紅ゆずるの“ゼロ地点”は「宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日」【インタビュー】

2024年9月3日 / 08:00

-ネヴィルと現在の妻のケイ、そして元妻のオードリーが1カ所に集うという状況もまた複雑ですね。

 物語の始めはネヴィルとケイとオードリーという三角関係があり、その女性の間で揺れ動く男性のよくある話かなと思ったのですが、進んでいくと全く違う。最初は犯人だと思うような人物も出てこないですし、まるでミステリーとは思えないようなストーリーです。ですが、いつの間にか殺人事件が起きる。ただ、最初の場面から伏線がたくさんあるので、ぜひ見逃さずにご覧いただけたらと思います。

-共演者の皆さんの印象も聞かせてください。

 原くんは、あーちゃん(綺咲愛里)と今、共演していると聞いて、勝手に親近感を感じています(笑)。気さくにフランクに話せて、とても面白い方という印象です。一色洋平さんともお話をさせていただきましたが、すごく気が遣えて優しい方。今回、絡むシーンが多いので、どんなお芝居になるのか楽しみにしています。

ケイ役は鳳翔大さんが務めます。

 宝塚時代の同期ですので、とても心強いです。ケイは、オードリーに挑みかかるような役なので、きっと同期や上級生にしかできない役だと思います(笑)。なので、鳳翔だと聞いて、これだけ気心がしれていれば安心だと思いました。彼女と会うのは久しぶりでしたが、昔と全く変わらなくて。華やかで大胆なお芝居をする人なので、すごく合う役だと思います。彼女と一緒にお芝居できるのもうれしいです。

-「ゼロ時間」つまり、スタート地点というタイトルにちなんで、紅さんにとっての「スタート地点」を教えてください。

 私のスタート地点は、おそらく、宝塚歌劇団の公演を初めてテレビで見た日だと思います。その日は土曜日で、ランドセルを背負って家に帰ってテレビをつけたら、すごく華やかなステージがやっていて。それが宝塚だったんです。ランドセルを下ろすことも忘れて見入ったっていうのが、私の人生の大きな運命のゼロ地点だったのだと思います。そのテレビを見て、私はこれしかないと思いました。絶対に入ると。

-そこから音楽学校に向けてスタートしたのですね。今、紅さんにとって宝塚とはどんな存在ですか。

 私の基盤を作ってくれた場所かなと思います。基盤を作ってくれた場所で、紅ゆずるができた場所。

-なるほど。スタートという意味では、退団した時もまた新たなスタートだったのでは?

 その時は、スタートとは思いませんでした。もう全てが終わった気がして。この後、何がやりたいのかも分からなくなっていましたから。

-そうすると、その後、俳優としてやっていこうと考えるようになったのは、どんなきっかけがあったのですか。

 きっかけというのは特になかったように思います。退団した4日目には仕事をしていましたし、その1カ月後に事務所にも入りましたが、自分の中ではまだ気持ちが定まっていなかったので、何をやりたいのかも分からずにいました。ただ、やるからには応援してくださるファンの方のためにも、もちろん自分自身のためにも、本腰を入れて取り組んでいきます。

-これから先については、今はどのように考えていますか。

 何になりたいというよりは、紅ゆずるにしかできないものがあるのではないかなと思っています。お芝居は好きなのでやっていきたいですが、自分が何をやりたいのかを探していきたいですね。

-改めて公演に向けての意気込みを。

 この役になりきるための要素を1つでも多く見つけて、自分の中に入れたいと思っています。そして、舞台に立つ時には、紅ゆずるではなく、オードリーとして立っているのが目標です。ミステリーですが、ただのミステリーではないので、それもまた楽しみに来ていただけたらなと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

ノサカラボ「ゼロ時間へ」

 ノサカラボ「ゼロ時間へ」は、10月3日~9日に都内・三越劇場、10月13日・14日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演。

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)  真面目な税務署員の熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師の氷室マコト(岡田将生)の巧妙な詐欺に引っかかり大金をだまし取られてしまう。  熊沢は、親友で刑事の八木(皆川猿時)の … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

-なるほど。では、公演が12月ということで、2024年の振り返りをお願いします。  今年は自分で掲げた目標に対しての成果も感じることができたので、充実した1年でした。これまではどこかで「やらされている」という感覚があって、自分の意志でできた … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

  Q:合格に向けて、どのように勉強されたか教えてください。 早川 中3の2月に、予備試験を目指すぞって決めてからは、興味の赴くままがむしゃらに勉強してました。平日は、学校から帰ってきて、先ほどお話しした「伊藤塾」のオンライン授業を夜10時 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

-お2人は今回初共演となりますが、現場での様子はいかがでしたか。 八村 「シェアハウス対ユウ」という構図がある中で、共演者の方々とどういう距離感で接すればいいのか、だいぶ悩みました。でも僕は、役のために距離を取ったりすることが苦手なんです。 … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top