては、そういう迷いを1ミリも残したくないと思って。そんな経験は初めてでした。

-それには現場の協力も大きかったのでしょうか。

 雰囲気もとても明るく、役柄や作品についてしっかり話し合える現場で、すごくありがたかったです。作品のムードを考えると、最初は「緊張感のある現場なのかな?」とやや警戒していたんです。でも、実際は真逆で驚きました。私が今まで経験してきた中でも指折りの雰囲気のいい現場でした。

-それでは最後に、クライマックスが近づく今後のドラマの見どころを教えてください。

 第9話で、これまで築き上げてきた恵子と拓人の関係が一度、壊れるところまで行きつきました。これから2人の関係がどう展開していくのか、今は皆さん、予測がつかない状況だと思います。「私があなたを支配するまで」という副題の本当の意味が明らかになるものもこれからなので、ぜひ“第二章”となる今後の展開にご期待ください。

(取材・文・写真/井上健一)

 「ディアマイベイビー~私があなたを支配するまで~」は毎週金曜 深夜24時12分からテレ東系で放送中。動画配信サービスLemino、U-NEXTにて第1話から最新話まで独占見放題配信。ネットもテレ東、TVerにて第1話から第3話、最新話を無料配信。

(C)「ディアマイベイビー」製作委員会

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