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荻上 元々、「〇」というモチーフ自体が、ひらめきから生まれたものだったんです。そこからどのように物語を作っていこうかと調べるうち、仏教にある「円相」や「福徳円満、円満具足」という言葉にたどり着いて。
森崎 僕はそれを「生きて、歩いて息が吸えることが幸せ」と、自分の現状に満足することを促す言葉と捉えました。それを伝えて、突如有名になってしまった自分の境遇に戸惑っている沢田さんを励ますようなニュアンスなんだろうなと。剛さんとのお芝居も、事前に打ち合わせするわけでもなく、その場で起きたことに反応しながら会話をしていったら、自然と出来上がった感じです。
森崎 すごく楽しかったです。一つずつテストしながら丁寧に進めていく様子が、映画ならではだなと思って。中でもお気に入りは、横山がコンビニにやってくるシーンです。脚本を基に、どこまでも役を膨らませていく綾野さんが素晴らしくて。監督とのお話が盛り上がり、最終的には哲学的な話にまで広がっていったんです。その様子がとても映画らしく、大好きな瞬間でした。あまりにうれしすぎて、コンビニのカウンターの奥でこっそり「ふふっ」とほくそ笑んでいたくらいです(笑)。
荻上 堂本さんや綾野さんをはじめ、キャストの皆さんが、この映画が1ミリでも面白くなるにはどうしたらいいか考え、いろんなアイデアを出してくださったんです。とてもありがたかったです。
荻上 そうですね。私も含め、今の世の中、生きづらさを感じている人は多いと思いますし。
森崎 高い目標を掲げ、手に入れたいものがあるからこそ、何かあると、生きづらさを感じたり、「うまくいかない」という言葉が出てきたりするんですよね。そういう意味では、生きづらさを感じるのは、決して悪いことではないのかなと。それでも、どうしてもつらくなったときは、世界に目を向け、いろんな境遇の人たちがいることを考えてみると、今の自分に満足できる瞬間もあるのではないでしょうか。それが、「円満具足」ということかもしれません。
森崎 沢田さんについて僕が思ったのは、コンビニでモーくんと一緒にいるときだけ、彼はアーティストでいる必要がないんですよね。それが沢田さんにとって、「自分はこのままでいいのかな」と思える瞬間だったんじゃないかなと。モーくんを外国人にした意味は、そこにある気がします。日本人の固定概念に捉われず、世界に目を向けてみようよ、というメッセージが込められているのかなと。
荻上 森崎さんのお話を聞いて思い出したのが、私がアメリカに留学したときのことです。当時は私のほかにも、韓国や中国の方がいましたが、欧米の人たちから見れば全員、アジア人なんですよね。私は皆さんと親しくしていたんですけど、そんなに近い国同士が、ことあるごとにいがみ合うのは、ナンセンスだなと思って。世界に目を向けることは、大切ですよね。
森崎 でも、完成した映画を見た時、それくらい僕も考えさせられましたし、この作品に参加できたことがうれしかったんです。きっと僕にとって一生残る作品なので、ぜひ映画館でご覧いただけたらうれしいです。
荻上 ありがとうございます。実は今回、久しぶりに16ミリフィルムで撮影しています。というのも、私が意図した「ダークで笑える作品」には、フィルムのザラッと感じがぴったりな気がして。それをぜひ、映画館でご覧いただきたいです。
森崎 フィルムの味をしっかりと、映画館のスクリーンで味わってください!
(取材・文・写真/井上健一)
『まる』 10月18日(金)ロードショー
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